第九話 世界のキュウソク
この世界の終焉。
それは更地になった。蜃気楼はただ単にこの世界に住む者達が滅びただけに思えた。もしくは文明が崩壊しただけだと。
これが世界の終わりの姿なのだろうか。蜃気楼は余韻に浸っていた。この静寂に。
「ミッション完了ね」
琥珀に聖別されし少女は蜃気楼にある物を差し出してきた。それは丸い球体だった。これが世界の核なのだろうか。
蜃気楼はこの不気味な少女を探ることにした。
「それで、この世界はどうなる? その核にはそれだけの価値があるのか?」
蜃気楼は重度の中二病患者で友達はいない。
「あの二人の運命を操作したのは君なんだろ? あの二人はどうなる?」
少女はしたり顔だった。
……
「知らないほうがいいこともある。むしろ、その方が多いかも」
蜃気楼は押し黙っていた。自身の唯一の友人であるこの異常な少女に対し、本当はなんの感慨もなかったのかもしれない。
「一度あの海に戻りましょう。まずは体制を立て直して、それから」
少女の言うことはもっともだった。二人はお互いの手を握りしめた。琥珀の宝石が輝いた。
世界が変わるのを感じた。
……
目を開けるとそこはあの海だった。蜃気楼はレエス・ヴェデッシュへ行った事でこの海がなんなのか理解することができた。この世界は異界だ。もといた日本だとか現実の世界だとかとは違う場所だ。
「ふうっ」
ドサッ
少女はこちらの気持ちなど気にもせず砂浜に寝転がった。海は夜なのにまだ暖かかった。はじめて会った時よりずっと心を開いているように思えた。
「なにがなんだか分からなくなったよ」
蜃気楼は赤裸々に綴った。世界とはなんなのか。そして自身が何者なのか。謎は少しは解明されるだろうと思っていたが、謎は深まるばかりだった。
少女は少し休もうと提案した。蜃気楼は謎を一つでもいいから解明したいと提案した。
「そうねえ……あなた自身か、私が何者か思い出せば大体分かると思うけど」
遠い道のりのように感じた。それを無理やり知る事はとてもとても恐ろしい事のように感じた。知らない方がいいこともある。まさにその通りだった。




