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第八話 世界のツヅリ

 その作戦は単純だった。

 この都市の端と端に『爆弾』のようなものを設置し、それを起動させる。そうするとここら一帯が闇に飲まれ……そして。


「死ぬ」


 蜃気楼は少し、離れてこの街を観察しようと思った。アンバージュエルに選ばれた巫女と共にいるのは、なんだか悪いのでしばらく別行動でいようと思った。

 すでに悪魔とメルヴィは他の地の者達を闇に飲みこませた後だった。蜃気楼がこの世界に来た時初めて見た廃墟はそういう事だった。

 大分離れて客観的に様子を見る事にした。



 ……



 その悪魔はある意味では献身的だった。

 悪魔とは多くの者の予測通り『悪』なのだろう。奪い取るか、もしくはかすめ取るか。そのような者が占めるのではないだろうか。きっとこの悪魔もそうなのではないか。


「さあおいでメルヴィ。最後の破滅だ」

 悪魔はもう長いことこの娘と共にいる。思えば哀れな娘ではないだろうか。

 両親が死に別れるのはいい。自身が死に直面した時、今は亡き両親に助けを求めるのではなく、存在してほしい神に願いを乞うのではなく、悪魔に。

 悪魔。

 今ではこのワタシの事だが。それに助けを求めた。それほど哀れな事も無いのではないだろうか。

 計画はあと数時間後に決行される。といってもスイッチを押すだけだ。メルヴィが、その手で。

 悪魔の仕事はこの娘を保全する事だ。計画が遂行されるまで。

 だが。

 対価など求めていなかった。それは必要な物ではなかった。では必要な物とは何か?金や名誉や永遠の命や……。悪魔のほうがそれを知りたがっていた。


 日の出が見えてきた。計画は真っ暗な夜に完遂されるのではないかと盲目的に思っていた。だがそれはオレンジ色の朝日だった。

 メルヴィはあと数分後にこの地に仕掛けられた爆弾を起動させるスイッチを押す。彼女の意味は?悪魔にとってこの少女の価値は?

 スイッチを押す係?

 この世界を滅ぼす大義名分?


 メルヴィはスイッチを押した。


 すると闇が押し寄せた。これほどまでの大規模な『闇』を発生させるにはどれだけの下準備が必要なのだろう。その闇は粘着質で、それに飲み込まれた者はどこに行ってしまうのだろう。


 ああ。


 悪魔は理解した。メルヴィの表情を見ることによって。

 メルヴィは笑っていた。

 これほどまでの死を目撃して。


 悪魔は瞬時に納得した。


 ワレワレハトモダチだった。

 イッショニアソンデイタダケダッタ。

 それが理由で、意味でもあった。


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