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第五話 シハイの世界

「レエス・ヴェデッシュ?」

蜃気楼は辺りを見回した。

目の前に広がるのは闇だけであったが、ほんのわずかだが炎の明かりのようなものが見えた。


この琥珀の宝石に選ばれた少女は全てを知り尽くしているのだろうが、蜃気楼は自身がまだまだ未熟者であると自覚していた。少女に説明されるよりもこの異世界について調査しようと思ったのだ。

炎の明かりに近づいていった。


「これは……?」


それは町の廃墟か、それとも城の廃墟のように見えた。色に表すと赤と黒だった。

この世界はもう崩壊しているのではないかとさえ思えた。


あの少女もこちらにやって来た。


「どう? この世界の状況は理解できてきたと思うけど。この世界にはもう都市は一つしかないの。そこを潰す」


蜃気楼はこの何もかもが謎に包まれた少女を悲しげな表情で見つめた。

「どうして……?」


この世界はとうに荒廃しており、潰すのは簡単なのだろう。


「コントロールされているから。この世界も、この世界に住む人々も」


この世界はじき崩壊する。何者の手によって?コントロール?世界を?

恐ろしいやつだ。察するにこの世界を実験台にしているというわけか?

二人は共に狙いの都市へ赴くことにした。

道中は森の中を通った。そこには得体の知れない動物がいくつも住んでいた。少女は琥珀の宝石をそれらにかざした。驚くべきことに獣達は一目散に逃げだした。恐怖したのだろうか。未知なる力に。


丸二日の道のりだった。始めは食料はどうするのかと思ったが、少女はおもむろにローブの中から袋を取り出した。その中にはなんと……めいっぱいの食料が入っているではないか!この少女の持つアーティファクトは琥珀だけではないのだろう。


そうしてたどり着いた。


「おおっ」


蜃気楼は息をのんだ。その都市では城が空に浮いており、いままで住んでいた日本という国の数百倍技術が発展しているように見えた。魔法と科学の融合というか……。


「あそこに住む人々を御覧なさい」


少女の言うことに素直に従い、蜃気楼はどんどん町のほうに近づいていった。そこにいる人々は皆幸せそうに見えた。


「じき全員死ぬわ」


どうして……なにも死ぬ必要はない。


「なにか悪いことをしたのか? あそこにいる人たちが」

蜃気楼は中二病だが慈悲の心は少しはあった。

少女は冷たい口調でこう言った。


「あの人たちはね……生贄なの」


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