第三話 世界のメイウン
その悪魔は全身黒光りしており、顔面は黒い兜のようなもので覆われていた。筋肉質で身長は……2メートル以上は軽くあった。
キケン
その強大な、いや超大な存在を形容するならそれだった。蜃気楼はいくつもの思いが頭の中を廻った。
だが現実が進む速度は違った。
ギュイイイン!!
ヒュオーーーーーーーーー
蜃気楼の顔のすぐ横を殺傷力の高そうな光線がかすめた。後ろにあった山や大地は消失した。
「ソレガコハクノホウセキダナ? ソレガアレバ、ドンナネガイモカナウノダロウナ。ソシテ」
デーモンの声は機械音のようだった。極めて危険な発音だった。
「キサマガデンセツノ、ユウシャトイウワケダナ?」
悪魔は蜃気楼の方を指さしそう言った。蜃気楼は友達が一人もおらず、誰からも見向きもされない人生を送っていた。これほど注目されたのは人生で、はじめての事だった。
蜃気楼はこのような死に直面する場面において、なにか生存できる方法はないかと思いを巡らせなければならなかった。そして。
「今まで一体いくつの世界を滅ぼしてきたんだ?」
……
「ギャーッハハハハ!!」
デーモンは大きく高笑いした。このあたりの空気は張り詰めた。
「スデニ、スウヒャクハコエテイルヨ。ソシテソコニスムモノハソノヒデハナイノダロウナ……クク」
現実的に考えてみよう。この世界では様々な価値観というか、感性というものがある。強くなるためにはそれこそ、何年も何十年も何百年も何千年も修行に励まなければならないのだ。蜃気楼はまだ中学二年生だ。戦闘だとか魔法だとか剣技だとかの修行をほとんど積んでいないではないか。ではどうすればいい?そのお手本をここに見せようではないか。
「ジュンビハイイナ? デンセツノユウシャヨオオオオオ!!!!!!!!」
ジュピュウウウウウウン!!
これほどまでの極大な衝撃波は様々なアニメや漫画やゲームにも存在しなかっただろう。そんな過剰すぎる攻撃が蜃気楼めがけて一直線に放たれた!
「ドウダコノコウゲキハ! コレヲハナツノニ、ミッツノセカイヲイケニエにササゲタヨ!! フハハ」
蜃気楼は友達が一人もいなかった。誰からも見向きもされなかった。そんな彼が持つものそれは……。
「未来」
ズゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
全ての輝きが雲散霧消した。そして……。
「ナン……ダト?」
悪魔の体にはポッカリと風穴が空いていた。その穴からはたらたらと液が流れていた。
ドサッ
デーモンの体は地面に崩れ去った。そう、お気付きだろうが蜃気楼の能力とは、『未来』の自分からチカラを前借りする能力だったのだ。
蜃気楼はすぐ隣にずっといた少女を向き、こう言った。
「こんなもんで……どうっすか?」




