第3話
ルビのやり方を覚えました。
つきましては、1話と2話を修正しました。
会話の前後に余白を入れました。
話は変えていません。
やりました。
かなり時間がかかりましたが、やり遂げました。
結界の中核になっていた子猫と、所持していた魔晶石を入れ替え、にゃんこはタオルごと今私の腕の中です。
陽の光で子猫の瞳を痛めたらいけませんので、結界を抜け巨木が生み出す暗がりに座り込み体調確認をしているところです。
精霊達も固唾を飲んで見守っています。
封印されていた間の年数を知りませんが、祠跡の劣化具合をみるとおのずと理解させられます。
しかし、それほど痩せ細っていません。
奇妙に思いましたので、鑑定技能を使います。
▽ ステータス
名前 ジェスフェリオ
種族 幻獣種 幸運猫
年齢 3才
状態 衰弱・魔力欠乏中
やはり、封印時は時間の流れが非常に遅く過ぎていたみたいです。
それにしても、男神様。
守護に特化しているとはいえ、契約者に富をもたらすと謳われる、戦闘能力のない幸運猫に神域の守護は無理です。
きっと消耗戦となり人族に狩られてしまったのでしょう。
私の両親のように。
怒りが湧いてきます。
決めました。
今日からこの子猫はうちの子です。
大地母神様も良い機会だと思われたのですから、保護者様方も反対はしないでしょう。
子猫を膝に乗せ、ポーチから朱と翠の小瓶を取り出します。
朱い小瓶は状態回復のポーション、翠の小瓶は魔力回復の飴です。
「猫君、私はハーフエルフのセーラと申します。豊穣の女神の神子を務めています。あと普段は自治都市ミラルカで調薬師をしています」
ポーションの蓋を開け指先に少し垂らし、鼻先に持っていきます。
「 これは、状態異常を回復するポーションです。私が調薬したのですよ」
警戒されるかと思われましたが、薄目を開けて匂いを嗅いだあと猫君は素直に舐めてくれました。
喉が渇いているのかもしれません。
すかさず、小皿も取り出しポーションを注いで、口元に差し出しました。
ゆっくりとではありますけど飲んでくれます。
みゃ~う。
良かった。
衰弱も徐々に回復していていきます。
次は魔力の回復ですね。
「こちらは魔力回復の飴です。口にいれるとすぐに溶けてなくなります」
蜂蜜色の飴は薬草の苦味を極力抑えるのに、数多くの失敗を繰り返し大変試行錯誤しました。
良薬口に苦しとはいえ、効能は落ちますが各種薬やのど飴も甘味がある方がよく売れます。
幻獣種だからといって、一度にたくさんの飴を食べさせるのはいけないでしょう。
ほどほどのところで止めます。
『森と海の娘、感謝する』
猫君の状態が落ち着いたのを見計らい、精霊が頭を下げました。
『仔の母親も安心して眠れるでしょう』
『次は我らの番だな』
『 この地はシルヴィータ。内陸の西に位置する人族の国です』
シルヴィータ?
神国よりの中立国だと記憶しています。
確か大地母神様を信仰する国で、過去には加護持ちが誕生しています。
肥沃な土地があり周囲の国を支える農業輸出大国です。
『加護持ちが亡くなり、近年不作までいきませんが豊作ではなくなりました』
『作物の収穫量が減ったが、輸出量は変わらず税もあがった』
『驕り高ぶった王族が神子を掌中に収めんと、暴挙に出たのです』
『今日は儀式の情報を入手した貴族が、国王に絶好の機会だと進言した』
『神官を買収してまで、神子の情報を得ています。知られたのは、儀式の日程と外見の年齢だけですが、気を付けてください』
矢継ぎ早に対価の情報を与えて下さる精霊達に、耳を疑いたくなりました。
やはり、神国の情報規制は緩くなってきています。
そういえば、警護の神兵の姿が少ないと思いました。
不審を感じた保護者様が自前の護衛を付けようとしたのを、部外者を入れられないと断る場をみています
保護者様方に知られたら、次はお説教では済まされないのに。
頭の痛い問題がここにもありました。




