表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森と海の娘は平穏を望む  作者: 堀井 未咲
シルヴィータ編
27/197

第27話

月曜投稿です。


 ミラルカに帰還しましてからの数日後。

 シルヴィータに豊穣神の神託が再び降りました。

 それは、身許の箱庭に神子が還りつきました報告と、先の神託を一部変更された内容でした。

 私はアッシュ君とトール君に外出禁止を言い渡されましたので、浮島の研究室で研究三昧に過ごしていました。

 神域で私の話を聴いて下さいましたお母さまは、シルヴィータの国ではなく悪事を働きました人に対して罰を与えると、考え直して下さいました。

 お母さまを敵視される実りの女神様がおられますように、人族も善し悪しがありますのを拙いながらお話しました。

 聴きようによってはシルヴィータの悪事を擁護しかねません話の内容に、お母さまは異議を挟まずに聴いて下さいました。

 図らずとも取り成しているようにしまいがちでしたね。

 それでもお母さまは、シルヴィータに派遣させています眷族の報告も交えて吟味すると約束して、神界に戻られました。


 みぃあ。


 研究の息抜きにジェス君と猫じゃらしで遊んでいました折りに、アッシュ君がシルヴィータに常駐させています使い魔からの情報を教えてくれました。


「豊穣の神託が降りた」

「はい。どうなりました」

「シルヴィータの国ではなく、神子誘拐に加わった人物に対しての罰になったぞ」

「人物ですか? 王族や貴族ばかりだと思いますが、どういう罰なのですか?」

「かなり、えげつない罰だ」


 一般市民に害がなければいいのですけど。

 大陸最凶なアッシュ君がえげつない、と判断に至りました罰とはどういう意味ですか。

 当事者としましては、気になります。


「まず、神子誘拐に加担した者には全員災いの紋が刻まれる。紋を刻まれた人物が領主の場合は、領地の農作物は豊作は見込めない。領地を持たない人物の場合は、触れた植物が枯れていく」


 それは、確かにえげつない罰ですね。

 何故かと言いますと、神子誘拐に加担した者には国主たる王がいるのですよ。

 例年落ちてゆきます収穫量に更に大打撃となりますのは必定です。

 お母さまのお怒り具合いからみますと、一年では済まされない状況ではないかと思われます。

 かなり、国政が危ぶまれます。

 帝国の属国まっしぐらですかね。

 その帝国も、聖女さん頼みですと手痛い竹箆返しが、待っています。

 彼女の寿命がどれ位残されているのか、ハッキリとは教えて貰えませんでしたけど。

 精霊を使い捨てにしましたやり方には反発しかありませんでした。

 彼女に対辞しますのは、神子の私ではなく、普段の私として会ってみたいです。

 まぁ、取り巻きの方々に阻まれそうですが。


「聖女さんは、どうなりました?」

「あれか? あれは相変わらずの日常を送っているな。取り巻きの騎士に囲まれてちやほやされているぞ」

「相変わらず、ですか。トール君の魔法封じが効力を現していましても、魅了は解呪できませんでしたのですね」

「あれは魅了に憑かれすぎた一種の呪いだろう。花畑の連中に新に加わった騎士が良い例だ」


 トリシアの領主様のご子息ですね。

 聖女さんと神子を天秤にかけたシルヴィータの王族に、聖女さんに取り入りますのに利用されたに等しい彼は、彼女の騎士団に入団したのですか。

 軟禁されました聖女さん一行を強引に出国に導いていましたから、トリシアには戻れるとは思いません。

 選択がなかったかと推測できます。

 アッシュ君の事ですから、彼女に対します警戒は緩まないでしょう。

 案外彼女の寿命の件も把握していそうです。

 そして、もう一方後日が気になります人物がいます。


「殿下さんは、聖女さんの騎士団から脱退されたのですか?」

「奴なら、豊穣の罰を喰らっているな。それも、盛大に。今は聖女の精神干渉の療養中だと触れ込み、屋敷に籠っているがな」

「神子誘拐の黒幕でしたか」


 いい笑顔なアッシュ君です。

 納得しました。

 自分が盟主になると豪語していましたから、何となくそうではないかと疑っていました。

 新旧の王家を手玉にとっていそうでした。

 流石に神族相手は敵いませんでしたね。


「全身に紋が刻まれ人前に出られる状態ではない。後継者競争に脱落した形だな」

「ミラルカまで来ないですか。神子を籠絡云々言ってましたけど」

「無理だな。出歩けば足元から植物が枯れていく。豊穣の神子を誘拐して、自国に災いを招いた張本人だと宣伝したも同じだ。間接的な接触はありそうだがな」


 トリシアの隊長さん辺りが、使者として訪れそうです。

 領主様は殿下さん側みたいでしたし、悪巧みに加担して紋が刻まれていそうです。

 冒険者ギルドは静観すると通達がきました。

 アッシュ君によりますと、私は一般の冒険者扱いになっているそうです。

 神子はハーフエルフと公表されています。

 私は外見は純海の妖精族(メーアエルフ)ですので、ミラルカの街を出歩きましても神子とは勘違いされません。

 ですが、人族の国では賢者様の弟子の妖精姫の噂が独り歩きしているようです。

 始まりは他愛ない冒険者同士の話でした。

 同じ素材で作られましたポーションの効果が、他の調薬師さんと違い過ぎたのです。

 薬草を自ら栽培しています事を隠してはいませんでしたので、そこから噂が広がっていきました。

 道理でポーションの需要が年々増えていきました訳です。


「セーラ。ポーション売り切れた」

「本日分の納品は終わりました。小瓶がありません」

「大瓶持ってきた」


 思い馳せていましたら、リーゼちゃんが浮島に転移してきました。

 何方ですか。

 ポーションは適量でしか販売はしていません。

 他の調薬師さんとの兼ね合いがありますので、商業ギルドの取り決め通りの納品数です。

 苦情は商業ギルドへお願いします。


「商業ギルドの副ギルド長。二日間店を開けていない分を出せ、と居座ってる」


 なんですか、その理論は。

 もしかしまして、転売目的ですか。

 以前にも似た件がありました。

 商業ギルド内で癒着がありまして、クロス工房と関り合いがない他店の商品を、クロス工房のブランド名で商品を販売していました。

 当時のギルド職員は摘発され罪に問われまして、法外な賠償金が工房に支払われました。

 もう忘れてしまいましたか。


「リーゼ。おれの名前を出して追い返せ。暫く薬品関係は商業ギルドには卸さないと通達する」

「了承」


 アッシュ君も思い出されましたのか、リーゼちゃんに厳しい選択を告げました。

 リーゼちゃんは、頷きまして工房に転移していきました。

 はぁ。

 副ギルド長個人の暴挙なのか、ギルド全体に及びますのかは一時静観ですね。


「確か、商業ギルドの人員が代わったと、トールがぼやいていたな。工房の担当者と反りが合わないらしい。」

「職人保護から利益優先に路線変更でしょうか」

「有り得そうだな」


 先にも述べましたが、ミラルカの商業ギルドから薬品関係の商品の一日の販売数は決められています。

 これは、私以外の調薬師や治癒師の方々を廃業させない取り決めです。

 と、同時に私が未成年者ですから、調薬に懸かりきりになり研究に没頭させない為と、冒険者活動をします時間を捻出させますトール君の案でした。

 トール君は、子供は外で遊べが持論なのです。

 人族や寿命が短い種族ならば、私位の子供はもう働いていておかしくないと、一応は反論しました。

 他所は他所、内は内。

 だそうです。

 むぅ。

 頑固なトール君は、聞き入れて下さいませんでした。

 引きこもりは許されないのであります。

 浮島で泳いでいますから、運動不足にはなりませんのに。


「アッシュ。リーゼが叩き出した輩から伝言だ」


 次はトール君の登場です。

 リーゼちゃん、実力行使になったのですね。


「クロス工房の商業権剥奪だと」

「それは、大変だ」


 トール君、アッシュ君。

 顔が笑っていますよ。

 私もですけど。

 ミラルカは自治都市です。

 トール君のお父様が願いやまない荒廃していましたミラルカ復興の意思を、継ぎましたのがお二人なのです。

 ですので、都市の代表たる評議会の議長と副議長の肩書きをお二人は持っています。

 商業権を発行しますのも、剥奪しますのも、評議会の承認がなければできないのですよ。

 最終的には、お二人の承認印が必要となります。


「じゃあ、ちょっくら工房は無期限休業状態にしとくわ」

「あぁ。それは、楽しみになってきたな」


 お二人、意地が悪いですね。

 事の次第がミラルカに知れ渡りましたら、大事になりますよ。

 笑い話にはならないとおもいます。

 止める気はないですけど。

 トール君は、意気揚々と工房の休業準備にに戻られました。


「副ギルド長だけの被害になりますと、私としましては胸が痛まないのですが」

「どうかな。トールは冒険者ギルドに融通しすぎなきらいがあるからなぁ。商業ギルドとは仲が良くも悪くもないし、利潤に抜け目のない商業ギルド長が、裏で操っていてもおかしくはない」


 それは、笑えません。

 冒険者ギルドと商業ギルドの仲はよろしくありません。

 冒険者が持ち込みます魔物の素材と、遺跡や迷宮から発掘されました遺物を、巡りまして対立しています。


「セーラは気にせずに好きな事をやればいい」

「むぅ。トール君は引きこもりは許してくれませんよ」

「当たり前だ。適度な運動をしないと、健康には悪いだろう。特にセーラは日に一度は外に出ないと、心配性な母親がいるんだ」


 うぅ、それを言われましたら従わないといけません。

 お母さまも、健康面には厳しい一面がおありです。

 研究ばかりでは駄目だと釘を刺されました。


 にゃあ。


「どうしました、ジェス君」


 遊びを中断されましたから、待ちきれなくなりましたか。

 猫じゃらしを前足で叩いています。

 ジェス君は好奇心旺盛で活発な性格を見せてくれます。

 猫じゃらしを左右に振りますと、ジェス君も視線と前足を左右に振りました。


「ジェスは猫じゃらしに夢中か」

「はい。昨日は遊んでは眠りを繰り返していました」

「元気な証拠だ」


 アッシュ君の言う通りです。

 よく遊びますから食欲も旺盛です。

 体重は確実に増えました。

 何よりです。

 私が調薬中な時には、おとなしく籠の中で待っていてくれます。

 聖女さんは、こんなに可愛いジェス君をモノ扱いしようとしていました。

 我が家には空間属性持ちが複数みえますから、私が先に保護出来まして良かったと思います。

 トール君の改良転移石もありますし、ジェス君はゆっくり成長してくれましたら良いのです。

 私たち年少組にも言えますね。

 無理な成長は厳しくも過保護な保護者様がたが、許してくれそうにありません。

 ジェス君。

 一緒に保護者様がたに見守られまして、成長してゆきましょう。

 それが、一番の恩返しになります。


ブックマーク登録ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ