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森と海の娘は平穏を望む  作者: 堀井 未咲
シルヴィータ編
10/197

第10話

水曜投稿です。

昨日月曜分投稿しております。

未読の方は前話から、お読みくださいませ。

 暫し衝撃的なギルド長さんのお言葉に放心してしまいました。

 冒険者ギルドの最凶な切り札的英雄の無茶ぶりには、最上な結果を出さなくてはならなくなりました。

 亜竜とはいいましても、竜が私に近づくのを嫌うリーゼちゃんも沈黙してしまいました。


「トール殿の名を出して騎士を黙らせたのも彼の指示だったのだが、本当に何も知らされてなかったんだな」


 哀れみの表情で私達の様子を観察されるギルド長さんに、誰も答えられません。

 大陸で只一人の冒険者ランク最上位EX(エクストラ)ランクの魔人族の青年アッシュ君です。

 魔族の頂点に座す魔王様をも凌駕する実力者で、特殊な肩書きを持ち大陸中をふらふらと旅している方です。

 トール君とアッシュ君は、種族的不和な立場を乗り越え親友となっております。

 彼等二人が揃い何事か事件を起しますと、誰にも止めれない類友な関係にもあります。


「アッシュ兄さんも、トール先生も悪戯好きで秘密主義にありますから」

「諦める。討伐頑張ろう」

「そうですね。頑張るしかありません」

「彼の偉業ややらかした逸話を知っているだけに、無理せず頑張ってくれとしか言えないな」


 ギルド長さんも含めて4人仲良く項垂れるしかありません。

 気分直しに食後のお茶を啜る音だけが響きます。


「そう言えば、騎士の不始末とは結局何が起きたのですか?」

「領主の息子は3人いるのだが、次男坊が騎士叙勲を受けてトリシアに戻り、騎士団の副団長に就任したばかりでな。年子の三男が聖女の騎士団に加わった王族の乳兄弟で、何かと張り合いになり、水源地を浄化していた魔導具を聖女に持ち去られたことが判明した」


 騎士の不始末というよりは、領主家の不始末だと思われますが、騎士さんもいい迷惑ですね。

 聖女さんは何がしたかったのですか?

 これはいけないでしょう。

 立派な窃盗事件です。

 国際問題に発展してもおかしくないですよ。

 下手したら内政干渉で戦になってしまいます。


「水源地を浄化していた魔導具には高額な魔晶石が使われていて、定期的に交換が必要だったことが、領主家と街の財政を圧迫していたんだ。次男坊は聖女に浄化して貰う予定で、水源地に案内したらしい」

「馬鹿ですか。その行為は中立国の貴族にあるまじきだと思われますけど」


 ラーズ君に同意です。

 敵対してはいない=同盟もしていない。

 他国の人間に内情を暴露して良いわけありません。

 ましてや、農業大国の生命線たる水源地に王族がいたとしても、他国の聖女を招き入れるなんて、誰か常識人は付いていなかったのですか?

 聖女のお付きと称した諜報人員がいる筈でしょうに。

 シルヴィータが帝国に与したら、輸出に頼るしかない小国まで属国化するしか道はなくなってしまいます。

 神国側にしたら大打撃になりますから、新たな農業大国に支援するか……。

 ここまで考えましたら、思いつきました。

 もしかしなくても、神子誘拐には神国の思惑が含まれていましたか?


 〔後回しにしてしまいましたが、神殿は神子について何を言ってましたか〕

 〔儀式の前にシルヴィータの窮状を知り、憂いて自分から出奔したと、当所はそればかりでした〕

 〔その後神託下りた。神官長とシルヴィータが、神子を強制転移〕

 〔大地母新様が神子をお隠しにならたとも、転移失敗により行方知れずになったと、情報が錯綜しています。リーゼが、気配を頼りに竜体で捜しに行きかけた処で召喚されました〕


 やはりそうでしたか。

 神国はシルヴィータの内情を知り、聖女と神子を鉢合わせさせてでも、権勢を守ろうとしたのですね。

 以前の一件で神国の大神官や上位聖職者が、軒並み粛清されましたのに、其れほど迄に危機感を募らせていましたか。


「ギルド長さん。今回のご依頼はシルヴィータ国からですか? それとも冒険者ギルドからですか?」

「セーラ?」

「どういう意図がある質問か分からんが、君達への依頼は冒険者ギルド長からの指名依頼となる」


 冒険者ギルドランクは下からF・E・D・C・B・A・S・SS・EXとなっています。

 私達3人も冒険者ギルドに登録していまして、外見的年齢規制でラーズ君とリーゼちゃんはCランク、私はDランクです。

 パーティーランクはCですから、指名依頼はギリギリ受けられます。

 亜竜討伐は個人ならAランク、パーティーならBランクが最低ランクですので、通常ならば私達は受けられません。


「ご依頼内容は水源地の調査と、邪竜討伐で間違いありませんか」

「間違いない。彼からもそう推薦された。ランク不足だが、充分な実力はある。邪竜討伐如きで遅れをとることはない、と」


 はい、言質は取りました。

 ギルド長さんと交渉担当のラーズ君が、不思議そうな表情をしています。

 リーゼちゃんは基本的に我関せずですが、私に危険が及ばない限り自分の意見は主張しません。


 〔アッシュ君がトリシアの異変に、私達を任せた意味は間違いなく裏があります。本来の目的は討伐ではなく、調査の方だ思われます〕

 〔……面倒くさがった、ではなく。本職の下調べ?〕

 〔セーラを巻き込ませてですか? 兄さんらしくないと思いますけど……。待って下さい。亜竜は魔素に狂っているだけだとしたら〕

 〔水源地の浄化に魔導具が必要なのではなく、亜竜が要になっていた可能性が捨てきれません〕


 亜竜の属性は水です。

 実際に水源地に訪れなければ、確証はありませんけども、魔素溜まりが水中にある場合元から水が汚染されていたのならば……。

 亜竜が浄化を担っていて、魔晶石が補助若しくは魔力補給になっていたとしましたら、聖女さんが行った持ち逃げは、個人の意思だけではないのかもしれません。

 穿った見方かもしれませんが、帝国は本格的にシルヴィータを狙って来ていると思われます。

PVが1000越えました。

こんなに早く越えるとは思っていませんでした。読者の皆様のおかげです。

ありがとうございます。

これからも宜しくお願いいたします。

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