冒険者の日常5 ダンジョンの話と最後の日課
狩りを終えた冒険者たちが冒険者ギルドに集まって来た。
クエストの報酬を受け取りに、そして酒を煽る為に。
今日も楽しい飲み会の始まりである。
「うし、じゃぁ俺達がダンジョンに行った時の話をしてやんぜ!」
そう言いながら酒を飲むのは、昼間に酒を奢ると約束したギレルのおっさん。
と、そのパーティー仲間のおっさん3人。
「良いか? まず、ダンジョンってのはそこら辺の魔物よりはるかに弱い。多分ジユーでも楽に倒せる。だが、金にならん」
「何でだ? 魔物が倒しやすいって事は素材取り放題になるんじゃね?」
「ダンジョンで倒した魔物はな」
そう言って言葉を区切り、顔を寄せんてくるおっさん。
何で顔を寄せてくるんだ?
あと酒くせぇ。
「死体が消えるんだ」
「ほう」
「魔石は落ちるんだけどな。あと、時々倒したモンスターの素材も落ちるな。ウルフ系だったら爪とか牙とか、スケルトン系だと錆びた剣とかな」
「あー、アレな。ジユー、スケルトン系は相手にしない方が良いぞ。魔石を落とさねえくせに他の魔物に比べて手ごわいし、錆びた剣とか拾っても金にならねぇからな」
なるほど。
ダンジョンの中はゲームのドロップアイテムシステムって事だな。
そして、スケルトン系の魔物は倒してもうま味が無いと。
「じゃぁ何でみんなダンジョンに行くんだよ? 金にならねぇんだろ?」
まぁ、宝箱的な何かがあるんだろうな。
予想はつく。
が、こういう時は無知を演じるに限る。
その方がおっさん達は機嫌よく話をしてくれるからな。
「ふっ、甘いぜジユー。ダンジョンにはなトレジャーアイテムがあるんだ」
「トレジャーアイテム?」
「おう。ダンジョンでしか手に入らない特殊なアイテムだ! 何を隠そう、俺の持ってるこの剣がそのトレジャーアイテムだ!」
そう言って、俺に剣を見せつけてくるギレルおっさん。
とりあえず鑑定してみる。
不壊の蒼剣 トレジャーアイテム 所持者ギレル
この剣は決して折れず、曲がらず、壊れることが無い。
第17階層をクリアした証。
なんてシンプルな説明文なんだ。
そんでもって実に優れた能力だ。
この世界で剣ってのはそこそこの頻度で買い替えないといけない消耗品だ。
魔物と毎日戦ってると半年も経てば買い替え時である。
冒険者を続けるのも結構大変なのだ。
主に装備品関係で。
安物の剣では魔物をうまく切れない。
しかし、良く切れる高価な剣を購入しても半年もしないうちに壊れる。
質の良い剣を大事に使っていくか、質が悪い剣を使い捨てつつ戦うか。
冒険者にとってはある意味で永遠のテーマだ。
この街のおっさん達は質の良い剣はパッキパキ折り続けながら魔物と戦っている。
アレンのおっさんは一月ペースで剣を買い替えてたりする。
戦闘狂スタイルだと、剣はすぐにダメになるのだ。
ゲームの世界みたいに一本買ったらそれをいつまでも使えるって訳じゃないわけだ。
ちなみに、俺は剣の技量が低いので安物の剣を主に扱う。
高い剣を使ってもすぐにダメにしちまうからな。
最近は三日に一本は剣をパキパキしている。
凄まじい消費スペースである。
一日に4~5本バキバキ折っていた頃と比べればだいぶマシになってはいるんだが……。
ともかく、この【不壊の剣】というのは冒険者であればだれでも欲しがる一品である。
俺も欲しい。
「壊れない剣、か。売ってくれよ」
「おう! すげーだろ? 白金貨2枚で売ってやるぜ。ガハハ」
白金貨2枚。金貨20枚ってことか……払えなくもないな。
というか、ぶっちゃけ余裕で払える。
上毒草の依頼を達成したときにエルさんに白金貨で報酬を受け取ってるからな。
買うか。
「よし、買っ」「いや、ジユーにやっても使えないだろトレジャーアイテムなんだし」
「ガッハハハハ。騙されてやんの!」
トレジャーアイテムなんだし?
あとギレル。
その子供がイタズラに成功した時みたいな笑い方止めろ。
ムカつく。
「どういう意味だ?」
「トレジャーアイテムってのは最初に拾った奴にしか使えないんだよ。これが金にならないのに冒険者がダンジョンに潜る理由ってこった」
なるほど。
俺みたいに金は持っているけどクソ雑魚の冒険者には、所有者になる資格すら与えられないのがトレジャーアイテムってことか。
ガッカリだよ。
「あー、そんなに落ち込まなくても平気だぜ? ジユーみたいなのはトレジャーハンターと組めば良いんだ」
「トレジャーハンター?」
「おう、トレジャーハンターってのはトレジャーアイテムの収集を仕事にしてる連中だ。ジユーが今やってる採取屋のダンジョン版みたいなもんだな」
採取屋というのは、俺みたいに採取クエストばっかりしている冒険者の呼び名だ。
一日の稼ぎはそれ程多くは無いが、採取クエストというのは基本的に毎日貼りだされる。
強力な魔物を一体倒して、2~3日遊んで暮らす。
という事は出来ない代わりに、冒険者という職業にしては安定した収入を得ることが出来る。
採取クエストってのは、報酬が高かったとしても受ける人が少ない。
地味だし、鑑定スキルが無いと採取クエストっての難しいからな。
ついでに言うと、鑑定スキルを持っている人はかなり少ない。
この冒険者ギルドで鑑定スキルを持っているのは、ギルマスとレーナと俺だけだ。
鑑定スキル持ちがそもそもレアで、鑑定スキルと文字を読み書き出来れば冒険者のギルド職員(高給取り)になれるのも相まって、採取屋という選択をする人はメチャ少ない。
端的に言えば採取屋と言うのはスキマ産業的な何かだ。
一定の需要はあるが、他にもっといい仕事があるから誰もやらない。
実際、俺も少し前まではギルド職員だったしな。
ちなみに、俺に関して言えば超幸運スキルのおかげで採取屋として余裕で生計が立つ。
むしろ、レアな草を採取しやすいので下手に討伐クエスト受けるよりよっぽど儲かる。
その上、モンスターの討伐もしているからな。……おっさん達が、だけど。
「そのトレジャーハンターってのに協力してもらえば俺もトレジャーアイテムをゲット出来るのか?」
「どうだろうな。結局のところ運だからなんとも言えねぇな。ま、お前は『自由な幸運者』だから余裕かもな。ガハハッ」
「その呼び方は止めろって言ってんだろうが。で、アンタ達の時もそのトレジャーハンターとやらに手伝って貰ったのか?」
「当ったり前よぉ。良いか? ダンジョンに潜るときにトレジャーハンターを雇わないってのは自殺行為だぜ。知ってるかジユー。ダンジョンに潜った冒険者の内、一番多い死亡理由は餓死なんだぜ? ダンジョンの初心者がトレジャーハンターを雇わないで道に迷った挙句死ぬってのは珍しいことじゃねーんあ」
なるほどね。
トレジャーハンターってのは道案内の役割を含めてるってことね。
「他にダンジョンで気を付けることって何かあるのか?」
「そうだなぁ……、ダンジョンの通路って言うのは一見すると一本道に見えるが実は違う。10歩進んだら一度振り返るぐらいの間隔でいた方が良い」
「ん? 振り返るとどうなる?」
「道が増えてるんだよ」
「……は?」
「おいおい、オメェの説明だとジユーが混乱すんだろ。いいかジユー? 正確には『少し前まで確認できていなかった脇道が見えるようになる』んだ。ダンジョンてのはなとにかく暗い。その上、明りの影とか、ちょっとした岩陰で結構脇道を見逃すことがあるんだ。で、脇道を見逃すと……」
「背後から奇襲を受けるってことか」
「そういうこった。だからダンジョンに入るときは絶対に2人以上で行けよ。ダンジョンで怖いのは、1に脇道、2に食料、3に人だ。」
「ダンジョンで脇道が怖いってのはまぁ、なんとなくわかった。食料ってのも分かる。でも、人って? ……アレかダンジョンの中だと人に襲われるってことか」
「あぁ。ダンジョンの中ってのは完全に無法地帯だ。ダンジョンの中で人殺しをしても『魔物に食われた』って言えばなんとでもなっからな。ま、これに関してはジユーは平気だな。他人に対する警戒心だけは無駄に高いからな」
「そうだな」
悲しいことに、俺が金持ちだという事はこの街の人間なら誰でも知っている。
金を持っている人間がヒョコヒョコと草原を歩いていればどうなるか。
非力な男が街中をフラフラとしていればどうなるのか。
そんな事は既に体が理解している。
何回か死にかけてるしな。
この世界では安定した職業なんかより、腕っぷしの強さの方が何倍も重要である。
だからこそ、俺はこの世界では強くありたい。
ドラゴンが上空を飛び回り、魔物がそこら辺を歩き回り、街中ですら俺にとっては危険なこの世界で、それでも俺は『自由』を望んだのだから。
「でもダンジョンの中では【擦り付け】にも気を付けなきゃいけねぇ。というか、ぶっちゃけこっちのがヤベェ」
「擦り付け……言葉から察するに魔物を擦り付けられるってことか」
「そうだ。暗く、狭い通路で魔物を引き連れてこっちに走って来やがるわけだ。自分の力量を過信した馬鹿共がな。まったく、巻き込まれる方はたまったもんじゃねーんぜ。アレは余裕で死ねる」
「へぇ、お前らは巻き込まれたことがあるんだな」
「ああ! 聞いてくれよジユー!! これがまた最悪な奴らでよぉ」
少し長い上に、私情を含んでいた話を三行でまとめると、
擦り付けを仕掛けて来たのは男1、女3のハーレムパーティだった。
擦り付けられた後、ケンカを始めたハーレムパーティの一人がその時組んでいたイケメンのトレジャーハンターの男に惚れた。
結局、ダンジョンの探索は打ち切りになり、ギレルたちはトボトボとこの街に帰って来た。
って事らしい。
「それって、どうなん? トレジャーハンターの仕事ってのはトレジャーアイテムを探す仕事なんだろ?」
「なんれも、『1つは見つけたんだからもう良いだろ』ってよぉ。『彼女たちはもう食料を多く持ってない。ここで僕は失礼する』っつってよぉー。ひでーよな。女たち助けたのは俺達なんだぜ? それをあの男はよぉー、仲裁に入っただけで実際に魔物から守ってやったのは俺達なんだぜ? それを――」
段々酔いが回ってきてんな。
めんどくさくなる前に退散すっか。
「よし、飲め飲め。金は俺が払っとくから飲んで忘れろ」
「うぅ、ジユーウ……俺は別に僻んでるわけじゃなくてよー。違うって思うんだよなぁ……。あの男はぁよ? 戦闘の時は逃げ回ってたくせにちょーっと、話すだけで女にモテやがってよぉ。顔か! 結局顔なのか!! やってらんぇよ。なぁジユー。……ジユー?」
◆
ダンジョンか。
一度行ってみたくはあるな。
トレジャーアイテムってのが運依存の物だとするなら、俺は結構楽に手に入れられそうな気がする。
それに、俺の場合食料は大量に持ち込めるからかなり長期間ダンジョンに潜ってられる。
でもなぁ、話を聞くに信頼出来る仲間は必須っぽいよな。
即席の金で雇ったトレジャーハンターも、依頼主より女たちを優先して帰るみたいだし信用できねぇ。
護衛を雇うってのもダンジョンの中だと論外っぽいよな。
トレジャーアイテムの取り合いとかありそうだもんな。
ソロで行くとしても脇道ってのが怖えよなぁ。
実際に潜ってみないとわからないってのはあるけど、なんとなく言っている事はわかる。
今いる夜の森ですら、気を張ってないと木陰の魔物を見逃すからな。
それに、擦り付けってのは貧弱な俺一人だと切り抜けられそうにない。
俺の何倍も強いギレルのおっさん達ですら厄介だって言ってたし……。
「はー。信頼出来る仲間、欲しいなぁ……」
何で3年もあったのに仲間の一人も見つけられないのか?
と問われれば、色々と言い訳は出来るが、結局のところ。
「俺の心が狭いんだろうな。……っと」
魔物を見つけた。
ワイルドウルフの通常個体だ。
俺はアイテムボックスから弓と毒矢を取り出す。
ワイルドウルフに向かって弓を構える。
狙うのは頭ではなく、胴体だ。
弓の基本はとにかく『当てる』ことだ。
ゲームみたいに頭に当てて即死を狙うってのもアリなんだろうけど、俺は弓スキルすらまだ獲得出来てないへっぽこスナイパーだからな。
この毒矢だか、昼間には決して使わない。
毒なんて危ないもんを使ってたら、他の冒険者に迷惑だからな。
例えば、俺が適当な魔物に毒矢を当てて逃げられたとする。
で、その魔物を横取りするように他の冒険者が仕留めてその肉を食おうもんなら――、な。
そういうこと。
「キャウゥン」
俺の放った毒矢がワイルドウルフの胴体に突き刺さったのを確認して、俺は逃げ出す。
1、2、3、4、……。
腹に弓矢が刺さっていると言うのに、ワイルドウルフはま腹に刺さった弓矢など気にせずに俺を追いかけてくる。
人間の足では魔物に追いつかれるのは当然だ。
時々俺の背中をめがけて飛びかかってくるワイルドウルフを、今までの経験を元に躱していきながら目的地まで逃げる。
47、48、49……。
俺は、森の中でも比較的開けた場所で足を止め、ワイルドウルフに向き合う。
ワイルドウルフの瞳に宿るのは明確な敵意だ。
何度向き合っても怖いものは怖い。
だが、ここを越えられなければ俺は弱いままだ。
弓をしまい、剣を構える。
62、63、64……。
ウルフの攻撃は、おっさん達の攻撃に比べれば軽い。
貧弱な俺が、剣を使えばギリギリ躱せるレベルだ。
おっさん達のように一発でも食らえば即気絶、というわけではない。
躱す。避ける。受ける。
だだひたすらに耐える。
167、168、……。
大丈夫だ。行ける。後少しだ。
動きが鈍って来た。
210、211……。
そろそろ時間だな。
俺は剣を振り抜き、既に事切れているワイルドウルフの喉を引き裂いた。
この毒矢は毒が回るまでウルフ系の魔物の場合大体210秒かかる。
最初に矢を放ってから約3分~4分って事だ。
俺の夜の日課。
それは毒矢を当てた魔物が息絶えるまでの間、魔物の攻撃にただひたすら耐えるだけという物だ。
危険な夜の森で何故そんなことをするのか?
と聞かれれば答えは強くなりたいからというのと、毒矢を使っている訓練だから、だ。
俺が毒矢を使っている所は誰にも見られたくないし、誰にも知られたく無い。
「ふう、次の獲物を探しに行きますか」
毒矢の良い点は、何故かわからないがウルフ系の魔物が援軍を呼ばなくなる点だ。
何故? と聞かれても困る。
俺だって不思議なのだから。
強いて推論を述べるなら、毒をもらってるせいでハイなテンションになってるんじゃないかな。
知らんけど。
お、血の匂いにふらふらと誘われたウルフが来た。
っし。
「ギャオォン」
夜の狩りは終わらない。
まだ狩りは始まったばかりだ。
◆
月草種。
と呼ばれる草がある。
特徴としては5つ。
1、月の光を浴びると淡く光る。
2、月の進みによって草の種類が変わり、効能が変化する。
3、傷や毒を治す特攻薬になる。が、かなり見つかりにくい。
4、採取してから24時間経過すると枯れる。
5、急に生えてくる草であり、水や栄養の無い砂漠でも発見報告アリ。
要するに薬としてメッチャ価値がある超レアな草である。
そして、取り置きという選択肢が初めから取れない厄介な草でもある。
運良く採取出来ても、有効活用できずに枯らしてしまうことが多いらしい。
ま、俺にはアイテムボックス先輩があるから取り置き可能だけどな。
ワイルドウルフを8匹倒し、一定の安全を確保した森で今日も俺は月草種を探す。
これが、俺の一日で最後の日課だ。
この日、月草種の草は一本も見つからなかった。
まぁ、俺の幸運を持ってしても一ヶ月に一本見つかれば良いってレベルでレアな草だから、見つからなくても落ち込んだりはしない。
いつものように森に生えている食用のキノコを採取しつつ、俺は街に帰った。
◆
「また来たのか。変態ミドリ」
「そりゃ来るだろ。今日はこれと、これとこれな」
そういって、俺はキノコの採取クエストを3つ選び、レーナに伝える。
今日は森での狩りを予定している。
なんとなくキノコを食いたい気分になったからな。
いつも通り、即納品可能な依頼を選んであるが、キノコ狩りの為に森には行く。
「……ところで、あの変態の護衛任務はあれからどうなった?」
クエスト用紙に受注サインを書き込みながらレーナが問いかけてきた。
珍しいな。
こいつの方から話題を振ってくるとは。
てか、あのクソガキは俺と同じ『変態』カテゴリかよ。
一緒にしないでくれ。
なんか嫌だ。
「さあな。俺の知ったことではない」
「何を言っている。お前は依頼主だろう?」
「まぁ、俺としては結果はどうなって貰っても構わない依頼なんだよ。じゃ、俺はもう行くぜ」
俺があの依頼を出した理由は、一言で言えばただの自己満足なんだ。
それに、結果はどうせ決まってるしな。
あのクソガキはあと二日以内に死ぬんだから。
◆
「なぁ、何でお前らがここに居るんだよ?」
森の狩場でせっせとキノコ狩りに勤しんでいたら、例のクソガキとアレンのパーティーに遭遇した。
足元に数体のウルフの死体が転がっているので、どうやら俺と違ってまっとうに冒険者をしていたらしい。
「今日は森での狩りを体験させてやろうと思ってな!」
「あっ、本当に冒険者なのに採取クエストばっかり受けてるんだな。流石変態」
うっせー。
お前もレーナに変態扱いされてるんだよ変態。
しかし困ったな。
神様に関わるなって言われてたから距離を離しつつ、自己満足出来る形として護衛依頼を出したのにこれじゃあ意味がないじゃないか。
……仕方ねぇな。
今日はもう切り上げて帰るか。
キノコは思いのほか採取出来たしな。
というかアレだ。
変態の烙印を押されてしまった俺に問題があるのは認めざるを得ないし、変態扱いされること自体には俺はそれほど怒りを感じていない。
ある意味自業自得だし、実際俺は俺自身の事を『変態』だと思っているからな。
だが、何でコイツに言われるとこんなにイラッと来るんだろうか?
不思議だ。
……いや、今まで変態扱いされているのを受け入れていた俺がおかしいのか?
◆
「どうしたのだ変態ミドリ。今日はいつもにまして早いじゃないか。何かあったのか?」
「いんや。なんとなく早く帰りたい気分だっただけだ。これ、採取したキノコの納品な」
やっぱりレーナに変態って言われてもイラッと来ないな。
なんでだろ?
不思議だ。