クソガキと訳あり少女2 ひくクソガキとひかない少女
「とりあえず、なんで俺が殴られたのかを聞いても良いか?」
「ツッ、テッメェ!!」
胸倉を掴むな、あと馬乗りになるな。
あー、背中がいてぇ。
やっぱ避けとけば良かった。
というか、いきなり人を殴るとかどういう教育を受けてたんだコイツ。
少女を泣かせたら誰かが止めに来るとは思ってたけど、まさかいきなり暴力とは思わんかったぞ。
しっかしおっせぇパンチだったな。
俺ですら見切れるレベルのこいつがショボいのか、未だに完全に見切れる気がしないこの街のおっさん達がヤバ過ぎるのか……。
しっかし普通に痛ぇな。
ホント避けとけば良かった。
あ、鼻血出て来たかも……。
「な!? おい止めろ! 死にたいのか!?」
アレンが叫ぶ。
そうだよな。
ここは冒険者ギルドだ。
受付がケンカの仲裁に入ってうっかり人が死んでしまう冒険者ギルドなんだ。
ほら、さっさとどけクソガキ。
……ッテェ。
何3回も殴ってんだよオメェ……。
「何言ってんだオッサン! こんな奴――」
「お前じゃねぇーよアホ! 止めろジユウ!そんな事したら冒険者ギルドに殺されっぞ!!」
……俺?
あぁ、なるほど。
アレンに言われてやっと気が付いたんだが、俺の右手には抜き身のダガーが握られていた。
いつの間にかクソガキの喉元に押し付けていたダガーをゆっくりと離す。
今アレンに言われなかったら間違いなくヤバかった。
いかんな。
どうもコイツを相手にするとキレやすくなるみたいだ。
やべぇな称号効果。
まさか一瞬で殺意が湧くレベルで人をイラつかせるほどだったとは思わなかったぞ。
……オレンが初日にメッチャ殺気だってたのもこれが原因か。
マジやべぇ。
睨むのやめてレーナ。
大丈夫だから。
大人しくそこに座ってろ。
ちょっ、待って! 行かないで!
ギルマスを呼びに行くのはヤメテ!
俺の心の叫びがレーナに届くことはなかった。
あぁ、これは絶対にギルマスに説教される。
下手したらランク降格処分もあり得る。
流石に除名処分は無いよな?
あ~、確かこういう時って罰金も発生するんだっけか。
最悪だ。
マジでこのガキの事はほっとけば良かった。
コイツに関わるとロクなことにならん。
いや、刃物を取り出した俺が悪いんだけどさ。
「すまん。助かったよアレン。あと早くどけクソガキうっかり殺しちまいそうだ」
こちらに駆け寄って来たアレンに礼を言いながら、馬乗りになってるガキをどかそうと力を入れる。
すると、驚くほど簡単にガキを押しのけることに成功した。
マジか。
ウルフの方がよっぽどどかすのに苦労するぞ。
いや、魔物と人間の力を比較する時点でおかしいんだけど。
それにしても軽すぎんだろ。
どういう事だ? と思って、クソガキを見ると顔が真っ青だった。
なるほど。
ビビっちまって声も出ないってやつか?
このガキ完全に腰を抜かしてやがる。
わかるぞ。
俺も初めて死の恐怖に直面した時は腰が抜けた。
俺には正面からの戦闘は向いてないってわかったから、いい経験でもあるんだけど。
そのおかげで、今の俺があるわけだしな。
あの時の恐怖を克服すべく、俺は毎夜狩りに通うようになった。
何度も危ない目にあわされたが、おかげでどんなにヤバイ場面でも気合で乗り切ろうとする度胸ぐらいはついた。
夜に狩りをするようになってから、木登りがメッチャ得意になった。
なんでだって? 木に登っとけばウルフなんてただの弓の的だからな。
あと安全。ケガをして死にかけてても木の上なら超安全。
ケガした時に血の匂いに誘われてくる追加のウルフを対処する為に覚えた。
死にたくないから必死になってたらいつの間にか木登りが得意になるなんてな。
人生わからないもんだが、人間必死になれば大抵のことはなんとかなると実感した出来事でもある。
ちなみに夜に狩りをしてる理由はいくつかあるけど、一番の理由は【何故かどこからか現れる、親切な冒険者さん同盟】のおっさん達が近くにいないからだな。
要するに、誰かが助けてくれるような状況に居るといつまで経っても成長出来ないからって理由だ。
最初に死の恐怖を味わってからしばらくは大変だった。
魔物を相手にするのが怖くてなぁ……すっかり臆病になっちまった。
いっそ冒険者なんて止めて、このままギルド職員として生きていこうかなとか考えたりもした。
まぁ色々あって、結局冒険者になった訳だけど。
それにしても、ウルフに押し倒された経験がある回数は全世界中で俺が一番多いんじゃないか?
人に馬乗りにされた時にウルフと比較するような人間はどの世界でも俺以外にはいまい。
なんか悲しくなってくるな。
「ふぅ……」
気持ちを落ち着かせながら、ダガーを袖にしまう。
ちなみにこの隠しダガーの技術はオレンに教えて貰ったものだ。
アイツの前世が忍者だって言われても俺は信じる。
倒れた椅子を元の位置に戻し、座る。
目の前の少女は怯えている。
当然か。
というか、今のはやり過ぎた。
誰だって、目の前に座っている男が急に刃物を取り出す危険人物だと知ったらこういう表情になる。
予定とは少し違うがこれもアリか。
少々脅し過ぎた感は否めないがな。
「さて、シノ。改めてもう一度聞くがお前の要求は何だったかな? あぁ、俺がたった今クソガキにぶん殴られたのは気にしなくて良いぞ。理由はともかく、子供を泣かせるようなクソはぶん殴られて当然だからな」
目の前の少女がピクリと震える。
怖いだろうな。
急に危険人物に自分の名前を呼ばれたんだから。
ま、そのためにワザと今まで名前呼びをしないようにしてたんだけど。
ついでに、罪悪感を感じるようにイジメていく。
さぁ、とっとと家に帰れ賢い少女よ。
賢い人間ならこの状況でどうするべきかわかるだろう?
急用を思い出せ。
簡単な事だろ。
「……依頼の取り消しを……」
マジか。
この状況でまだ言うのかよ?
いやいや、限界ギリギリだよな?
試しに本気で睨んでみる。
さっきの時とは違い、この少女に対する殺意を乗せた本気の睨みだ。
先程の行動と合わせて、かなり怖いだろ?
ほら、急用を思い出せよ。
目の前にいる男は簡単に刃物を取り出す危険人物だぜ?
「ッ……」
今度は泣きもしないのか……。
まいったな。
こんなのどうやって追い返せば良いんだよ。
流石に小女相手に暴力をふるうほどクズにはなれんぞ。
ここで大声出して脅しても良いんだろうけど、正直これ以上はしたくねぇな。
あんまり俺の評判が悪くなっても困る。
「はぁ……。シノ、確認したいんだがどうしてそこまでしてこの依頼を取り消したい? 薬剤ギルドにはそんなに金がないのか?」
そもそもの疑問点だ。
白金貨6枚の価値ってのは、一個人としては大金だ。
だが、一ギルドとしてはどうだ?
冒険者ギルドはその性質上、それなりの額を管理している。
それこそ白金貨をポンッ、と6枚も俺に支払えるぐらいに。
薬剤ギルドってのは文字通り薬剤を売るギルドだ。
毒薬とか、解毒薬とか、ポーションとかポーションとか、ポーションとかな。
ぶっちゃけ、利用したことがないから詳しくは知らない。
俺は心配症かつビビりな性質をしっかり親から引き継いだ日本人だ。
ポーションだって、それなりの数を所持している。
他の冒険者にしてもそうだ。
ポーションは一番安いのでも一本で銀貨3枚だ。
そして、この街のおっさん達はアホみたいに強いが、それでも普通に人間だし怪我だってする。
俺がギルド職員として働いている時も、一日で20~30本は売れてたんだ。
多い時なんて、一日で70本近く売れた。
70本×銀貨3=銀貨210枚だ。
ほら、この時点で白金貨2枚じゃないか。
一カウンターでこれだぞ。
他の受付嬢だって、それなりにポーションを売っているはずだ。
卸値がいくらかは知らないが、少なくとも白金貨6枚をこんな必死になって回収したがる理由がわからん。
それこそ、冒険者ギルド(売る側)と薬剤ギルド(仕入れ先)の不仲が噂される程度には売れているはずなんだ。
なのに何で金が無いんだよ?
「それは……その、言えません……」
なんでだよ。
人に言えないような事情なのか?
わからん。
そもそも、何で小女がこんなことをしてるんだよ。
薬剤ギルドの大人共は何やってんだよ?
意味わからん。
薬剤ギルドとしては金はあるけど、薬剤ギルド長としては金がないとかそういう感じなの?
だとしても、上毒草の依頼は薬剤ギルドとして出ていたはずだし……。
もしかして、あの依頼は薬剤ギルド長とエルさんが個人的に結んだ契約とかそういう話なの?
だから金がなくて困ってるみたいな感じ?
でもギルド長ってのは金持ってるイメージ。
エルさんの家とか大きい屋敷だしな。
うん、ギルド長は金持ってるよな。
やっぱり意味わからんし、理由もわからんが、目の前の少女はどうも引く気は無いようだ。
そんな風に涙目になりながら俺の事を見るぐらいなら、とっとと家に帰れ。
はぁ……、どうしよ?
散々少女をイジメといて、今更やっぱり依頼を取り消す。なんてことは出来ないしなぁ。
そもそも、悪いのは俺じゃないんだし、依頼の取り消しをしたらギルマスにも迷惑がかかる。
とすると、個人的な取引として済ませる必要があるわけだよな。
……いやいや、だから俺は悪くないんだって。
何で俺の金で目の前の少女を助ける流れになってるんだよ?
ふざけんな。
これは俺が稼いだ金だぞ。
そもそもなんなんだよこの少女は?
何で涙目になってんの?
泣きたいのは俺の方だっつうの。
被害者ぶるなよ。
お前がそういう態度をとってるだけで、俺の評判が氷点下なんだけど?
俺は何も違法行為はしてないんだぞ。
普通に依頼を受けて納品をしただけだ。
それでどうして俺が悪者扱いされてるんだ。
どう考えても俺が被害者だろうが。
なんかイライラしてきた。
ふざけんなよマジで。
「はぁ……理由は言わねぇのに金は要求すんのかよ。意味分かんねぇ」
「……すいません……」
何がすいませんだ。
謝るくらいなら最初からここに来るなよ。
「さっさと金返してやれば良いだろ変態。借りたものはきちんと返せよ」
はぁ……。
凄いなこのガキ。
どうやったら俺がこの少女に借金をしているって解釈になるんだよ?
どう見ても机に並べた白金貨は俺の傍にあるだろうが。
これは俺の金だ。
俺は少女の後ろに立ち、俺を見下ろしているガキを見る。
さっきまで腰抜かしてたくせに立ち直るのが早かったな。
あれか、アレンが隣にいるから平気だと思って高を括ってるってとこか。
益々嫌いなタイプだ。
なんでこういうアホは無駄に偉そうなんだよ。
お前が偉い訳じゃねーだろ。
俺の凶行を止めた奴が隣に立ってるってだけだろうが。
っと、いかんな。
落ち着け落ち着け。
今気が付いたんだが、ギルマスが柱に隠れてこっそり様子を伺ってる。
ここで刃物を取り出そうものなら、マジで冒険者の資格を失いかねん。
「ふざけんなよアホ。これは俺の金だっつうの。むしろこの状況は少女が俺に借金したがってる場面だ。よく考えて物を言えこのチキン野郎」
「は? 子供相手に借金させるとかお前クズ過ぎんだろ。引くわー。なぁ、おっさん? あんたもそう思うだろ? それにべ、別にビビッてねーし」
やっべ。
コイツアレか、煽り性能にステータス極振りしてるのか。
すっげームカつくんだけど。
それと膝震えてるんだよアホ。
ビビってるくせに見え見えのウソをつくな。
お前は常に振動してる人気者のケータイか何かかよ。
いやこいつの場合、どう考えてもその連絡は呪詛関係の呪いの言葉だけどな。
世界中の人間に嫌わそうな勢いで称号の効果がヤバいもんな。
そんな事を考えてたらアレンが口を開いた。
その表情は何処か苛立っているように見える。
この超が付くほどのお人好しがイライラしてるところ、俺初めて見たぞ。
「思わねぇな。それとお前はまずジユウにさっき殴ったことを謝れ」
「ハァ? なんでだよおっさん! こいつが――」
「謝れ死にたいのかお前」
「え? ……え、? 意味分かんねぇし……」
そういいつつ、一応、俺に向かって頭を下げるクソガキ。
自分が微塵も悪いと思ってねーくせに頭下げるんじゃねーよ。
とりあえず謝っとけってか?
どんだけ軽い頭なんだよ。
いや、実際に頭の中カラッポだから軽いのかもしれないけどさ。
しっかしすっげぇなマジ。
こいつの行動の全てが煽って来てるようにしか見えねぇ。
謝罪をするだけで人を不快にさせる男がいるってマジ?
……いや、日本に居た時もそこそここういう奴は居たな。
なんでこういう奴って自分の事が絶対に正しいって思い込めるんだろうな?
不思議だ。
「殴りたくなるだけだからその頭とっとと上げろ。ところで、お前は何で俺の事を殴った訳? 少女を泣かせたからとかいう表面上の物事だけで判断した訳じゃねーだろうな?」
「そうだけど? むしろそれ以外で理由があんの? あと一々煽ってくんなクズ」
心底不思議そうな顔で俺に聞き返してくるアホ。
「……なぁアレン。普通そんな理由で人を殴ったりしないよな? しかも合計で4回もだぜ。せめて言葉で止めに入るのが先だよな? それとも俺か、俺がおかしいのか? 普通は目の前で誰かを泣かせる奴が居たら殴りかかるってのが常識なのか? 俺はそんな常識を知らないんだが、アレンは知ってったのか?」
「そんな常識は俺も知らねぇよ。ところでよ、この嬢ちゃんが依頼を取り消しを要求してるんだよな? 詳しく説明してくれよジユウ。途中からしか聞いてないから状況が良くわからねぇんだよコイツもな」
そう言ってアホガキを親指で指差すアレン。
はぁ、面倒見良すぎかよおっさん。
あんた今の説明するだけで大体状況わかってんじゃねーか。
あと、少し大きな声で言ってくれてありがとな。
俺に突き刺さっていた冒険者達の視線が多少マシになったよ。
さて、ここまでの流れをこのふてぶてしいガキに説明しなきゃいけないのか。
はぁ、面倒だなぁ。
あとそこの柱の影で様子を伺ってる青髪の二人。
様子伺ってないで助けてくれ。
これは本来あんたらの仕事だろうが。
ま、今までの恩を返すって意味で頑張れるんだけどさ。
◆
「なんだ。それならアンタがこの子に金を渡せば全部解決じゃん!」
ハァ!?
こいつの頭の中身はアンコしか詰まってねぇのか。
どこの世界に自分が稼いだ金を他人に渡すアホがいるんだよ。
あ、一部の人が慈善事業でやるのは別な。
ああいう行いは、俺という個人として実際にやろうとは思わないが善い行いだからな。
ま、そういうのって大抵イメージアップの為の偽善的な行いだから、本当の意味での慈善事業かは別だけどな。
それでも、他人の為に何にもしようとしない俺なんかよりは何倍もマシだ。
やらない善よりやる偽善って言うしな。
ただ、別に会社の社長でも何でもない一個人が、今日初めてあった少女の為に大金を渡すのかと聞かれたら、大抵の人は断るに決まってるだろ。
俺だってそうだ。
というかきっと慈善事業をしたい会社の社長でも断るだろ。
金を払ったところで得しないもんな。
こんな状況でも金を払いたがる人はガチの聖人か、超のつくロリコンか、金が有り余って仕方ないアホ か、考えナシのアホだけだ。
俺はこのどれにも該当しない。
ボランティア募金(集めた金をボランティア活動に使うとは言っていない)ってのも最近多いしな。
大地震の時にそれで2000万円儲けた奴らが逮捕されたってニュースをどっかで見た。
それから募金箱に金を入れている偽善者を見る度、俺は何とも言えない気分にさせられる。
目の前の少女の行いが、新手の詐欺って可能性も0じゃあるまい。
本当になんでこの子はこんなことしてるんだろうな?
薬剤ギルドは今経営難なのか?
仮にそうだとしても、タダで金は渡さないけどね。
「なぁなぁアレン。あんたが同じ状況だったらこの子に金払うか?」
「払うわけねぇだろ。ってかそもそも話し合おうとすら思わねぇよ。嬢ちゃんとリートは冒険者ナメ過ぎだな」
「うんうん。これは嬢ちゃんが悪いな。あ、ヤエちゃーん!ビール1つ!」
「だなぁ。俺だったらもっと怒るわ。あと俺もビール飲む。アッシュは?」
「俺も貰う」
「OK、ビール3つな。ヤエちゃーん!ビール二つ追加ー!」
「シュウ、三日経った訳だし報酬をくれ。一秒でも早くこの依頼を終えたい」
こいつら仲良しだな。
正直羨ましいわ。
アレンのパーティー仲間達を見ながら、俺は思った。
最期に発言した男は普段無口なくせに相変わらず金に関わる事はいつも饒舌だな、と。
あとビール頼むならこの場に居る全員に聞けよな。
俺もビール飲みたいぞ……。
「えっ? なんでだよ、こいつが金を払えば全部解決するんだよな?」
「……リート、お前マジで言ってんのかよ」
「マジだけど?」
あ、アレンのおっさんでも流石に呆れてる。
あとビールを運んできたウェイターのヤエちゃんさん。睨むの止めて。
俺、別に悪いことしてないってば。
ギルド職員に嫌われるのはともかく、酒場で働いてる人にまで嫌われたくはないぞ。
「……シュウ。報酬――」
「あーもう! うっさいんだよオレン! おら、これで良いのか?」
そう言って、俺はオレンに銀貨7枚と大銅貨3枚を渡す。
まったく、依頼の報酬はギルドから貰えよな。
……あ、この依頼にギルドは関係ないって書き足しちゃったから俺に要求して来たのか。
「……三日でコレか……金額的には良いが二度とやりたくない依頼だったな……」
そう言うなよ、3日で銀貨7枚と大銅貨3枚とかどんだけ割のいい仕事だと思ってんだ。
ほら、受付嬢達が文句言いたげな顔でお前の事見てんぞオレン。
あいつ等の月収を三日で稼いだ男なんだから文句言うなや。
それに、パーティーとしてはまた別で銀貨一枚と大銅貨18枚だぞ。
……うわっ、俺コイツ等五人に合計で銀貨39枚と大銅貨3枚も払うのかよ。
約金貨4枚じゃねぇか。
もったいないことしたわ。
こんなクソガキを守る為に大金を払ったって思えば、俺もそこそこに偽善者だったんだな。
ふー。
どうせなら偽善者で通すか。
このクソガキは助けたけど、目の前の黒髪の美少女は助けなかったなんて、いつか後悔しそうだしな。
俺は、今度こそ後悔のない人生を送ると決めたのだから。
この作品ではエールではなくビールで通します。
その方がイメージしやすいですよね。
アレス達に払う報酬額の計算を一応説明しておとくと
参加報酬:銀貨7枚×参加者の数
アレス達は5人パーティーなので7×5で銀貨35枚。
備考:一日経過するごとに、依頼主から大銅貨1枚が人数分支給される。
三日経過したので1人毎に大銅貨3枚支給。 5人なので3×5で15枚。
護衛対象に冒険者生活を経験させた場合、追加料金で大銅貨5枚が報酬に上乗せされる。
×三日で大銅貨15枚。
護衛対象に魔物の討伐を観戦させた場合、追加料金で大銅貨1枚が報酬に上乗せされる。
×三日で大銅貨3枚。
夜に護衛対象を連れ、冒険者ギルドに戻った場合、追加料金で銀貨1枚が報酬に上乗せされる。
×今夜だけなので1日。 銀貨1枚。
合計で銀貨36枚と大銅貨33枚になって、大銅貨10枚で銀貨一枚と同じなので 合計で銀貨39枚と大銅貨3枚ってことです。




