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はじまりは あわただしく

地球とは異世界にあるクレアと呼ばれる世界がある。それがどの程度の範囲なのか住民も見当がつかないほど広大な面積の大陸の世界なのだ。そんなクレアの中の一国のスコラ王国という国で十年前、反乱がおきた。それはファントムと呼ばれる、さまざまな魔法の能力を持った者たちが宗教法人を設立して スコラ王国を掌握しようと画策した、ファントムたちは始めは王国と友好的な関係を持とうとしたが、王国が邪教と判断して関係を退けたためファントムたちは反乱を起こした。反乱は なんとか王国が鎮圧したものの当事者のファントムたちを壊滅することはできず今に至っている。王国の治安はファントムが原因で不安定な状態が続いている。ファントムたちはスコラ王国では今のところ教団を作れないと判断して 異世界である地球で教団を設立しようと企てた。それが地球に出来たスコラ教という教団だ。そんなこんなで現在の地球。スコラ教団で金儲けしようと画策して教団の職員になった地球人の高校生がいる。名前は神野 真【かみの まこと】 という。真が教団に入ってまだ日は浅いが、仕事の能力は教団の誰もが認めるほど優秀だ。とくに布教が得意で大勢の信者を獲得することが出来た。真自身は金儲けしか頭にないようで、教団を飯の種と考えている。今日も気楽にやっつけ仕事的な感じで、駅前の公園で布教の目的で人々にかたっぱしに声をかけていると空耳のような声がした。市内でも大勢で賑わう公園なので他人の話し声が聞こえるのは自然なことなのだが なにやら真の頭のなかだけて聞こえるような感じがした。「きこえる?見える?どうなの?」そんな声が聞こえる 驚いて周りを見たが誰も自分に話しかけてる人はいない。「疲れてんのかな?」真はそう思って気にしないようにした。その日の夜に 仕事も終わりいつもはタクシーなのだがたまには地下鉄で帰ってみようと思い乗車してぼんやりと窓をながめている。窓を眺めても地下鉄なので これといった変化はないのだがなぜだかいつもながめてしまう。窓に映った自分の顔を眺めているといったほうが正しいのかもしれない。そんなとき真のすぐ隣に学生らしき少女が座った。周囲を見回しても真のいる車両は時間的にも空いていて他に座席はいくらでもあるのに なぜわざわざ真の横に座るのか奇妙なことだが、なんとなく周囲を見回すと連結した隣の車両から三十代ぐらいのサラリーマン風の男がその少女を見つめている。「あの男の人と何かあったんだな、とりあえず俺は俺の知り合いってことにすれば良い。話をあわすよ、君の下の名前は何?」少女は小声で言った「恵≪めぐみ≫」「俺は真だ。行こうか」真は恵の手を握り男の乗っている車両に向かった、なぜなら男が向こうから来ると危険な気がするし、向こうの車両のほうが人が多いので安全だと思ったからだ。男の前に少し距離を話して立った。真は笑顔を作った「こんばんわ 恵の知り合いですか?」男は焦りながら頷いた。「真は私の友達なんだ」「あなたに迷惑かけてしまって、ごめんなさい、他に良い女性を紹介しますね」真は男に名刺を渡した「いつでも連絡ください」そう言うと真と恵は次の駅で降りた。男はそのまま電車に乗ったまま去って行った。よく考えると人のよさそうな男だったと真は思った。 

真は時計を見た。

「まだこんな時間にいつもと違う駅で降りるのは新鮮な気分だな」

恵は吹っ切れたような、さっぱりした笑顔で背伸びした

「ありがとう、たすかったよ、あの人とお金目当てで、つきあってたんだけど役にたたなくてね。私は最

初から自分の目的を暴露してたんだよ」

真は恵の言葉に逆に爽快感を感じた

「つまり金も無くなったのに しつこく懐いてきたってわけだ」

恵は人差し指を上に立てて頷いた

「そうなの いやあ まいったよ 本当に」

二人はゲラゲラと笑った。真はベンチに軽く腰を掛けた

「まあ いろんなバカな男がいるから 気を付けたほうがいいよ 」

「ほんと そうだね」恵も頷いてベンチに座る

「ところで・・・真さんだっけ、なんの仕事してるの? 」


真は今度は自分が恵の「足長おじさん」のターゲットにされるのかと思った

「傷ついた天使かな」 

恵は明るく笑った

「どちらかと言うと、その対極にある存在って感じだよね、かなり、お金稼いでるんじゃないの?そんな

空気が出てるもん、ねえ、ほんとは 何やってるの?」


真は言うだけなら自分に不利益を被ることはないと思った

「スコラ教の聖職者だよ」


恵は眼を丸くして息が止まっているようだ

「す・・・すごいじゃない・・ほんとに?あれって最近 できた宗教団体だけど、急進的に 規模が拡大している教団じゃない」

恵は両手を握り拳にして真剣な目つきで立ち上がった

「真 私を秘書にしてくれないかな 掃除でも洗濯でも飯炊きでも なんでもするよ 給料は高いほうがいいけど そこは応相談で」

真は笑いを堪えたが我慢できなくて腹を抱えて笑った それといつのまにか真のことを呼び捨てにしているが それも面白いと感じた

 

「秘書が家事をやったりしないよ。それは家政婦さんだよ。 まあでも 話してると おもしろいや 秘書でも なんでも やってくれ」

 

恵は両手をあげて笑顔でグルグルとベンチの周りを踊るように歩いた、真はホームを眺めた

「でも どうして そんなに 金を稼ごうと思うの? まさか借金でもあるわけじゃなさそうだし・・・普通に生活するなら問題ないだろ? 親もいるんだろ?」


恵は静かに天井を眺めた 

「まあ そのうち やってみたいことがあってね・・・」

恵はそれ以上のことは言わなかった 真は 恵の その目的が なんとなく知りたくなったが それ以上訊くのは 気が引ける 

真は 恵に名刺を渡した


「気が向いたら 来たらいい。」

「絶対行くよ 約束だよ」

恵は右手の掌を 真に向けた ハイタッチしろという合図らしいので 真は掌を重ねた

恵は納得したように電車に乗って手を振って帰っていった。

「これから おもしろくなりそうだ」真は 空を眺めた

   

  

 

     


 

     

    

     

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