第62話 駄目ダメイドのリにゃ~わたしの兄は変態さん?
タイトル通り、おバカなお話です。
どかり、と深くソファーに腰かけキョウマは腕を組む。隣にはキョウマを真似て座るハクも一緒。見下ろす視線の先には床に手をつき頭を下げるメイドの姿が映った。いわゆる土下座だ。いつもと異なる二人の立場。事の発端は一つのスキルにあった。
【メイドの極意 LV1】
「これは由々しき事態だ!」
語気を強めたキョウマの瞳がリナを捉える。ふざけた空気など微塵も感じさせない雰囲気にリナは中々、口を開くことが出来ない。ふ、とした間の静寂が重苦しさを助長し更なる沈黙を呼ぶ。
「これは由々しき事態だ!」
重要な事だから二回言う。一字一句、違わずキョウマは同じ台詞を重ねる。このまま黙っているだけでは先には進まない。詰まる喉を押し開き、リナは言葉を紡いでいく。
「わっ、わたしは、ご主人様の期待に応えられないダメなメイド、です。グスン」
リナの言葉にキョウマは口端を吊り上げる。
「そうだ、リナはダメなメイド。“ダメイド”だ!」
「キュッ!」
ウンウンと頷くキョウマとハク。顔を上げることができずリナは額を地につけたままでいた。
「大体、リナは僕に対する奉仕精神、というものが足りない!!」
「キュッキュキューッ!」
「は……い。ご主人様の仰る通りです」
「ふっ、本当に分かっているのか?」
「キュー、キュキュキュ?」
「申し訳ありません、ご主人様……」
大きな溜息を一つ吐き出し、キョウマはゆっくりと立ち上がる。くるりとリナに背を向け天井を仰いだ。
「 異世界に来て随分と時間が経った。レベルも上がった、スキルも強化された。なのにリナのメイドレベルは“1”のままだ。これではメイド失格だ」
——メイド失格
その言葉がエコーとなってリナの内に響き渡る。
「まったくいつもいつも、何かあるたびにハリセンで僕の頭を叩くだけでは飽き足らず、殴る蹴るの暴行三昧……挙句、この前なんて銃火器まで用いる始末。こんなメイドを持って僕は恥ずかしいぞ」
(蹴ってなんてないもん……)
「ん? 何か言ったか?」
「いえ、何も……」
「まあ、いい」
リナの前へとキョウマは歩み寄り、ゆっくりと腰を落とす。
「顔を上げてごらん」
ひれ伏すリナの頬に手を当て優しく呟くキョウマ。リナは胸中、イラッとする感情の暴発をなんとか抑え込み、恐る恐る視線をキョウマへ向けて合わせていく。
「そんな、リナに朗報だ」
「なっ、ななななななっ! 何よ、それっ!!!」
リナが驚くのも無理はない。いつしかキョウマの手に、しっかりと握られていた、とある一品。
「猫耳だ!」
——にゃ~ん!
「猫耳だ!」
「だから一々、二回も言わないで……」
「ん?」
猫の鳴き声を背景に真顔で手にしたものの名をキョウマは告げる。思わずいつもと同じ口調に立ち戻り抗議を上げるリナを一睨みした。
「ください……」
「うむ……」
キョウマの尊大な態度に拳を握りしめるのをリナは必死でこらえる。浮かべる笑顔はどこかぎこちない。そんな彼女の一挙一動に満足したキョウマは含みのある笑みを浮かべる。
「これを今から身に着けてもらう」
「っ~~~~!」
「ん?」
「い、いえ、何も……」
想像通りの展開。茹蛸のようにリナは顔を真っ赤に染め上げ、震える声は最後まで言葉を紡ぐに敵わなかった。
「まあ、いい。いきなり『身に着けろ』と言われれば緊張の一つもするだろう。だが、安心しろ。リナのためにとっておきのものを用意した」
(嫌な予感しかしないんですけど!!)
「ふっ……、これだ」
「って、えぇぇええええええええっ!!」
懐に手を突っ込み、キョウマは勢いよく引っ張りあげる。白日の下に晒される“とっておき”がリナの視界に飛び込んだ。
——みゃ~!
「尻尾だ!」
「う~~~っ!」
「猫さん尻尾だ」
「やぁ~~~~っ!」
頭に両手を当てイヤイヤとリナはしきりに首を振る。『何も恥ずかしいことはない、兄さんは全部わかっている』そう言いたげなキョウマの視線は慈愛の心で満ち溢れているかのよう。当然、リナとしては余計に落ち着かない。
「キュー、キュィッ!」
「えっと……、ハクちゃん?」
愛くるしい声に誘われ、顔を上げると子竜が視界の隅に映った。『わたしを慰めてくれるのだろうか』、と小さな存在に淡い希望を抱くのも無理はない。
「キュイッ!」
つぶらな瞳を爛々と輝かせ、小さな両手を前へと掲げている。誘われるがまま、リナの視線は子竜の手元へと注がれる。
「……って、やぁ~。ハクちゃんまで、そんなぁ~」
所詮は甘い幻想だった。リナの中でガラガラと硝子の壊れる音が木霊する。何を隠そうハクの小さな手の平には猫耳と尻尾が佇んでいた。
「わ、わたしにそれを着けろ、って言うの~?」
「キュイッキュ!」
楽し気に頷く小さき竜。『つけて、つけて~。見たい、見た~い♪』、と瞳が全て物語っていた。
「さあ、早く!」
「キューッ!」
「う~っ、わかったわよぉ~」
二つの期待を込めた眼差しがリナを射貫く。一頻り唸った後、観念したリナは渋々、猫耳と尻尾を受け取り身に着ける。
「う~っ、こ、これでいいんでしょ!?」
——にゃぁ~
猫耳&尻尾をつけた美少女メイドの爆誕——もっともその声は半分、開き直りの情が見て取れる。キョウマは瞼を閉じ、数秒の逡巡を経て重々しく見開いた。
「リナ、減点“1”」
「キュッ!」
「って、えぇ~! なんでよ~」
「ふっ、当然だ!」
「キュッ、キュキュ、キューッ」
(何が当然なの!? それに一々、ハモらないでよ~)
減点の理由にリナは全くもって見当がつかず狼狽えるばかり。答えを見つける気配のない様子にキョウマは落胆の溜息をつく。流石にイラッとしたリナは睨み返し反抗的な視線を送る。
「本当に仕方のない“ダメイド”なんだな、リナは……」
「っ~~~~~~~!!」
爆発寸前のリナをスルーして、尚もキョウマの言葉は続く。
「猫耳と尻尾を着けたら語尾に『にゃ』、もしくは『みゃ』をつけなくてはダメだろう? こんなの小さなお子様でも知ってる常識じゃないか」
(そんな常識、ありません!!)
オーバーアクション気味に腕を広げるキョウマの表情はドヤ顔、という以外形容する言葉はどこにもない。いつものハリセンで思い切りツッコミたい。にも関わらず、何故かハリセンが取り出せない。抗う術を無くしたリナは覚悟を決める他に道はなかった。
「わっ、わかりました……にゃ。これでいいの……にゃ」
頬を赤らめモジモジと長い黒髪が揺れる。リナの心情を察したように尻尾もまた揺れ動いた。恥ずかしながらも懸命に声を絞り出す姿にキョウマは満足げな笑みを浮かべる。
「ナイスだ、リナ!」
「キュィッ!」
「う~っ!」
それとなくリナはステータス画面へと目を落とす。開示した結果に軽い頭痛を覚え少々足元がフラついた。「大丈夫か?」と、差し伸べるキョウマの手をやんわりと遠慮する。
~~~~~~~~~~
【メイドの極意 LV5】
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(何で猫耳と尻尾をつけただけで上がるの!! 何で!? ねぇ、何で!?)
一人、混乱するリナを置き去りにキョウマは一つ頷き言葉を紡ぐ。
「だが、ここからが本題だ!」
「うそ!? まだ何かあるの……にゃ」
「ふっ、これもリナを更なるメイドの高みに押し上げるため」
(そんなの、頼んでいません!!)
「ん?」
「いえ、何でもな……ありません、にゃ」
「うむ。いいぞ、リナ」
(っ~~~~~~!)
語尾に「にゃ」、キョウマの気分は急上昇。何度も頷き、子竜も真似て続く。
「では、早速リナに指令! 膝枕……」
「はいはい、わかりました……、にゃ。これでいいんでしょ、にゃ」
膝を曲げて腰かけリナは自分の太もも付近をに手を当て、キョウマへと視線を送る。『耳掃除もプラスすれば完璧、とでも言うのかな?』、と次なる指令を冷静に分析してみせる。
が、続くキョウマの言葉はリナの予測を打ち砕く斜め上に飛んだ内容だった。
「リナは何か勘違いをしているな? リナが僕に膝枕をするんじゃない。僕がリナに膝枕をするんだ!」
「ほへっ?」
呆気にとられる猫耳メイドを置き去りにキョウマはトドメを言い放つ。
「そう、リナは僕の膝の上で丸くなるんだ! そして『にゃ~ん!』と鳴いてもらう!!」
「えっ、え? えぇぇええええええええっ!!」
「さあ、カモ~~~ン!!」
バッチコーーーイ、とばかりにキョウマは己の膝の上を叩く。
「いっ、いやぁぁああああああああああああっ!!」
「ふっ、ふはははははははははははははははっ!!」
……
…………
………………
「と、いう夢を見たの♪」
声を弾ませる口調とは裏腹にリナの瞳は決して笑ってはいない。
「うぐぅ……それで、どうして僕が正座なんてしなければならないんだ……」
「口答えしないの!」
ソファーの上でふんぞり返るリナに対し、僕は冷たい床の上で正座をさせられていた。隣には同じくハクがチョコンと座っている。朝、目が覚めるや否やリナに激しい剣幕で詰め寄られ正座をさせられることになった。話を聞く限り夢で僕に色々されたことが原因みたいだけど、リナの中で僕は一体どんな変態・鬼畜にされているかが明らかになった。ショックだ……。
「きゅぅ?」
隣で小首を傾げる我が相棒子竜。目を輝かせて尻尾をブンブンさせているが……。ハクよ、これは遊びではないぞ。お仕置きだ。期待なんかしてもしょうがないぞ。当然、猫缶も出ない、美味しいものも、な。
「きゅー……」
僕の考えが通じたのだろう。ハクは項垂れ尻尾と翼をペタリとさせている。
「そこっ! 私語は禁止!!」
「うぐっ……理不尽だ」
「キ・ン・シ! わかるよ、ね?」
「は……い」
「そもそも、こんな夢をわたしが見たのは全て兄さんのせいです」
(ひどっ!)
「今、『ひどっ!』って思ったでしょ?」
(何故、わかったーーーーーーっ!!!)
リナは立ち上がり、ゴソゴソと後ろを探っている。なんか嫌な予感がする……。
「この前、掃除していたら兄さんの部屋でこんなの見つけた……の!」
「そっ、それは……」
「これで言い逃れは出来ないでしょ?」
——にゃー!
「猫耳! それに尻尾まで!?」
「これが動かぬ証拠、観念してね♪」
(ぐぅ、いつだったかリナに猫耳つけて『にゃ~』って言ってもらおうと調子に乗って用意したけど実行できず放置してたやつだ……)
「大体、兄さんはいつも、いつも……」
(中略)
「……なの! わかった!?」
「は……い。ごめんなさい」
「うん、わかればよろしい」
長かった。実に長かった。ようやく解放となった訳だが、このまま終わる僕ではない。言うべきことは言わせてもらう。
「リナ、ちょっといいか?」
「ええ、発言を許可します」
恐る恐る遠慮がちに挙手する僕にリナは上から目線で応じる。片目を閉じ、まるで「苦しゅうない、面を上げよ」、と雰囲気ばっちりだ。
「そういう夢を見るってことはもしかして……、【メイドの極意】のスキルレベルが上がらないこと、気にしていたのか?」
「っ~~~~~~!」
(目、逸らした)
どうやら図星らしい。「ナンノコトカナ」と片言で明後日の方向へと視線を泳がせている。
「それに全部、僕のせいにしているけど……」
間を置くようにわざとらしく「ゴホン!」と咳払い。ようやくこちらを向くリナの瞳はどこか焦点が定まっていない。どうやら僕の推測は、そう的を外してはいないようだ。
「リナにもそういう願望が実はあったんじゃないか?」
「っ~~~~~! そ、そんなこと……ない、もん!」
「あやしい……」
一歩、後ろに下がったな。僕が半眼で睨むとリナは僕から目を逸らし、再び視線は宙をさ迷い始めている。
「まあ、いいけど……」
迷える子猫と化したリナの頭の上に、そっと手の平を乗せ一撫でする。上目遣いで睨むところが微笑ましい。
「甘えたかったら、いつでもそう言っていいんだぞ」
「っ~~~~~~! だから、そんなんじゃないもん!」
「ふっ……」
「だから、笑うな~~~~!」
(リナよ、気付いていないのか?)
さっきから語尾に「もん」が付いている。照れているのが、まるわかり。余計に可愛く思え、しばらくの間僕は撫で続けていた。
「う~~っ!」
と、口元を引き結ぶもリナは受け入れてくれている。思わず笑みを零すと……。
「ばかぁ~」
涙目混じりで上目遣いに見上げるリナの頬は微かに赤らんでいた。
「ごめんよ、リナ。別にバカにしているわけではないんだ。可愛いな、とは思ったけど……」
「っ~~~~~~! 『けど』、何よ、ばか……」
「改めて守りたい、と思ったんだ僕は」
「えっ!」
リナの瞳が正面から見つめる。僕は一つ頷き正直な気持ちを紡ぐ。
「僕は守りたい。リナがいて、もちろんハクもいて……。こうして穏やかに過ごしていく日々を僕は守りたい! そう思ったんだ!」
「う~~っ! だから、急に真面目になるの、反則なんだってばぁ~……」
最後の方はごにょごにょと聞き取れなかったのが少々、残念。一度だけ頭を振って天を仰ぐ。
(再認識した。僕は例えどんなことをしてでも、この日常を失いたくない。守りたいんだ、絶対! 絶対に!!)
僕は手の平から伝わるリナの流れる黒髪の感触を確かめつつ、一方の反対の手は決意に拳を固めていた。
~~おまけ~~
右を向いては左を向く。
「よし、誰もいない……」
朝の一騒動を終えた後、リナは自室にこもって周囲に誰もいないことを確かめていた。その手にはキョウマから没収した猫耳と尻尾が握られている。
「少しだけ……、少しだけ試してみるだけなんだから」
と、誰に聞こえるわけでもない言い訳を呟き、ゆっくりと猫耳を頭の上へと乗せていく。緊張から、その手は微かに震えていた。
「もしかしたら本当にレベルが上がるかも……」
あれは単なる夢。そう思いながらも夢の通り猫耳と尻尾を身に着ければ【メイドの極意】のレベルが上がるかも……と、淡い期待に胸を膨らませる。
「よし!」
ドン、と胸を叩いた衝撃で小さくない谷間が上下する。決意は固まった。勢いよく残った尻尾も装着する。どういう仕掛けかは分からないが近づけただけで、ピタリと吸い付くように引っ付いた。自分の意志で自在に尾を振ることができるのも原理は不明。あとで、じっくりキョウマを問いただそう。リナは密かにお仕置き計画を練り上げる。
「えっと……、どうかな?」
姿見を前にして覗き込むと、当然のことながら猫耳メイドが映っていた。頬を赤らめモジモジとしている仕草に余計恥ずかしくなる。迂闊にも『結構、似合ってるかも……』と思ってしまったことだけは、キョウマには内緒にしておきたい。片足立ちで軽く拳を握ってみる。招く仕草を、と手首をたたみ一応、「にゃぁ~」と鳴き真似にチャレンジ。
「う~~っ! 誰も見ていなくても恥ずかしいよ~」
頬を両手でバシンと叩き、恥ずかしさを払拭。強めに叩いてしまったのは少し失敗。なぜなら、ほっぺたに赤みがさしてヒリヒリする。でも、と息を巻いて気を取り直し、ステータス画面を呼び出す。
「これで何も変わっていなかったら、お仕置きメニューを三割増しにしよう……」
などと理不尽且つ物騒な考えを漏らした。
「ウソ、やだ! ホントに!?」
~~~~~~~~~~
【メイドの極意 LV5】
~~~~~~~~~~
「ほ、本当に上がっている……」
猫耳&尻尾を装着前は確かに“1”だった。見間違いではないか、と眼をこすり凝視し直すも数値は変わらない。
頬を抓ってみる。
「痛い……」
どうやら夢でもないようだ。試しに、猫耳を外してみる。するとレベルは“1”に戻ってしまった。これでハッキリとした。レベルの上昇は装備品効果によるものだ。
「うん、お仕置きメニュー、五割り増し確定♪ それにしてもこれ、絶対に兄さんの願望が詰まってるよね」
溜息と同時に自然と毒づく。「このエネルギーをどうしてもっと別のことに活かせないのかな」とも加える。
「キュー、キュィッ!」
「あれ? ハクちゃんいつの間に、どうしたの?」
ウンウンと一人唸っていると足元から愛くるしい鳴き声が聞こえてくる。確かに部屋の鍵はかけたはずなのに……。一瞬、浮かんだ疑問もつぶらな瞳を前にするとすぐに掻き消えてしまった。
「お腹空いたのかな?」
「キュイッ!」
「う~ん、やっぱりわかんないけど……。そろそろ、お昼にしましょうか?」
「キュゥッ!」
小さく佇む子竜を抱きかかえ、扉へと手を伸ばす。
「いけない、いけない。猫耳と尻尾、外さなきゃ……」
「ん?」
「へっ?」
瞬間、リナの全てが停止した。なぜなら突然、扉が開いてキョウマが立っていたからだ。
「えっと……、兄さん? なんで……」
「いや、ちょっとハクを探していてな。歯磨きしてやろうとしたら逃げられてな。なんだ、ここにいたのか。もう逃げられないぞ、ハク!」
「キュウ、キューッ!!」
リナから子竜を引き剥がしキョウマは小脇に抱える。「じゃ!」と手を軽く上げ何事も無かったように回れ右。そのまま、立ち去っていく。
(よかったぁ~。気付かれてないみたい。今回ばかりは鈍い兄さんに感謝、かな?)
小走りで洗面所へ向かうキョウマの背を見送り、リナは安堵の溜息をつく。
「あれ?」
通路の曲がり角の辺りで、キョウマの動きがビデオの停止ボタンを押したように固まった。しばらくして暴れる子竜を抱える手とは反対の手で頭を掻き始める。
「そのぉ~、なんだ。可愛かったぞ、リナ」
とだけ残して視界の外へと消えていく。
「あ、あわわ……」
見られていた。バッチリ見られて気付かれていた。キョウマを追うことも忘れて恥ずかしさの余り茫然とする。頬にそっと触れると、いつもより数段と熱を帯びている。鏡を見れば、真っ赤な自分が映っていることだろう。
「う~~~~~っ! 兄さんの……、兄さんの!」
そう、続く言葉はもう決まっている。
「ばかぁああああああああっ!!!」
その後、キョウマがリナからどのようなお仕置きを受けたのか、知る者は誰もいない……。
~おわり~
お読みいただきありがとうございます。
おバカな内容でしたが、このお話は初期の頃から考えていて導入するタイミングを伺っていました。
前話の流れから若干、唐突ではありますが閑話的な回と見ていただければ幸いです。
次話もお読みいただければ嬉しい限りです。




