プロローグ
久々の新作です
「大事な話があるんだ」
そう言って俺は目の前の少女を見つめた。
城野雪音。通称ユキちゃん。
白のワンピースを身にまとった、一つ年下の女の子。
青く透き通った瞳。腰まで伸びた銀色の髪は、日の光を浴びてキラキラと輝いている。ミルクのように白い肌は、日焼けをしたのか微かに赤くなっていた。
拳を握りしめ、一歩前に出た。
「俺が一生ユキちゃんのことを守ってみせる。だから、俺の――」
そして、ユキちゃんに告白した。
「妹になってください!」
「え?」
驚くのも仕方がない。突然、妹になってくれと言われたら誰でも驚く。
俺は説明を始めた。
「俺てさ、一人っ子じゃん。だから、家だといつも一人で遊ばなきゃダメだし、留守番の時も一人だしさ。はっきり言って、寂しいんだよね。ユキちゃんも一人っ子だから分かるでしょ? それでさ、俺、考えたんだ。一人っ子同士、兄妹になったら良いんじゃないか、て。これなら、家で遊ぶ時も二人で遊べるし、留守番の時も寂しくない。なかなか良い考えだと思うんだけど、どうかな、ユキちゃん?」
俺は笑顔で、問いかけた。
きっと、ユキちゃんなら分かってくれる、と信じて。
そして、ユキちゃんの答えは、
「ユウキくんのバカ!」
強烈な腹パンだった。
不意討ちで食らって俺は踞る。しかし、ユキちゃんは踞ることを許さないように、俺の胸ぐらを掴み強引に起こした。
「……ユキ……ちゃん?」
目があったユキちゃんは顔は真っ赤で涙を流していた。
もしかして、なにか悪いことしたのかな……。
しかし、そんなことを考えられたのは一瞬だった。
「バカバカバカバカバカバカバカバカバカーー!!」
バカ一つにつき、一発殴ってくる。一分近く殴られて、意識が飛びそうになった。
「バカー!」
ユキちゃんはアッパーでフィニッシュを飾る。俺は、宙で一回転して地面に叩きつけられていた。
「……なんで?」
走り去っていく、ユキちゃんの背中に問いかけるも、返事は返ってこない。
薄れ行く意識の中、俺はユキちゃんに届かぬ手を伸ばして――意識を失った。
それが、小学生だった頃の菊地結城の、思い出の一ページであった。




