あるプレイヤーキラーの兄妹の話
読みにくかったらすみません。
お父さん、お母さんへ
わたしが、ぶいあーえむえむおーのですげーむというものにまきこまれて3かげつもたったらしいです。
お兄ちゃんがいっしょにいてくれたので、わたしはさびしくなかったです。
わたしは、お兄ちゃんとけいというお兄さんたちといっしょにぷれいやーきらーをしてすごしてました。
お兄さんたちはやさしい人で、わたしは今日までなにふじゆうなくすごせました。
たまにお兄さんのお手伝いもしました。はたらかざるものくうべからずってお母さんのいいつけ、ちゃんとまもりました。
なんでかお兄ちゃんはお手伝いの日にはごめん、ごめんってないてあやまってました。
もしかしたらお兄ちゃんはお手伝いがにがてだったのかもしれません。
でもお兄ちゃんはいっつもがんばってお兄さんたちにほめられてました。すごいです。
だからお父さん、お母さん、もしお家にかえれたらお兄ちゃんをほめてあげてね。
そういえばこのぶいあーえむえむおーにもお家が作れるみたいで
お兄さんたちがわたしとお兄ちゃんががんばったごほうびにひとつもらいました。
森にかこまれたおっきいお家です。近くにみずうみもあってお魚さんとか鳥さんとか
いっぱいいっぱいいてわたしはすごくうれしかったです。
近くにお兄さんたちのきょてんというものがあって、そこでいつもお兄さんたちにあってました。
お兄さんたちのなかにはお魚さんをつかまえるのがとってもうまい人がいて、おねがいしたら
いっぱいいっぱいつかまえてくれました。わたしもお兄さんにこつをおしえてもらって
お魚さんをつかまえられるようになりました。
お父さんといつかいっしょにお魚さんをつかまえにいく日を楽しみにしています。
すごくきになっていることがあるのですが
お兄さんたちのお手伝いをしているとたまにこわいおじさんたちがあらわれて、
お兄さんたちにそんなことをやめろっていうんです。
そんなことをしてはずかしくないのか、とか
それでもおまえたち人間かってわたしたちにいうんです。
ぷれいやーきらーってわるいことなんですか?
お兄ちゃんにききましたが、なんでかわたしをだきしめるだけでなにもいってくれませんでした。
お兄さんたちはぷれいやーきらーはたのしいことだ、っていってます。
わたしはだれのことばがただしいかわかりません。
なぜかさいきんお兄さんたちが、だんだんいなくなっています。
お兄さんにきくと、なんどもあった、あのこわいおじさんにころされてしまったらしいです。
おじさんたちはお兄さんたちをころすひどい人たちです。
でもおじさんたちはつよいから、お兄さんたちはだんだんおいつめられてるそうです。
さっきかいたお家からも、はなれなくちゃいけなくなりました。
いまこのお手紙をかいているのはかりきょてんというところです。
お兄さんたちといっしょにすんでいます。
みんな、まえとちがってみんなくらくてこわいふいんきです。
お兄ちゃんもたまにかげでないていました。
ぜんぶおじさんたちのせいらしいです。ゆるせないです。
だから、あしたいままでころされちゃったお兄さんたちのかたきをとりにいきます。
お兄ちゃんに、もしかしたらもうお家にかえれなくなるかもしれないけど
こうしてお手紙をかけば、お母さんたちにことばをおくれるときいたので、いっしょうけんめいかきました。お父さん、お母さん、私は元気です。お兄ちゃんもいっしょにいます。だからしんぱいしないでください。だいすきです
幸代
***
父さん、母さんへ
親不孝で人でなしな息子ですみませんでした。本来なら直にあって土下座するべきなのでしょうが
この手紙があなた方に届いているならそれは叶わないことになっているのでしょうからこれで
お許しください。
あの日、浮かれていた俺はこの悪魔のゲームを幸代とともにやるという愚行を犯してしまいました。
そしてプレイヤーキラーに襲われ、仲間になることで命を長らえました。
そのときに俺は5人殺しました。
それからずっとプレイヤーキラー達の仲間としてすごしました。
幸代も、俺が止めなかったばかりに一人殺してしまっていたので仲間として傍に置いてもらいました。
何人も、殺しました。たくさん人を殺しました。
人殺しの手伝いもしました。そしてそれを幸代もやることを止められませんでした。
俺は今から最後の罪を犯しに行きます。
さようなら。いままでありがとうございました。
透哉
***
その場所は、地獄絵図だった。
プレイヤーキラーとそれを倒す者達の戦い。
プレイヤーキラー側は大分数を減らしたとはいえ、逆に言えばかなり強いプレイヤーが
残っていた。数、質でいくら優っているとはいえ、プレイヤーキラーキラー側は
プレイヤーキラー達に上手く攻め込めずにいた。
逆に今までの殺しの経験からか徒弟を組んで確実に狙うプレイヤーキラー側の猛攻は
ひょっとしたら、プレイヤーキラー側が勝つのでは?と思えるほど凄まじいものだった。
そしてプレイヤーキラー側には有名な二組のプレイヤーがいた。
「お兄ちゃん、つぎいこぉー。」
「・・・ああ。」
舌足らずな女の弓使いキャラと寡黙な男の剣士キャラ。
どちらも天才的な腕前のプレイヤーだ。プレイヤーキラーなどではなく攻略組に入っていれば
と惜しまれる二組は、実際プレイヤーキラーなどになるような性根のものではなかったな、と直に話したプレイヤーキラーキラー側の指揮を執っていた古参プレイヤーはため息をついた。
女キャラの方はなんとまだ幼い少女な上に、二人は半ば脅されてプレイヤーキラーになったようなものらしい。プレイヤーキラーになれば名前が赤く染まる。それにより普通のプレイヤーに戻ることも出来なくてプレイヤーキラー側に居続け・・・今に至る。
憐れな二人だ。本来なら彼らを救いたい、そう思う気持ちはある。
しかしあまりにも彼らは人を殺し過ぎた。
二人による被害はとても目を瞑れるものではない。
彼は非常な手段をとることにした。
「お兄ちゃん、人がいっぱいくるよ!これってまずいんじゃあ・・・。」
慌てる幸代の声を聴きながら、ふぅっと溜め息をついた。
戦闘が始まってから今まで。気を抜いたつもりはなかった。
常に尖らせていたつもりだった。
だが、ふと気付いてみれば・・・前からは大量の敵。周りにも包囲せんと距離をつめてくるそれなりの敵。危なくなったら、幸代だけでも逃がそうと、思っていたのだが。
頼りになるケイはいつのまにか死亡を表す黒い表示に変わっていた。
ああ、これでおわりか。
怖いとか絶望とか。何も感じなかった。空っぽだ。
最近、泣きすらできなくなった自分の心に虚ろがただ広がって
「お兄ちゃん?」
妹の声に、はっと気を取り直す。
絶望するにはまだ早い・・・とは言えない。むしろ遅すぎるし
希望を持つなんて百歩譲ってもありえない。
でも、この妹がいる限り俺は人として死ねる。
「幸代。」
中の妹と全く違う大きな体を抱きしめる。
ああ、この中にいる幸代はまだ小さな子供なのに。俺が愚かなせいで、今その未来を摘んでしまった。
どれだけ償っても、償えないけど。
「前に渡した剣、持ってるか?」
腕力の低い弓使いでも使える剣。かなりのレアの剣を俺はケイから譲られ、幸代に渡した。
たった一度しか使えない、その剣。
「持ってるよー。」
「じゃあそれを装備してくれ。」
抱きしめながら言う。すぐ近くで聞こえる妹のアバターの声にはいまだに慣れない。
自然と妹のボイスに変換される。・・・なんか変態みたいだな、とくすくす笑えば
くすぐったかったのか幸代は笑いながら身をよじる
「出したよー。」
その声と同時に俺も同じ剣を装備する。
「じゃあ、今から秘密の儀式を始める。絶対失敗しちゃダメだからな?」
数分後。
お互いを手に持った剣で貫いてその二人組は死んだ。