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鯉に恋した話  作者:
2/2

叶わぬ恋なら終わりにしよう

僕は足音が聞こえたら水面に顔をだすようになった

彼女に会うために

最初は他の連中と同様、ただパン欲しさに彼女に近付いた

彼女は毎日、池にやってきた

僕は彼女に会うたびに彼女をいとおしく思った

パンをちぎっては丸めて池に落とす彼女の姿

時おりみせる笑顔

もうパンなんてどうでもよかった

僕は恋におちていた


わかっているさ 叶わぬ恋だということぐらい


わかっているさ 彼女がパンをくれるのはただの暇潰しだということぐらい


所詮僕はただの鯉

どんなに願おうと人間にはなれないのだ

もう終わりにしよう


その日から僕は、彼女がきても池のまん中でじっとしていた

次の日もその次の日も

彼女は相変わらずパンを鯉にあげていた

ある日、彼女はいきなり食パンを丸ごと一枚投げて、そのまま走り去ってしまった

その日以来、彼女は池にこなくなった

彼女が最後に投げたパンは少ししょっぱかった


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