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01~10

お題サイト「お題屋さん。」様からお借りしました。「とりあえず50のお題」の1~10題を書きました。文章が堅いと思われますが、内容は重くないのがほとんどです。気軽に見てくださってください。これから10題ずつ書いては投稿していこうと思います。よろしくお願いします。

〓とりあえず50のお題〓



01. ひとりぼっちな私

 荒んだ戦場、左右には奈落の底の崖二つ。私は一人取り残された。

たった一つの砲弾によって、仲間たちは全滅してしまったのだ。カーブを描き放たれた砲弾は為すすべもなく戦士たちを吹き飛ばした。

 赤子が積み木を無造作に崩すが如く、あっけない最期を私は立ち竦み、見ているしかなかった。

 敵はもう一発砲弾を残していたようで発砲の構えをしている。今度こそ私は狙われる。事態は絶望的、しかし逃げる気は更々なかった。

 むしろ相手にせせら笑ってやった。当てて見せろ、と。貴様のその投球で私を葬って見せろと。志半ばで死んでいった仲間たちの前でおめおめと逃げる馬鹿がどこにいようか! ついに砲弾が放たれる。

 砲弾に思わぬ回転がかかり、崖へ落ちていった。どうやら外したようだ。やった、私は生き残ったのだ! 

 これから仲間の分まで生きなくては。私はこの決意を胸に刻んだ。


「ちくしょー! 外したあ」

「やりぃ! 俺の勝ちね。にしてもガーターはないっしょ」

「スペアとれたら勝ちだったのになあ」



02. 孤独、虚無

 此処は何処? 私は何処に向かっているというの? 雑踏を踏む音、軽快に喋る声、けたたましく鳴る機械音! すべてが私をあざ笑っているように感じる。

 ただこの場をさまよう私を「なんだこいつ」と卑下する目で見てくる。彼らは待っているというのに、目的地は分かっているのに過程がわからないとはどういうことか。 

 父よ、母よ、軽率な行動をお許しください。私が迂闊に飛び出してしまったからこんなことに。

 押さえ切れなくなった不安は大きくなり、涙がこみ上げてきた。ぽろぽろと流れる雫は留まることを知らず流れてゆく。泣き声が響き渡る。

 そんな時、孤独に佇んでいた私はついに神のお告げを聴いた。


「迷子のお知らせを致します。○○区からお越しの○○ちゃん、紳士服コーナーで、迷子になっております……」




03. 綺麗で汚い

 綺麗で汚い。一見矛盾しているが、これに当てはまるものがある。雑巾だ。

 雑巾は窓や床を綺麗にするため扱われるが時と共に汚れていってしまう。幾度となく塵や灰と合間無えては、水に身を投げ、申し訳程度に身を清められる。

 手に入れた水分を限界まで搾り取られ、汚れとまた闘っていく。全身が黒ずんで埃を身に纏っても、雑な布巾と呼ばれようとも、綺麗にする役割であることには変わりないのだ。



04. 貴方の魔法と私の奇跡

 僕は貴方に一個魔法をかけてあげることができるよ。三角帽子を被った少年はは私にそう言った。

 身に纏う絹のローブをはためかせ自信満々な顔を見せる。

 私は空を飛びたいのです。大空を飛んではは雲にさわってみたい。太陽にこんにちはと挨拶したい。小鳥と一緒にお散歩出来たらなんて楽しいだろう。

 こんなことが出来るのですか? 少年は胸を張って帽子をかぶりなおした。

 出来ますとも、魔法に不可能はないのさ。

 杖を一振りすれば私の体は宙に浮いた。体の重みがすっと消えた。軽い、まるで風船が風になびくように自然と空へ上がっていく。

 私は空を飛んでいるんだわ! 少年は満足そうに、そして寂しそうに笑った。

 奇跡じゃないさ。君はそうなるべくしてなったのさ。最期に夢を見れて、良かった。

 とある病室、安らかな笑顔で眠る少女の姿を見た少年は静かに涙を流した。



05. 身震いするような存在感

 ……カチッ。

 レバーを倒したような動作の後、まるでからくりが動くかのような不思議。

 黄色と茶色のそれは皿に落ちていく。ぷるぷると震え、空気が振動する。この躍動感、この重量感。

 初めて経験したものはひどく感動を覚えるだろう。カップに入っていた洋生菓子がつまみを倒しただけで皿の上に降臨する様! スプーンを差し入れるのに手が震えるくらい、完璧で美しいフォルムをしている。カラメルの光沢が輝きを放つプリンを前に生唾を飲み込む私であった。



06. 異様な光景

 コンビニ帰りに歩いていたときだ。服を脱いでは着る繰り返す男がいる。

 しかもちょっとした踊りも加えて生き生きとした表情をしている。何がしたいのだろう。目撃してしまった私は一瞬足を止めてしまった。

 髪から飛び散る汗、恍惚に目を瞑った顔、晒される肉体美、キレのあるダンス。生粋のナルシストなのだろうか。

 確かに腹筋に割れて、引き締まった体つきをしているようだが、それを道端で披露する必要があるのだろうか。しかも通りがかったのは私だけだ。今までずっとここで踊り続けていたのだろうか。それはかなり心が強いな、いやもしや何かを伝えたいのか。

 ……いや、その前になぜ私がここまであの男について考察しているのだろう。彼の奇行に思考がおかしくなったようだ。

 この間2秒、私は止めた足を無理矢理帰路に向けた。



07. 奇妙な二人

 眼鏡と金髪の二人がいる。

「ノート見せて」

「またか。これで何度目だ」

「んなもん数えてねーよ。早く見して」

「お前がノートを借りるせいで授業の復習が出来ないんだぞ」

「そんな真面目なことしてる暇あるんなら流行の一つにでも乗ったらどうだよ?」

「そんな事を言ってるお前はいつ通知表の一つに5が載るんだ?」

「うまくねえんだよこの野郎。頭良いからって上手にでやがってよ」

「お前と違って馬鹿じゃないからな。ついったーもやってるしな。ほう、興味深いな、りついーとだ。」

「流行気にしてんじゃねえか。せめてスマホに変えようぜ。今度携帯ショップ紹介してやるからよ」

「それはありがたい。じゃあノートの貸しにしとこう」






08. 旅人の言葉

「私がこの村を救って見せましょう!」

 見知らぬ旅人はそう宣言して魔物のいる巣へ向かっていらっしゃった。荒れ果ててしまったこの村を救うという彼の表情は決意と自信に満ちあふれておられた。

 真っ直ぐに澄んだ瞳。魔物によって荒らされたのだ、闘いで辛い目に遭うかもしれないと私たちは止めたものだ。

 しかし彼は毅然とした態度で首を振り、柔らかな手つきで村長の手を握っておった。そして薄く微笑んだ。

 私達は藁をも掴む思いで彼に頼った。見送る私達には身の丈ほどの大剣と堂々と歩く背中が見えた。その背中は信頼に値するものだと確信した。

 魔物を屠るという使命を果たさんがため、彼は剣を振るうのだろう。彼の言葉は薄暗い雲間から光り差す日の光なのだ。きっと、夜明けは近い。





09. 真実の光 

 この事件を解決するためにはまだ足りない。謎が残されている。

 事務所の自室で一人、探偵は思考を巡らせる。助手が休憩にと淹れたコーヒーを口にすると、若干冷めた、しかし探偵の好みに合わせた苦味が残る。

「今日は眠れないな」

 カフェインを摂取することで脳内が覚醒し、推理への意気込みを新たにする。探偵は再び思考の海に飛び込んだ。頭の中に事件のキーワードを思い浮かべる。

 凶器、物件証拠、動機、証言。ロジックを組み立てるがうまく繋がらない。やはり深みにはまってしまう。

 まるで深海の暗い部分にまで来て息詰まる思いだ。後少しで謎が解けるのに。そんな深海に見つけた強い光。探偵の一瞬の閃きが海の奥底にある光を見つけた。

「そういうことだったのか」

思わず口からこぼれ、無意識のうちにとっていたガッツポーズに気付く。少し恥ずかしさを身にしみながら探偵は助手を引き連れ事務所を出て行く。

 真実を伝えるために。探偵は自分の推理に絶対の自信を持って臨むのだ。そうでなければ格好が付かないだろう?



10. 止まない雨

 ざあざあと降り注ぐ雨が私の頬を叩く。

 突然の雷雨に見まわれて道路を走る私の姿はさぞ滑稽に見えるだろう。服は濡れて体中に張り付き、靴の中も水が含み、ぐちゃぐちゃと靴下と不快な音や感触を生み出している。傘代わりにバッグを頭の上に置くが効果なし。

 休憩ということで店の屋根を借りて雨宿りをする。

 未だにやむ気配はなくひたすら地面をたたく雫の音を聴く。この断続的に続く音は正直嫌いだ。ずっとここにいたら永遠に終わらないような気分になる。そう思うと、不快だ。

 雨のにおいも嫌いだ。湿った服と皮膚の汗が異臭を放つ、すぐさまお風呂に入りたい。

 私は空を仰いだ。

「お天道様あ、機嫌直してくださいよお」

 あなたが泣き止まないから皆困ってるじゃないですか、怒ったってしょうがないじゃないですか。どうか眩しい笑顔をのぞかせてください、お願いします。

 間延びした独り言は雨音にかき消され、霧散した。雨はまだ、止みそうにない。


いかがだったでしょうか。今は10題だけですが、50題制覇していきたいと思っております! お題は一日一個消化していこうというルールで、深く考えず直感的に、感覚的に自分の文章で書こうと決めていました。なので「何書いてるんだろう私……」と思うことがよくありました。特に1~5は。後半は慣れてきたのか、安定してる気がします。

お題7のように会話文だけというのにも挑戦してますね。このお題は短文で、自由に、色々な文章にチャレンジしようという意気込みがありますので、お付き合いしてくださると嬉しいです!


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