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1人では戦えない僕と、仲間達  作者: アッキ@瓶の蓋。
第三部 新天地

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15.青鴉戦

 いきなりブルー・クロウは背中の青い鳥の翼を羽ばたかせる。



「飛ぶ気か!?」



「獲物が居るのにボクが逃げる訳がないじゃないですか」



 彼女は翼を羽ばたかせ、そして飛ぶ。跳ぶと共に翼を羽ばたかせる。そして彼女は消えた。消えたと思った次の瞬間には、頬から傷口と共に温かい血が流れていた。



「……感度は良好。問題は無いみたいだね」



 そう言いながら彼女は何らかの呪文を唱える。唱えながら空いた手でセーラー服のポケットから青い液体の入った試験管を数本取り出して口から身体へと流し込む。



『……どうやら無能な我がマスターのピンチみたいデスね』



 いきなり宝剣ミスロスが光り輝いたかと思うと、脳内にそんなミスロスの声が響いて来た。そしてミスロスは人型へと変化した。



「手伝いましょう、マスター。残念ながらエンチャッターのマスターにあの人物が倒せるかどうかは分かりませんデスからね」



「言ってくれるなぁ……」



 しかし事実、僕1人であのブルー・クロウを倒せるかどうかと考えると微妙な話である。ここは彼女に協力を求めるのが得策だろう。



「だが助かったのは確かだ。頼む、力を貸して欲しい」



「……分かりやすいマスターは良いマスターデス」



 そう言いながら彼女は腕を彼女に向ける。



「へぇ、変形する刀。そしてその刀の人格。なかなかに良いねー。いったいそんな彼女の地はどんな色をしているんだろうね? 赤かな、青かな、それとも全く違う色かなー!? 今から楽しみで仕方がないよ」



 そう言う彼女の腕は人とは違う、人外の物に変わっていた。禍々しい銀色の鳥の爪。爪は5本指ではなく3つになっていて、所々が黒くなっており、その手の甲には『B.C.』と言う文字が刻まれていた。



「ふふふ……」



 それ以上に驚いたのは彼女の身体である。彼女の身体は薄れたりぼやけたりしながら、少しずつ消えかかって行く。透明になっていく。



「ヴィシュヴェテル・アシェンダ様お手製の青い薬、『透明薬(ハイド)』。この薬は力が弱いボクでも戦えるようにと開発してくれた薬で、飲むと一定時間透明になる薬」



 そして彼女の身体は全く持って見えなくなった。



「鴉と言う鳥はその知能の高さが特徴的な鳥です。そんな鴉の特徴を持つボクの、華麗でち密な戦略に基づいて得た戦法をご覧あれ」



 バサバサと何かが羽ばたく音が聞こえて来て、その音が山の寒さを運ぶ北風が音を小さくしている。



「……!」



 何かに気付いたミスロスの瞳が輝くと、ミスロスが雪の地面を蹴って向かって行く。そしてミスロスの腕が振り下ろされる。何も無く、ただただ振り下ろされただけに思えたそれは、その後に聞こえて来た金属音によって答えが判明する。



「まさか、こんなに速く透明化が見破られるなんて思っても見ませんでしたよ。雪に足跡が付かないようにするために翼を羽ばたかせて飛んだんですけどね」



「気配でそう言うのは分かる物デス」



「そりゃ残念ん。後、さっきの攻撃でボクの顔に傷が付いてしまったよ。……あぁ、自分の血を見るのは何年振りかな。本当に久方ぶりの経験だよ。

 フフフ、アハハ、アハハハハハ!」



 彼女は笑う。雪山で姿が見えないが、彼女の声だけが雪山に響いていた。



「『人間は姿の見えない物に対して恐怖する物である』と言う言葉があるように、姿が見えないと言うのはこっちにとって凄い利点(アドバンテージ)になっています。

 そんな私を倒すのが楽だなんて思わないでくださいよ!? フフフ、アハハ、アハハハハハ!」



 狂ったような悲鳴が真っ白な雪が降る雪山で響いていた。

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