14.青鴉
雪山を歩く僕とミスロス(とは言っても剣の状態だけど)。途中で出会うモンスターはやっぱりどこか変だった。緑色の炎を纏うマッチビートル、銃を使うナマハゲ、それに狼の顔を持つジェントルウサギ。どいつもこいつもどこか可笑しな奴らだった。ミスロスは居なかったので僕1人で何とか倒していた。
「……それにしても」
何だか可笑しい。雪山を登って行くにつれてモンスターがどんどん可笑しな物へなっている。最初の頃よりもどんどん可笑しな事になっている。これはいったい、何なんだ?
「まぁ、良い。今はソーマリルに着く事が重要だ」
もうすぐソーマリルがあると教えて貰った場所に着く。そしてそこで僕は、エンチャッターを捨てて皆の役に立つために―――――――
「―――――で? あなたは何になりたかったの? 良ければボクに教えてくれない?」
そこに居た青いショートヘアーの女性は身体中にべっとりと血を付けて、ニコリとこちらを見て微笑んでいた。そんな彼女の足元には血の持ち主だと思われる無数の身体が血を流して倒れていた。
「どうも初めまして。
怪しまなくて良い。どんどん怪しんでね。ボクは悪者だから。
この死体だってボクが全員倒したの。何も安心する事は無いよ」
な、なんだ。こいつ。
容疑を否定するどころか、むしろ全力で容疑を認めている。こいつは何だ、何なんだ。
「あぁ、良いくらいに顔が青色になってきたね。うんうん、良い色。やっぱり色の中でも青が一番飛びぬけて良い色ね。
憂鬱、孤独、絶望! やはり人は憂鬱の、孤独の、絶望の色に染まった時が一番良い色をしている!
そんなボクの名前は合成魔物の一体、『青鴉』ことブルー・クロウ。
さぁ、次は血を抜いた青ざめた身体をボクに見せてくれ」
ブルー・クロウはそうやって不気味な笑みを浮かべていた。




