5.準備
シュートリ港。
王都に一番近い港なため、王都なために交易が盛んで、大きなコンテナや店なども港としては多く揃えている事が特徴である。
「……よし、着いたか」
と言うか、クレイノスが魔物を倒しまくった結果、僕達は全然苦労せずにこのシュートリ港に辿り着けたのは良かったのだけれども……。
「じゃあ、クレイノス、それにネフィー。船までの時間は、後数時間かかる」
今日は後、昼に4本。夜に3本。明日の朝に4本。
……かなりアバウトな時刻表みたいだ。
「昼の便はまだ準備してないから、乗らない方が良い。そして、夜も何かと物騒だろうからパス。
そしたら、明日の朝の便に乗る方が良いな」
まぁ、実際は疲れているから出来る限り休める状態が良いと思っただけなのだけど……。
準備が大切なのは事実だし、それに夜は危険だと言うのも間違いではない。
「よし! アイの言う通りだな。何も準備なしで向かって行ったら、タナハトの森は危険である。
昼は弱い魔物しかいないが、夜になると危険な魔物が居るしな!」
「兄貴! オレに任せてください! すぐさま、明日の朝の便と旅館を予約してきやすね! 大丈夫です、兄貴のパシリの弟分のオレの務めです!」
そう言って、2人は納得してくれた。
と言うより、約1名は暴走気味に走り去ってしまったが。まぁ、自ら担当を申し出てくれた事は非常にありがたいのだが。
「じゃあ俺は物資の方を調達するから、アイはゆっくりしといてくれ」
「僕を勝手に戦力外通告みたいな言い方するな。ちゃんと準備はしておくとするよ」
「……あれ? 他に居る物、あったけ?」
可笑しいなー、と言いつつ、首をかしげるクレイノス。
「お前はお前で、必要な物を買うだろ? どうせ食物とか回復用アイテムとかを買う予定だろ?」
「まぁ、そうだな。俺が思いつくのはそこまでだ!」
「……じゃあ、僕は森に行くために武器や装備を整えておくよ。必要だろ、状況次第では?」
と僕がクレイノスに聞くと、
「……あっ! そりゃそうだ。特にネフィーとか言うあのハーフエルフのお嬢ちゃんは、武器が銃だから銃弾とか必要だろうし。俺、銃弾の種類知らないし……」
しばらく考え込むクレイノス。
「じゃあ、頼んだぞ、アイ!」
そう言って、クレイノスは走り去ってしまった。
「……まぁ、クレイノスも案外間違いではないんだけどね」
けど、実際に消費されているから買わないといけない。
旅に出ると言う事は、本人達が死ぬのも避けなければいけないのと同時に、自らの身体を守ってくれる武器や装備もきちんと揃えなくてはいけないのだ。




