3.雪道
テスカロテ大陸は今まで僕が居たアレシル大陸とは違って、魔物も少し違って来るのである。何故、そんな事を言えるかと言うと、目の前に現れた魔物がアレシル大陸では見た事が無い魔物だったからである。
「我が主のこう言った変な魔物を呼び寄せる才能は、素直に称賛いたしますデス」
「絶対に……褒めてないよね。それ」
そう言いながら、僕は目の前の魔物を見つめる。
このテスカロテ大陸最初の魔物が……
身体全体が細長い針金のような身体に兎の顔を付けた魔物と、刃先からチョウチンアンコウのように光る球を付けた宙に浮かぶ目の付いた刀であるし。
「どうして最初に出会った魔物が、どちらも無機物系魔物と言う微妙な魔物なんだよ……。滅多に出ないぞ、無機物系なんて」
「私もここで無能な主のために、色々と食料採取のために魔物を倒しておきましたが、無機物魔物は見るのが初めてデス。これも主の人徳でしょうデス?」
「そんな人徳なら要らない……」
そう言いながらも、ちゃっかりと徒手空拳のように拳を相手にぶつけるミスロス。どうやらミスロスは接近型のタイプのようだ。殴って攻撃すると言うか、それなのに相手の傷は刃物傷と言うのはやはり本性が宝剣だからだろうか? 殴って斬るとはどこぞの無刀流を思い浮かべてしまう。いや、あれは創作物だったが……。
ちなみに先程戦った魔物は、兎の顔の魔物はジェントルウサギ、宙に浮かぶ刀はフライデー・アンコウと言う名前だそうです。正直、無機物系魔物のネーミングセンスは自分でもどうかと思う。
まぁ、倒したから今度こそは……今度こそはもっとまともな敵が……
「あっ、糞マスター。次の敵が来ましたデス?」
「良し……! 今度こそは……まともな敵が……!」
そして今度、俺達の前に現れた敵は……人間大の炎を纏った茶色いカブトムシ、マッチビートルである。羽の上には白い蝋燭が付けられていて、角はマッチ棒のように先が丸まっている。
「カブト―――――!」
「「……」」
炎を纏った茶色いカブトムシは、そのまま真っ直ぐにこちらへと向かって来る。
「こんなの初めて見たデス。雪山ってこんな魔物がいるのデスね? 知らなかったデス」
「ゆ……!」
「ゆ……?」
「雪山の魔物をちゃんと出せや――――――――――!」
僕はそう言って銃を乱射して、雪山としてはありえない昆虫型魔物であるマッチビートルへ攻撃した。
……本当に僕は、下手したら何かに憑かれているのかも知れない。それも変な物に。
もしくは作為的な何かが働いているのか?




