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1人では戦えない僕と、仲間達  作者: アッキ@瓶の蓋。
第二部 冒険開始

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12.対街路灯

 幽鬼シャンデルセンは、僕達の目の前で『ケケケ……』と聞いているのがけがらわしい声をあげていた。どうやら僕とメティアに注意を向けさせる事には成功したようだ。



『ゆらり、ゆらりと、ゆらりと……。どうやら貴様らが僕の本来戦うべき相手だな』



 戦うべき相手? どう言う事だ?

 考えられる可能性は2つ。1つは僕やメティアに直接恨みを持っている訳が無いので、僕の職業(ジョブ)であるエンチャッター、もしくはメティアの職票(ジョブ)である魔法使いに恨みを持っている場合。もう1つはこいつを蘇らせた人物が僕達を倒すよう消しかけた場合。

 僕の職業(エンチャッター)に恨みを持っている可能性は無い。何せ、エンチャッターとは本来恨まれるような職業では無いからである。恨みを持つ職業と考えられるのは、自分を倒した奴と同じと言う理由の職業、そしてもう少しで倒せると言うのを邪魔したと考える職業。けれどもエンチャッターは攻撃的な職業でもないし、回復的な職業でも無い。どちらでもない以上、他の職業を恨むべきでエンチャッターを恨む可能性は低いからである。



 メティアの職業も却下。さっきまで戦っていたエレーマとフィンザはどちらも魔法使いだろう。なのに、わざわざメティアだけに拘る理由も無い。魔女に恨んでいると言うのも、魔女に復活されるケースが多い幽霊族の魔物は魔女を恨まないし、むしろ好んでるくらいだし。

 そしてこいつを蘇らせた人物がシャンデルセンに何かやって居ると言う可能性も低いだろう。こう言うボス級魔物は力で訴えかけるしかない。と言う事は、こいつを言ったのもかなりの力を持っていると言う事になるだろう。だとしたら、これを蘇らせて従わせるほどの人物となると僕の知って居る限りだと、レッド・モンキーくらいだ。



(でも、あの面倒臭がりのレッド・モンキーがやるとは思えないな)



 じゃあ同じくらい、もしくはもう少し強い奴がやったのだろうか?



「アイ、クール、敵に、集中、して!」



「……ん? あ、あぁ、了解した」



 僕は目の前の魔物、幽鬼シャンデルセンに集中する。

 幽鬼シャンデルセンはくるくる回転しながら、『ケケケ……』と笑っている。蝋燭は回転して、炎は辺りに飛び散っている。



『ゆるり、ゆるり。さぁ、死んでくれ。―――――――――――――――アイクール・パルジャ』



「へ……? ぼ、僕かよ!」



 僕が幽鬼シャンデルセンの言葉に驚いている間に、幽鬼シャンデルセンは青い炎の塊を僕達、しかも正確に僕のみを狙って発射していた。



「やらせ、ない! ヘイス、ウォーター!」



 メティアは先程幽鬼シャンデルセンの注意を引いたヘイス系の魔法をあの魔物へと発射した。メティアが放った水の塊は幽鬼シャンデルセンの炎を消しながら、本体へとぶつかる。幽鬼シャンデルセンの蝋燭の炎は水で消えてしまい、幽鬼シャンデルセンはヘイス系の水をどっぷりかけさせられていた。



『ゆらり、ゆらり。ゆらり、ゆらり。アイクール……貴様を殺す。貴様を……貴様を……貴様の……』



「まだ僕に恨みがあるだなんて!」



 どうして! どうしてここまで恨まれなければならないんだろう?

 ヘイト系魔法を2発受けといてもなお、僕に憎しみを向けるなんて……。そこまで僕、いやエンチャッターに恨みを向けているのだろうか?



「こうなったら仕方ない! メティア、僕が光属性を付与した弾丸で注意を引くから、お前は全力の光属性の魔法を奴にぶち込んでくれ!」



「了解、しました!」



 メティアは上級魔法の詠唱を始める。しかし幽鬼シャンデルセンは僕にしか注意を向けていない。だから、どうして幽鬼シャンデルセンは僕をこんなに恨んでるんだ? 僕には恨まれる覚えは一切ないと言うのに……。



『ゆらり、ゆらり。君には破壊を持って償わせよう。どうせ君は死にはしないのだから』



 ん? 死にはしない? もしかしてこいつは僕ではない人物に注意を向けている? でも、僕の名前を呼んでいたし……。どう言う事だ?



「まぁ、僕はやる事をやるだけだ」



 僕はそう言って、黒い棒でエンチャットの魔法を発動させて、弾丸に光属性を出来る限り加護させる。そしてその弾丸を銃に入れる。そして、幽鬼シャンデルセンに狙いを付けて発射した。発射された弾丸は幽鬼シャンデルセンへと当たり、幽鬼シャンデルセンは声にならない悲鳴をあげていた。



『殺す、殺す、殺す!』



 幽鬼シャンデルセンはもはやさっきまでの速度が霞んで見えるほどの超高速回転を実行した。青い蝋燭の炎が超高速回転によって生まれた竜巻に同調し、幽鬼シャンデルセンは青い炎の竜巻となって僕の眼の前に登場していた。



『死ね! 死ね! 死ね―――――――!』



「そうは、させない。アイ、クール、守る!」



 メティアの上級魔術が完成し、けた外れの光の束が幽鬼シャンデルセンを貫く。

 幽鬼シャンデルセンは灰すら残さず、消え去った。消え去ると共に、このホテルにあった邪気はすべて消えていた。



 元締めが消えたから、全員消えたのだろうか? まぁ、何はともあれ、一安心。一安心。



 ……って、あれ? そう言えば、クルスはどこだ?

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