23.赤猿戦
「大人しくしてくださいね~。逃げると、追うのがきついので……」
と、レッド・モンキーは言ってメティアに向かって、右腕のチェンソーを振り上げる。チェンソーは回転し、火花が散る。
「ちっ! ガードダウン! それにエアライド!」
僕はそう言って黒い棒で、レッド・モンキーの防御力と吹っ飛び耐性を下げる。
「そして、ブレイクバレットっす!」
ネフィーはそんなレッド・モンキーに貫通力重視の銃弾を放つ。レッド・モンキーは防御耐性が低くなっていたが傷は付かなかった。余程、元々の防御力が高いのだろう。けど、吹っ飛び耐性が下がっていたのはきちんと効いていたみたいで、レッド・モンキーは後ろへと吹っ飛ぶ。
その間にメティアは僕の後ろに隠れさせる。「あ、ありがと」とメティアは後ろから言う。
まぁ、戦闘だと助け合う事が大切なのだが……。
「Yes. おぉう。それはなかなか良い手だよ。まぁ、こうすれば良いだけなのだけれど」
そう言って、レッド・モンキーは短刀を取り出す。短刀を取り出すと、その短刀を左腕へと付ける。すると、短刀は吸い込まれるように左腕に消えて行った。
「短刀が……!」
「まさか、短刀に、よる、能力値、補正!?」
と、メティアは言う。
能力値補正? もしかして短刀を、自らの体内に取り込む事によって能力値を元に戻す、と言う事なのだろうか?
「Yes. ……エンチャッターの形無しってね。そもそもエンチャッターごときでは、私のこの攻撃は破れませんよ、っと」
そう言ってレッド・モンキーはチェンソーを取り外して、代わりに日本刀を装備する。腕に日本刀を取り付けて、それを僕に向ける。
「まずは戦闘には向かないけど、戦略的に意外と厄介な君から倒そう」
そう言って、レッド・モンキーは僕に日本刀を向ける。
「今度はもう少し真面な人生が歩めると良いね。さらばだよ、アイクール君」
そして、レッド・モンキーは日本刀を僕へ向けて攻める。
(くっ……! ここまでなのか……!)
でも、仕方ない。
だいだいエンチャッターと言うのは、寿命が短い。エンチャッターは自らでは戦えないために、やってもすぐに職業変更にてエンチャッターではない職業を選ぶのである。
まぁ、戦闘で長生きできる職業ではないしな。
……と思いながら、僕は眼を閉じる。
「アイクール! これを使え!」
クルスさんの言葉が聞こえると共に目を開けると目に映ったのは、僕に迫って来るレッド・モンキーの日本刀と……回転している青色の短刀。
「……一か罰か!」
僕はそう言って、青色の日本刀を持ってレッド・モンキーに斬りつける。
「No. だから、そう言う武器攻撃は効かないんだよ。何せ、吸収するからさ」
レッド・モンキーは右腕を出して青色の日本刀を先程、短刀を飲み込んだように青色の日本刀を飲み込んだ。
そして、レッド・モンキーはニヤリと笑ったが、
「……!」
いきなりレッド・モンキーの右腕に激しい亀裂が走って、彼女の右腕が切り落とされて落ちる。右腕の中から大砲や槍、そしてあの青色の日本刀も落ちていた。
切り落とされた右腕を見て、レッド・モンキーは呆然とする。
「……なるほど。ヴァスリオス・ウルウス王の狙いはこれね。
はぁ~……。……仕方ない。ここは帰るとしますかね」
溜め息を吐いたレッド・モンキーは亀裂が入った右腕を左手で拾って、ぺこりと頭を下げた。
そして、レッド・モンキーを退けた僕達。
王都にようやく平和が戻ったのでありました。
……と言うか、クルスさんが投げたこの青色の日本刀は、何なんだろ?
と、青色の日本刀を拾った僕は考えを巡らせたのであった。
第1部、『王都危機』。
完。




