17.推測
僕、アイクール・パルジャは良く物事を推測している事が多い。
これはエンチャッターに良く見られる職業病である。
エンチャッターは補助職で他人の能力を変化させる職業である。味方に防御力が少ない場合は防御力を付加して、毒を使う敵は味方に毒耐性を付加する。暑い場所なら暑くならないように味方に涼しさを付加する。それがエンチャッターの戦闘による役割である。
故にエンチャッターはそれからの状況も推理し、行動しなければならない。故にエンチャッターは物事を推測するのが多い。
僕は王都に呼ばれた目的を考えていた。
魔法都市側、もっと言えばメティアの僕を呼び出した目的は、久しぶりに会いたくなったから。呼んだ理由としては弱いが、納得できる。
問題はクレイノス側、王都側の事情である。
「なんでわざわざ、クレイノスを派遣してまで僕を呼んだのか?」
メティアは恐らく王都にこの事を話した。
そして、王様はエンチャッターが何らかの理由で欲しいと思ったのだろう。そして騎士学校の中でエンチャッターに知り合いがいるクレイノス・テスカルナが、僕を呼びにウルテックへと向かわせたのだろう。
「エンチャッターを呼び出そうとした目的は分からないけど」
それは明日、分かれば良いんだけど。
僕達が王様に会う、明日の謁見の会議で。




