15.幼馴染会話
「本当に久しぶりだな、メティア。魔法学校に行ってからだから、約10年ぶりか」
「うん。本当、久しぶり」
僕が右手を差し出すと、彼女、僕の幼馴染であるメティア・アンラニルは両手を出して僕の右手をしっかりと両手で掴む。そして、その両手でしっかりと感触を確かめるように握りしめる。
まるで何か大切な物を逃がさないように、メティアは僕の手をしっかりと握っている。あまりにも強く握りしめているから、そろそろ手が痛くなってきているんだけど……。
「あ、あのメティア。ちょっと、痛いんだけど……」
「駄目。10年ぶり、だから。10年くらい、充電、する」
何の充電だよ……。魔法使いだから、ここは魔力とか? いや、僕の手をぎゅっと握りしめ続けても魔力は充填されないと思うんだが……。
「そう言えば、僕はこの王都に呼ばれたんだけど……。それって、メティアもなんか関係ある?」
そもそもメティアは本来ならば、王都では無く魔法都市に居るべき人間である。
そんな彼女がここに居るのは可笑しな事である。けれども、もしもクレイノスが僕をこの王都に連れて来るのに彼女も関わっていたとすれば、話は別である。
だからそう考えて、僕は彼女に聞いたのだけど。
「うん。と言うか、関係、しかない」
そう言って、彼女は言う。
「だって、私の通う、魔法学校、白魔女学校の、卒業生の、せいだから」
「白魔女学校の卒業生?」
ちなみにこいつ、メティアが通う学校は確かに白魔女学校と言う名前である。
白魔女学校。
確か話によると、世界の役に立つ白魔女を作るのが、目的の由緒正しき魔女の学校だっけ?
魔女って言っても、最近では男も魔法を使い始めているから、白魔法使い学校にするか協議していると、新聞で読んだ。
200年続く伝統校だから名前の改名も慎重になっているとか。
「そいつが何かして、王都に危機が訪れたから魔法都市から、メティアが派遣されてきたのか?」
「うん。私、学校一、魔女の、成績、良いから」
「へぇ……」
由緒正しき白魔女学校で学校一の魔法使いになる。それは並大抵の物では無い事は、本職ではない僕にだって分かる。
随分と努力したのだろう。
「良くやったな、メティア。幼馴染として、僕はお前を誇りに思うよ」
と、未だに掴まれて(そろそろ指先の感覚が無くなってきた)右手は使えないから、左手で僕は彼女の頭を撫でる。
「……えへへ//////」
彼女も満更ではないようで、口元からでも分かる笑みを浮かべている。
「で、その白魔女学校の卒業生は何をしたんだよ」
「……えへへ//////」
「おーい、メティアー」
「……えへへ//////」
……。
駄目だ、こいつ。後で話を聞くとしよう。




