13.回復術師脱退
夜中の森にてダーツゴーレムを倒した僕達は、ようやく王都へとやって来た。
王都、ガイテック。
高い丘に作られた高貴な城、ガイテック城。それの下に広がる水路と共にある石造りの街並み。国一番活気溢れる街。
やっぱり、国一番の街だからウルテックの10倍くらい賑わっているな。
「ようやく着いたな……。全く……」
僕はそう言いながら、城を見る。
とても大きな、巨大な城である。左右対称の形になっており、かなり前に作られたにも関わらず見る者に素晴らしいと思われる大きな城。
「兄貴! 兄貴! あの店、凄いおいしそうな物売ってやすよ! それにこっちには男らしいアクセサリーが!」
ネフィー、アクセサリーは決してそう言う男目線で見る物じゃないと思うぞ。まぁ、ネフィーは王都に興味津々のようである。
「アイ! あれが王都ガイテックの象徴、ガイテック城だ! 少し用事をすませたら、あの城に向かうぞ!」
「用事……? まぁ、それはともかく」
僕はイスカちゃんに向き合う。
「……? どうかしましたかです?」
きょとんとした顔で、顔を傾けるイスカちゃん。
「いや、だってイスカちゃん。この王都に用事があって来たんじゃないの?」
「……! そうでしたです! で、ではここでお別れですね」
そう言って、イスカちゃんは名残惜しそうな顔をする。
「……ここでお別れです。では、皆さんさらばなのです。特にアイクールさん」
「ん……? 何でしょうか?」
僕は名前を呼ばれたので、ゆっくりと彼女に近付く。そして視線を合わせるため、少ししゃがむ。
「酒場で誘ってくれた事は非常に嬉しかったです。もし、また機会があれば同じようにお願いするのです」
ぺこりと頭を下げながら、一生懸命言う彼女に
「あぁ、僕もその際はお願いするよ」
と答えた。
「それでは、なのですよ!」
そう言って、彼女、イスカ・セドドラちゃんとは別れた。
イスカちゃんはこちらを振り返りながら、手を振って走って行った。
……確か、あっちには大きな協会が会った気がする。恐らく彼女はそこに向かったのだろう。
「と言う訳で、アイ。俺達も向かうぞ?」
「……いや、どこにだよ」
「どこって勿論、あそこだぞ?
俺達の幼馴染、メティアの待っている宿泊所にさ」
「メティア……」
あいつかよ……。
「メティア? 誰ですかい?
……それよりもこの肉、おいしそうですねー」
お前は呑気で良いな、ネフィー。
それにしてもメティアか。久しぶりだな、うん。
しかし、彼女が魔女学校に行って以来10年ぶりだな。
今はどんなんだろうな、メティア。
……まだ片言喋りだったりするんだろうかな。メティア。




