10.船上戦闘
緑の魔女型の合成魔物、グリーン・キャットは試験管に入った緑色の薬を飲み干すと、グリーン・キャットは呻き声をあげる。
「ニャー八ッハハハ! 何度やってもこの快感は気持ちいいにゃー!」
グリーン・キャットがそう言うと共に、彼女の身体は徐々に巨大化していく。どうやらあの薬は、即効性の高い巨大化薬のようである。
「おっと、このままじゃまずいにゃ。変身魔法、化け猫変化」
グリーン・キャットがそう言うと共に、魔女だった姿はすぐさま先程の猫のような姿へと変わる。
そして、先程水面に現れた巨大な緑の猫が甲板に立っていた。
「ニャハハハ! これでにゃき喚け! 猫騙し!」
グリーン・キャットがそう言うと共に、緑色の右前足がさらに巨大化する。そして、それを船に落とす。
「フレイムレジェンド0!」
クレイノスは自らの持つ大型の金色の剣に炎を纏わせる。炎を纏ったその金色の剣で緑色の右前足を払いのける。払いのけると猫は「あちゃー!」と不満げな声をあげる。
「熱いじゃにゃいですか! 猫は熱いの嫌いにゃんですよ! 猫舌ならぬ、猫肌で熱いのは苦手にゃんですよ、猫は!」
緑の猫はふー、ふーと右前足に息を吐いて、熱さを少しでも冷まそうとしている。
「ちっ! 行くぞ、ネフィー。レッドアップ」
僕はネフィーの銃弾に攻撃力アップのエンチャットをかける。
「兄貴、了解です! フレアバレッド!」
ネフィーは銃から火炎の銃弾を発射して、緑の巨大猫の身体に当てる。
銃弾は緑の巨大猫に当たって、巨大猫の身体に火炎が纏わりつく。
「熱っー! 猫は猫肌と言ったじゃにゃいか! 止めにゃよ!」
にゃー! と言って、グリーン・キャットは炎にのたうち回って海に落ちる。
「ふー……。熱で死ぬかと思ったにゃ。何するにゃ」
そう言ってグリーン・キャットは、二又の尻尾を僕達に向ける。
「食らうにゃ、ツインドリル・ニャンダー!」
二又の尻尾をドリルのように回転させて、グリーン・キャットは船へと攻撃する。グリーン・キャットの甲板が二又の尻尾で貫かれて、大きな穴が開く。船が傾くと共に、僕達は船を転がる。
「ツインピストル・ニャンダー!」
グリーン・キャットは尻尾を丸めて、その尻尾をまるで銃弾のように発射する。銃弾のように発射された尻尾は、僕達にダメージを与える。与えられたダメージで僕の身体はひしひしと苦痛の悲鳴をあげる。
「リカバリー、です!」
イスカちゃんはすぐさま回復の術を使って、僕達を回復してくれる。身体がまるで羽のように軽くなってみたいである。
……さすがヒーラー。回復術を使うヒーラーをパーティーに一時参加させたのは、本当に良かった。それに対して僕が出来るのはエンチャットと……祈る事くらいである。
「クレイノスにネフィー、後は頼んだぞ。レッドアップ・トップに、フレアオイル」
僕は2人に僕が今出来る、最大限の攻撃力アップを行う。そして、グリーン・キャットの火炎耐性を下げる。
「行くよ、エルフのお嬢さん! フレイムレジェンド01!」
「了解です、クレイノス! フレアバレッド!」
クレイノスは火炎を纏わした金色の剣で緑の猫の身体を斬り、ネフィーは銃から火炎の弾を発射する。
「ぎやぁぁぁぁぁ! 熱い! 熱いにゃ!」
僕のエンチャットによって、ただでさえ低めの火炎耐性をさらに下げられたグリーン・キャットは呻き声をあげて、緑の煙をあげてそのまま消えて行った。
倒した後に、がくん、と音をあげて傾く船。
「っ……! 船に浸水したか。
おい、3人とも! 緊急ボートで脱出するぞ!」
僕はそう言いながら、船に備え付けられた緊急ボートを取って、海へと投げ入れる。海へと投げ入れられたボートは、水面の上でボートの形になる。そのボートの上に僕は乗り込む。
「さぁ、イスカちゃん。飛んで来て」
「はいです。分かりましたです」
イスカちゃんは船から飛んで来て、僕はそれを受け止める。そして船に乗せる。
「おーい、2人も来い!」
「あぁ、分かったよ」
「了解です、兄貴!」
2人もイスカちゃんと同じく、船から降りる。けど、イスカちゃんと違って2人が落ちたのは海面だが。
ボートの上に2人を引き上げた僕は、そのままボートでトゥラタート港へ向かって行った。
まぁ、最初の戦闘と言う事でこんなんでどうでしょうか?
ちなみに次回は8月22日の8時に、『モンスター図鑑Ⅰ』をアップ予定です。




