4話:キャンプ第2クール~紅白戦~
よく晴れ渡った空の下、宜野湾市営球場では12球団いち早い紅白戦が行われようとしていた
マスコミや観客のためにベンチメンバーが書かれた紙が配られていた
編成は以下のように分けられていた
紅組ベンチメンバー
投手:水城、田村、金城、久保山
野手:原口、櫟、西岡、尾川、比企、庄司、笹垣、海山、松岡、憲史郎、齋藤
白組ベンチメンバー
投手:岡、須野、新見、鳥岡
野手:堂峯、雨家、大原、阪口、堤、鶴岡、近藤、真上、鵜島、昭人、佐藤
◆◆◆◆◆
「出場予定のない他の投手陣はブルペンに入るように。試合のイニングは5回」
杜がA班の選手全員の前で今回の紅白戦をする意味とチームを伝えていた
昨年より早い段階での紅白戦をする意図、それは現段階での選手の動きや能力を知るために
「紅組の監督は大神さん、白組の監督は高津さんに任せます」
「「はい」」
杜から指名された両コーチはそれぞれ返事をした
「今から30分後に試合を始めます」
◆◆◆◆◆
杜が選手に指示をしてから30分が経過し、場内アナウンスが流れた
『只今より横浜シースターズ紅白戦を行います。先攻、紅組のスターティングメンバーは…
1番 二塁手 西岡 背番号3
2番 中堅手 松岡 背番号55
3番 左翼手 齋藤 背番号14
4番 三塁手 笹垣 背番号33
5番 一塁手 比企 背番号8
6番 右翼手 憲史郎 背番号56
7番 遊撃手 尾川 背番号30
8番 捕手 原口 背番号15
9番 投手 水城 背番号45
続きまして、後攻白組のスターティングメンバーは…
1番 中堅手 昭人 背番号69
2番 二塁手 近藤 背番号5
3番 一塁手 大原 背番号65
4番 三塁手 阪口 背番号68
5番 遊撃手 堤 背番号24
6番 捕手 堂峯 背番号1
7番 右翼手 真上 背番号29
8番 左翼手 佐藤 背番号31
9番 投手 岡 背番号101』
試合は寒い結果となった
両チーム合わせて安打4本。無得点という始末
そんな試合で存在感を示したのが昭人と堂峯の2名
昭人は2打数2安打3盗塁。守備では中間の安打性を好捕
一方の堂峯は2打数1安打、あわや本塁打という二塁打と鋭いライナーが・・・
「昭人と堂峯は振れているな」
「そのようですね」
「堂峯は捕手で登録してありましたよね?」
「そうですね」
杜の目にとまった高卒新人堂峯の打撃センス
チーム捕手陣の中でも群を抜くパンチ力、しかし捕手事情がそうもさせてくれない
一軍帯同する捕手は3名。正捕手である鶴、二番手捕手の櫟、三番手捕手で中堅の高町
「堂峯次第ですが、内野練習でもされますか」
「一塁手なら高校時代に守っていました。まぁ本人は捕手でやりたいのでしょうが…」
一軍で紅白戦が行われていた午前、中城村のB班はというと・・・
「「オッケー、ナイスボール!」」
チーム最年長の杉下と箕浦がブルペンで投げ込みをしていた
「次、右打者の内角低目」
「左打者の外角低目」
そんな箕浦と杉下の投球を見守る碓井二軍監督と岩岡投手コーチ
「箕浦と杉下、球が走ってるな」
「杜監督に報告しておくか」
「そうですね」
碓井と岩岡がブルペンを後にしたのと同時に箕浦と杉下も投げ込みを終えた
杉下は箕浦が投げ込んでいる様子を見ていて、「調子が良さそう」と声をかけたが、当の箕浦は「まばつきがあってまだまだ」と言い返した
「今年の開幕は頂くからな」
「俺だって負けませんよ」
二人のベテランは3月29日の開幕戦に照準を合わせていた
ここ数年、開幕投手は箕浦と杉下が交互に投げるという雰囲気になりつつあるから
というのもあるが、今年の開幕は昨年カモにされた東京ツインゴリアスが相手というのが大きい
昨シーズン成績:24試合8勝14敗2分
※ビジターでは1勝もできず
「今年は箕浦が150勝目前で、俺が200勝」
「達成して最下位脱出したいですね」
☆箕浦太亮☆
22年目40歳 投手
高卒で横浜に入団。1年目から先発の柱として起用される
チーム内から「永遠の野球小僧」と称されるチームの顔
獲得タイトル:新人王、最多勝利
昨シーズン成績:20試合 4勝12敗 4.26
通算成績:425試合 147勝146敗0セーブ 3.74
☆杉下護☆
29年目47歳 投手
チーム最年長にして球界最年長選手、横浜が球団最高位の4位になった時の中心選手
昨シーズンは怪我の影響で後半に離脱
獲得タイトル:最多奪三振
昨シーズン成績:10試合 4勝5敗 3.89
通算成績:542試合 198勝195敗0セーブ 3.51