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弱小球団奮闘記  作者: 鈴兼哲
0章:プロ野球の監督になるまで
2/17

プロローグⅠ

杜克己、独立リーグを率いた最後の試合

プロ野球のシーズンが終盤に差し掛かり殆ど順位が確定してきた10月中旬

ここ、岐阜県長良川球場ではある試合が行われていようとしていた



スコアボードに表示されたチームは


先攻:富山ミリオンスターズ

後攻:千葉マリンフィリーズ




この一戦は根来コミッショナーが独立リーグ(関東リーグ・北信越リーグ・関西リーグ・四国リーグ)の盛況に乗っかり独立リーグ代表チームが二軍(ファーム)日本一のチームとの親善試合を数年前に唱えたのが始まり

今では独立リーグ代表は二軍(ファーム)日本一のチームと遜色ないほどになっていた




◆◆◆◆◆



三塁側ベンチ 富山ミリオンスターズ



「今日が一年で最後の試合だ。悔いのないように戦え!」



肩に50番と書かれたグランドコートに身を包んだ青年監督が声を上げた

実はこの監督、チームを率いてまだ4年しか経っていないが3年連続で優勝に導いた手腕がありプロ球団からオファーが来ていた




「よし。スタメン発表するぞ」




◆◆◆◆◆



試合開始予定時間が五分に迫り各チームの先発出場選手(スタメン)が場内にアナウンスされ、電光掲示板に表示された



   先攻:富山         

一番 二塁手(セカンド) 土井

二番 遊撃手(ショート) 薄井

三番 DH アルバラード

四番 右翼手(ライト) 松井

五番 中堅手(センター) 飯原

六番 捕手(キャッチャー) 古舘

七番 一塁手(ファースト) 高木 

八番 三塁手(サード) 梅津 

九番 左翼手(レフト) 伊勢

投手 戸間


後攻:千葉

一番 遊撃手(ショート) 小阪

二番 二塁手(セカンド) 早阪

三番 三塁手(サード) 伊前

四番 右翼手(ライト) 大松

五番 中堅手(センター)

六番 左翼手(レフト) 神戸

七番 捕手(キャッチャー) 橋本

八番 一塁手(ファースト) 金澤

九番 DH 西村

投手 黒木





◇◇◇◇◇



1回表

三者凡退


1回裏

早阪出塁も併殺打で無得点


2回表

松井が右中間への二塁打で出塁も生還せず


2回裏

一死から南が四球で出塁も盗塁失敗


3回表

梅津、伊勢の連打で無死一二塁も併殺打と三振で無得点


3回裏

三者凡退


4回表

三者三振


4回裏

小阪が死球で出塁、早阪が送り一死二塁も伊前、大松三振


5回表

古舘が右翼線三塁打も高木がスクイズ失敗で一死一塁

梅津の打席でランエンドヒットを決め一死二三塁

伊勢が中堅への犠飛で古舘生還。二塁走者梅津が三塁に進塁も薄井が凡退



※ランエンドヒット

 走者がスタートし打者がストライク球を打つこと



5回裏

南、神戸の連続安打で一二塁も併殺打と三振で無得点


6回表

投手:黒木→園河

園河の前に三者凡退


6回裏

西村に代わって代打大塚。大塚が中堅前安打で出塁

小阪が送り一死二塁で早阪が遊撃への内野安打で一死一三塁

伊前の時に一塁走者早阪が盗塁。一死二三塁も無得点


7回表

一死から高木の右中間への本塁打で追加点


7回裏

投手:戸間→大下

二死から橋本に四球を出すも金澤を三振に仕留める


8回表

二死からアルバラードが出塁も松井が凡退


8回裏

三者凡退


9回表

飯原、古舘、高木の連続安打で無死満塁

投手:園河→小林

梅津の時に小林の暴投で1点追加 無死二三塁

一死二三塁から伊勢が中堅への飛球で三塁走者古舘が本塁狙うも南の好返球で本塁憤死


9回裏

伊前、大松が倒れるも南、神戸、橋本が出塁し二死満塁





◆◆◆◆◆

富山ベンチ



「監督。大下は限界です」


投手コーチである北別府が杜に投手交代を打診した


杜は交代を渋っていたが相手ベンチが動いたことでこちらも動かざるを得ない状況になった



「千葉マリンフィリーズ。選手の交代をお知らせします。打者金澤に代わりまして堀。打者(バッター)は堀。背番号6」


千葉マリンフィリーズが誇る代打の切り札堀の名が場内にコールされたのだ



「北別府。酒井は用意できてるか?」


「準備万端です」



杜は北別府に酒井の準備が出来ていることを確認してからベンチを出て主審の元に歩み寄った



「主審。投手交代、酒井」



杜は主審から新しいボールを受け取りそのまま内野手が集まるマウンドへと向かった



「大下お疲れ。あとは酒井に任せる」


そういって杜は大下の肩を労いの意味を込めて叩いた

そして、ベンチからマウンドへ小走りで駆けてくる背番号11



「酒井。この試合締めてくれ」


「うっす」



酒井潤二

富山が誇る最強ストッパー

『彼の活躍なくして富山の優勝なし』ともいわれるほど今シーズンは大活躍をみせた




杜はマウンドで投球練習をする酒井を見守りマウンドを降りベンチに戻っていった



「監督、大丈夫ですよね?」


「大丈夫だ。酒井(ヤツ)はこんな修羅場を幾度どなく潜り抜けてきた。オレたちは酒井(ヤツ)と心中しようや」



杜をはじめとした全員が酒井の投球を固唾をのんで見守った


それは相手ベンチの千葉、そしてこの試合を観に来てくれた数百人の観衆も同じように・・・




酒井の躍動感ある投球フォームから繰り出されるボール

堀はベテランの妙で配球を読みカットしつつタイミングを段々と合わせてきた



カウント 3ボール2ストライク



酒井が投じた渾身の12球目


堀のバットが酒井が投じたボールを捉えた


捉えたが力のない小飛球となって宙に舞った


小飛球の落下地点には酒井が入った




◆◆◆◆◆



試合結果

富山 千葉

3 - 0



見事に富山ミリオンスターズが千葉マリンフィリーズを下し2連覇を成し遂げることが出来た




杜克己にとってこれが富山ミリオンスターズで指揮を執る最後の試合となった・・・

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