#06:元旦のクールダウン
瀬戸陽子の、変わらない日常の中に少しだけ柔らかい気配が混ざる頃の話です。
大きな出来事はありませんが、生活の中にゆるやかな温度の変化があります。
1/1 07:43
薄い冬の光が、カーテン越しに部屋を白くしていた。
窓の外は静かだ。まだ世界中が寝ているみたいに。
電気ケトルがカチリと鳴く。
PCのスイッチを入れる。
攻略サイトの目安は三時間。
集中する。
クリック。クリック。
ふと時計を見る。まだ9時前だ。
「……終わっちゃった」
タスクが全部消えて、
コタツの上が“空スロット”みたいにぽつんとしていた。
スマホを手に取る。
昨夜、23時55分。
『あけおめー。ことよろ!
補給物資役に立ったかな?』
五分早い、確信犯。
やっと「今日」になった。
私は、ツッコミの言葉を打ち込んだ。
ヘッドホンを外した瞬間、かすかに太鼓のような音が聞こえた。
そうか、初詣か。
……そういえば、エナジードリンクもゼリー飲料も切れてたな。
ハム&チーズも、もう無い。
少しだけ外、行ってくるか。
読んでくださってありがとうございます。
陽子の世界は静かなままですが、日々の積み重ねの中に、わずかなゆるみや温度が生まれています。
その小さな変化を、これからも淡く追っていけたらと思います。




