#02:大晦日のデバッグ
瀬戸陽子の、変わらない日常の一部をそっと切り取った短い話です。
大きな動きはありませんが、彼女の世界の静けさをそのまま置いています。
12/31 08:16
カーテンの隙間から、冬の硬い光が差し込む1DK。
コタツの上にはピザの空き箱と、炭酸の抜けたコーラ。そして、私の予備のコントローラーを抱えて寝落ちした親友。
昨夜の「ピザ襲来」というイレギュラーによって、私の綿密なスケジュールは崩壊した。深夜2時まで続いた彼女の仕事の愚痴。本来なら、もっと効率的に経験値を稼いでいるはずだった。
けれど、不思議と悪い気分じゃない。一年の終わりに、自分以外の誰かの論理に振り回されるのも、たまには悪くないデバッグ作業だ。
「......さて」
彼女が起きる前に、静かにノートPCを起動する。真希を駅まで送るまでの、短い「自分時間」。少し冷めた白湯を飲み干して、 私の本当の大晦日が、ようやく動き出す。
読んでくださってありがとうございます。
陽子の生活はまだ大きくは動きませんが、同じ日々の中にも微かな揺れがあります。
その小さな変化を、これから少しずつ描いていけたらと思います。




