#16 昼下がりのスクリーンショット
昼下がりの光には、朝とはまた違う“ゆるみ”がある。
世界が完全に動き出しているのに、
部屋の中だけは、どこか取り残されたように静かで、
時間が薄く伸びていく。
陽子にとっては、こういう“間”の時間が
いちばん自然に呼吸できる場所なのかもしれない。
#16 は、その静かな昼の断片です。
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カーテン越しに白い光が落ちている。
ヘッドホンの内側で、ファンファーレが短く響いた。
陽子は一息ついて、キーボードとマウスから手を放す。
画面の中では、キャラクターがゆっくり歩き続けている。
コタツの中で足を組み直す。
その動きに合わせて、ノートPCの光がわずかに揺れた。
「……次、どうしよ。」
小さく漏れた声と一緒に、スマホを手に取る。
画面をつけると、未読の通知がひとつ。
『真希:起きてるかー?
こっちは年明け挨拶で足が棒だよw』
指をすっと動かす。
「お疲れ様」
スマホを裏返す。
黒い背景の上を、白い文字がゆっくりと流れていく。
昼の光は、朝よりも柔らかくて、
夜よりも輪郭が曖昧で、
どこかスクリーンショットのように切り取られて見える。
陽子は特別なことをしない。
ただ、ゲームの余韻と、通知の文字と、
部屋の光の中に静かに存在しているだけ。
その“何もしなさ”が、
彼女の世界の自然なリズムなのだと思います。
今回も読んでくださって、ありがとうございました。




