#15 休日のリスポーン地点
休日の朝の空気には、どこか“続き”の気配がある。
昨日の疲れも、昨夜の音楽も、まだ薄く残っていて、
世界が完全に切り替わる前の、静かなバッファのような時間。
陽子にとっては、こういう“揺れの少ない瞬間”が
いちばん自然に呼吸できる場所なのかもしれない。
#15 は、そんな朝の始まりの話です。
1/4 8:15
湯気がゆっくり上がっていく。
カップの縁に触れた指先が、少しだけ温かい。
コタツのオレンジの光が、部屋の空気をゆっくりほどいていく。
ノートPCの電源を入れる。
薄い光が、静かな部屋に淡く揺れる。
ログイン画面が、昨日の続きみたいに静かに浮かんだ。
ゲームを起動する。
指先が軽い。
ヘッドホンの内側で、無音の気配が広がる。
それでも昨夜のジャズが、耳の奥に薄く残っている。
窓の隙間から冷気が入り、遠くの車の音がかすかに流れた。
コタツの上のスマホが、短く震えた。
休日の朝は、特別なことが起きるわけではないのに、
どこか“リスポーン地点”のような静けさがある。
陽子は何も選ばず、何も決めず、
ただ、世界の薄い揺れに合わせて動くだけ。
その動きが、結果として
彼女の一日の最初のレイヤーを形づくっていく。
今回も、読んでくださってありがとうございました。




