#14:琥珀色のヒーリングエリア
瀬戸陽子の、静かな日常の中で生活のリズムがわずかに揺れる頃の話です。
大きな動きはありませんが、いつもの流れに小さなずれが生まれています。
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鈴の音が静かに消えていく。
微かなジャズのBGM。
空気が少し落ち着いている。
薄暗い店内。
棚のボトルが淡い光を受けて、静かに色を返している。
「……いらっしゃい。」
軽く会釈して、いつもの席に向かう。
BGMがいつもよりはっきり聴こえる。
真希がこちらを見て、少しだけ笑った。
「……ただいま、って感じw」
『なんで“ただいま”w?』
「陽子の顔見ると、帰ってきたなって思うから」
『なにそれw』
小さく息が漏れる。
コートを脱ぎ、椅子を引く。
「陽子、何飲む? 私、グランドスラムの気分」
『じゃあ……アラスカにしようかな。前に真希が飲んでた薄緑のやつ』
「度数高いよ?」
『真希におぶってもらうからいいw』
じんわり温かい。
まだ何も飲んでいないのに。
氷がグラスに落ちる音がした。
静かな空気の中で、小さく響いた。
読んでくださってありがとうございます。
陽子の世界はまだ静かなままですが、日々の中でほんの少しだけ
自分のリズムが揺れる瞬間が生まれています。
その微細な変化を、これからも淡く追っていけたらと思います。




