#10:午後のオートセーブ
瀬戸陽子の、静かな日常に少しだけ現実の重みが触れる頃の話です。
大きな出来事はありませんが、生活の中にわずかな厚みが積もっています。
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昼食をとったのが何時だったか、陽子はもう覚えていない。
コタツの端には、食べ終えたハム&チーズの容器が転がっている。
空腹は満たせたのに、どこか物足りない。
喉が少し乾いている気がして、陽子はゆっくり背伸びをした。
壁に届く光は、いつのまにかオレンジ色に濃くなっていた。
コタツの中だけが熱く、出ている肩は少し冷たい。
画面に目を戻すと、真希のアイコンが緑になっていた。
陽子は特に反応せず、開いたままのウィンドウにカーソルを戻した。
進行中のクエストは、午後のまどろみに溶けていく。
コタツの熱で少し眠気を感じながら、
陽子は鈍い頭のまま、また指を動かし始めた。
読んでくださってありがとうございます。
陽子の世界はまだ静かなままですが、外との接点がゆっくりと形を持ちはじめています。
その小さな揺れを、これからも淡く追っていけたらと思います。




