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??? 神野南那未

逢介が山野旅館に行ってから一か月が過ぎた。あれから逢介は冬弥君を意図的に避けてるみたい。きっとまた心霊スポットに連れていかれると思ってるのね。冬弥君はあれからますます心霊への興味をもっちゃったみたいで、色々調べてるみたいね。あの行動力と熱心さは逢介も見習ってほしいわね。

沙羅ちゃんはだいぶこっちの暮らしにも学校にも慣れてきたみたいで安心してる。あんなにいい子だもん、変な虫がつかないように気を付けないといけないのに、逢介ったらその辺は全然だめ。沙羅ちゃんが誰かの隣に立つようになったら後で後悔するのはあなたなのよ?



私は……私はあいかわらずね。逢介とは根っこのところでつながってるから逢介から離れる事はできないけど、いつもいつも声をかけてやれるわけじゃない。

今の私には、目いっぱい頑張っても一言二言伝えるので精一杯。そんな私はいわゆる幽霊っていう存在になるのかな?逢介と一緒に生まれたんだけど、私の方がほんのちょっとだけ早かったからお姉ちゃん。それは譲れないの。


本当はお母さんのお腹の中で天国に還っちゃう予定だったみたい。でも寂しがり屋の逢介が私の手を握って離さなかったから、無意識なんだろうけどそれが私の体に少しだけ生きる力をくれたみたいで、産まれるはずのなかった私は一応この世に産まれ落ちた。保育器の中で10日くらいの命だったけど、見るはずのなかった世界を見せてくれて、精一杯に私を生かそうとしてくれるお父さんとお母さんにも会えた。

貰えるはずもなかった名前だって貰えた。お母さんが急遽つけてくれた名前は、南那未。神野南那未、それが私の名前よ。私が私である証明みたいなものだし、とっても優しい顔で微笑みながらつけてくれたこの名前は何物にも替え難い私の大切な宝物なの。


だから私は逢介にとても、とても大きい借りがあるの。もちろん私がお姉ちゃんなんだから頼りない逢介をしっかりと見てあげないといけないんだけどね!


しかも逢介ったら私だけじゃなくて、たまたま近くにいた沙羅ちゃんの魂まで掴んで離さなかった。何か恨みの塊みたいなとっても恐ろしい物に取り込まれてしまいそうになってた沙羅ちゃんの手を握って……私も咄嗟に沙羅ちゃんを抱きかかえたわ。

とっても小さな、でもとても温かいもの……


本来産まれるはずじゃなかった私は少し特殊な扱いみたいで、死んじゃったあとも逢介から離れないでいる事が出来た。私は逢介の守護霊?みたいな存在になるつもりだったし、とてもはかない沙羅ちゃんの魂を恐ろしい奴に見つからないように隠したりしてた。


ある程度育って、沙羅ちゃんの魂が体に定着した頃、沙羅ちゃんは引っ越して行ってしまった。あの恐ろしい奴に喰われないようにするために……


だから今、沙羅ちゃんが元気にしているのを見て、私はとっても嬉しいわ。だって沙羅ちゃんも私の妹みたいなものですもの。


あ、逢介が起きそう。逢介は気付いていないし、たまにしか話すこともできないけどお姉ちゃんはいつでも一緒なんだからね!

読んでいただきありがとうございます。作品について何か思う事があったら、ぜひ教えてくれるとうれしいです。

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