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海の日

作者: しおん

僕の人生の中でいちばんきれいな日常でした。


ただそれだけです。



波間に反射する陽の光は彼女のためにあるものだとレンズ越しに感じていた。

恋は盲目。本当にそう思う。

呆れながら友達に言われたこの言葉がすごく誇らしかった。

それくらい彼女のことも、彼女を好きな自分も好きだった。


7月15日。

はしゃぐカップル、水着の女の子たち、チャラそうな男集団、映えに必死な女子高生。

そのすべてが視界に入らないくらいに彼女しか見えていなかった。

夕焼けが波に呑まれていく。

さっき来たばかりなのにな。あっという間に終わってしまう。こんな時間が一番嫌いだ。


白いワンピースではしゃぎまわる彼女がこの世で一番きれいだった。

1番近くいるはずなのに遠くに感じるようなそれくらい儚くて、また来年も来ようねって目線を外しながら頬を赤くしながらつぶやいた彼女をいとおしいと思った。

あの赤らみは日焼けじゃないことを知っている。

言った本人より言われた自分のほうが赤かったから。そんな僕を笑いながらぬるい塩水で、やわらかな手で、僕の頬を背伸びしながら包んでくれた。





7月15日。

元気? 毎年ここにきているよ。

もちろん1人で。人はまばらだけど今日も相変わらず周りの人はエキストラだよ。(笑)

クサイセリフだって笑ってるでしょ。いたずらっ子な顔してるでしょ。

君のことならわかるよ。ずっと近くで見てきたから。

ただね、あの日のようにまだ昼間と夕方には来れないみたい。

月明かりが反射して夜に包まれている中であの日の君を見ているよ。

あの日と違うしょっぱさが頬を包んでいく。


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