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アツいココロのナいボクら  作者: 東野 千介
第1章 鬼殺し誕生
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07 ずれ

その後しばらくあやは宗次を巻き込みながら熱王人と話をしていたが、宗次はあいかわらず言葉少なく冷静に受け答えするだけだったのでその様子は熱王人の仲間達のことをまるで心配していないようにみえた。


 そのためか熱王人は宗次の事を(いやなやつだ)と思うようになっていた。元々真面目くさった宗次に好感を抱いていなかったのもある。


 同じ防鬼庁の職員でもあやには少なからず熱王人の仲間達を心配する様子が見れたのでなおのことだ。


 宗次も好きで冷静な態度をとっているわけではなく、結界を維持するために心を平静に保つ事が必要でそれは仕方の無いことなのだが熱王人は説明されても納得できないらしい。


 客観的な事実よりも自分の感じた事が正しい事だと理解するような熱王人の様なタイプは、宗次が冷酷な性格で不良の自分たちを見下しているからそんな態度をとっているのだと思い込んでいる。


 (もし俺に鬼と戦う力があればこいつみたいに冷たくしないでもっと守るべきやつらに優しくしてやるぜ。戦いってのはただ戦って勝てばいいってものじゃないぜ)


 熱王人はヒーローにあこがれる少年達がいつもする妄想をいだく。自分がヒーローならもっとうまくやる。それは熱王人の様な年齢の者ならごく普通な事だ。むしろ、常に冷静に自分を抑えて、全体のために行動しようとする宗次の方がおかしいだろう。


 「あと、十分で四課が到着するって。よかったね」


 あやの言葉に熱王人は現実にもどる。どうやら筒井が援軍として要請していた四課から連絡があったらしい。


 「そうか。ありがとよ」


 熱王人はあやに素直にお礼を言う。あやは宗次と違って信じられる。熱王人はそう思っていた。


 「よかったな」


 宗次も声をかけるが熱王人にはその声に感情がこもっているように聞こえない。


 (こいつ!本当はどうでもいいと思っているくせに、言葉だけで言いやがって!お前みたいな優等生はいつもそうだ。周りの評価を得るために心にもない事を言ってるだけだろ!俺にはわかるんだよ)


 熱王人はそう思い宗次の言葉を無視するが、それは誤解だ。


 宗次は結界を維持するために心を平静に保っているので今は感情的な声を出せないだけだ。


 そして『評価を得るために行動する』は宗次から最も縁遠い行動なのだが、熱王人はそれを理解できない。熱王人自身は無意識かもしれないが、熱王人自身が実は周りの評価にかなりこだわる、承認欲求が強いタイプだからだ。


 しかし、このときのやり取りが宗次と熱王人の間に決定的な溝を作ったのは間違いなかった。


 もっともこの時に溝ができたと思っているのは熱王人だけで感情を殺している宗次にはそんなことは意識できていなかった。


 宗次は任務中に余計なことを考えない。筒井に与えられた役割をこなすことが最善だと理解しているからだ。


 外部を意識するわずかな感覚を残して後は結界の維持に専念する。


 そのわずかな感覚で会話をしているので、自分に向けられた熱王人の理不尽な憎悪を理解することが出来なかった。


 だが、そのわずかな感覚でも感じる事が出来ることがあった。


 ただの一般人である熱王人はもちろんのこと、戦闘班のあやが気づく前に宗次はある気配に気づいた。


 それは何度も感じたことがある感覚。


 人ではなく、しかし、人と同じ形をしたものたちから伝わってくる息遣い。


 人からは感じられない底知れない狂気を含んだ気配を持つもの。


 それが鬼だ。

次回は 08 鬼 です。

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