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アツいココロのナいボクら  作者: 東野 千介
第1章 鬼殺し誕生
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02 冬月宗次

 宗次は中学三年生の男子だ。性格は温厚で優しく、勉強もスポーツもよく出来て容姿は少し真面目そうだが清潔にされており、それなりに整っている。同級生、後輩、先生、男女問わず人当たりがよく好かれていると言ってよかった。


 むろん、みんなに人気があると言ってもありとあらゆる人から完全に好かれるということは普通の人間にはありえない。


 考え方や思想、信条やそれにともなう行動が異なっていれば人間は表面上は別として分かり合えあえない。


 もっと簡単に言えば単純に好みがあわないと言っていい。


 欠点のないように見える宗次もその例にもれず、あまり宗次の事を好きではない者たちもいる。


 宗次の考えがあまりにも現実的すぎるからだ。


 人は景気のいい理想論を語る者に惹かれるものだ。それが実現することが難しい事であっても『それは無理だ』という現実的な意見をはっきり言われるよりも『きっとできるさ』の理想論を聞く方が心地いい。


 理想論を語る者が勢いで突っ切っった結果、失敗してもなぜか「次があるさ」と許されるが、現実的な範囲で物事をこなす者が確実に成功してもあまり喜ばれない。


 現実的な事はできて当たり前だと思われるからだ。


 当たり前の事を当たり前に真面目にこなす。そのかわりできそうにない事を無責任に「できる!」とは言わない。一か八かの賭けはせずに次善の策を行う。


 『やってみなければわからない』そんなセリフは嫌いだった。


 失敗したときにこうむる被害の事を考えると『どうなるかわからない』ことには手を出さない。


 そんな宗次の発想には若さがない、完全に大人の発想だろう。


 中学生くらいではやはり大きな夢を語るくらいの方が人から受け入れられる。それが現実離れしている物ほど妙な期待を受ける。


 特に大人たちから不良と呼ばれるたぐいの学生にそういう者が多い。


 神崎熱王人(ねおと)もその中の一人だった。


 宗次は別に熱王人たちが嫌いではなかった。興味が無かったと言っていい。宗次から積極的にかかわることは無かったが、不良だからと言って敵視することはなかった。


 宗次が敵視しているのは鬼だけだ。


 だが、今は〔鬼殺し〕神崎熱王人にゆがんだ感情を抱いている。


 〔鬼殺し〕として前線で戦い、華やかな日の当たる場所にいる熱王人に対して地味な後方支援を行い、そのうえ批判の的にされられている日陰者の自分。


 普通の中学生なら不貞腐れたくもなるのも当然だろう。しかし、宗次はそんな自分を未熟者だと自省する。


 (自分の役割が防鬼庁にとって大事だってわかっているじゃないか。それなのに彼に嫉妬するなんて僕はダメな奴だ・・・)


 そう心の中で呟くように宗次は中学生でありながら防鬼庁の職員だったが、それは特別なことでなかった。


防鬼庁の職員はわけあって今は年少者が多い。


 年少者が多いと言っても〔鬼殺し〕神崎熱王人は宗次のようにはじめから防鬼庁に属していたわけではなく、ある事件をきっかけに防鬼庁にスカウトされたのだが。


 (あの日のことは今でもはっきり覚えている)


 宗次は神崎熱王人にはじめて会った日のことを思い出していた。


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しばらく連投していきますのでよろしくお願いいたします。

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