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アツいココロのナいボクら  作者: 東野 千介
第1章 鬼殺し誕生
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09 鬼殺し


 宗次は静かに熱王人が鬼に攻撃を受けたときのフォローに回れる位置に移動する。


 本来なら熱王人と鬼の接触を避けたかったが、今の自分との位置関係ではそれは不可能と判断したのだ。


 それならば無理に助けに行かずに、最善の事後策をとるだけだ。


 幸い結界内なので熱王人が鬼から攻撃を受けても身体的なダメージを受けることはないだろう。今できるのは熱王人が攻撃を受けて吹き飛ばされた場合にすぐに助けてかばえる位置に行くことだ。


 (この辺りか・・・)

 

 鬼と熱王人の位置関係から宗次は見当をつける。その見立てはかなり的確で、もし二課長の筒井が見たら(やはり結界班にしておくのはおしい)と思っただろう。


 宗次は熱王人の身の安全を守るために今できる最善の行動をしたはずだったが、宗次のその動きは熱王人から見たら鬼から宗次が距離を取って逃げたように見えた。


 (・・・あの野郎!マジでカスだな!鬼から逃げて何が退魔庁だよ!一人だけ逃げやがってそんなに自分の身がかわいいのかよ!ああいう奴がお役所仕事をしてるからいつまでたっても鬼を殺せないんだ!)


 熱王人は完全に誤解している。


 どんなに自分のために行動してくれていても受け取る側がひねくれていてはその好意は台無しになるといういい例だった。


 (こうなったら俺がやるしかねえ!)


 宗次の行動を誤解した熱王人は覚悟を決める。


 誤解とはいえ、熱王人に覚悟を決めさせる最後の一押しになったのが宗次の熱王人を守ろうとした行動だったのはこれから先の二人の関係性を考えると皮肉な結果だった。


 (何か、こいつを倒せる武器があれば…)


 無我夢中で念じる熱王人はその手に確かな重みを感じていた。


 「な、なんだこりゃあ!」


 熱王人の手にはどこから現れたのか紅い大刀が握られている。

 

 そうこうしているうちに向かってきた鬼に熱王人はその大刀を振り上げる。


 「お前らが兄貴たちをー!」


 そのあとの光景は今でも宗次の目に焼きついている。


 鬼が・・・真っ二つになった。


 これが『鬼殺し』の誕生の瞬間だった。

次回は 10 朝倉憲剛 です。

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