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手紙

クリスティーナが熱を出したらしい。


「早馬が間に合わなかったようで、申し訳ございません。」

侯爵夫人が深々と頭を下げる。

「お会いできないのはとても残念ですが、後日元気な姿をお見せください。」


屋敷に戻り、見舞いの手紙と花を送る手配をした。

クリスティーナ宛の手紙を使用人に渡し、ふと文箱を開いてみた。

クリスティーナが字を覚えはじめた頃から送られた手紙を一つ一つ、読み直してみる。


***


『カっか

  おげんきですか。わたしはげんきです。

  にわではポぴーのはながさきはじめました。

  きょうはおてがみのかきかたをならいました。

  ちゃんとかけていますか?

    くリスてィーナ』


『かっか

  きょうはおにいさまが、たくさんのおはなと

  おかしをかかえてかえってきました。

  ティーナあてにもらった、といっていたのに

  だれからもらったのかはおしえてくれませんでした。

  かっかはしっていますか?

    クリスティーナ』


『かっか

  とてもおいそがしくしているとききました。

  お父さまもいそがしくしていますが、

  ティーナのかおをみると元気になる、といいます。

  かっかも、ティーナのかおをみると元気になれますか?

    クリスティーナ』


『閣下

  たんじょう日にもらった本はとてもうれしかったです。宝物にします。

  私からも閣下にネモフィラのお花をおおくりしたいので、

  お母さまにししゅうを習いはじめました。

  上手にできたらプレゼントします。

    クリスティーナ』


『リチャード様

  これから、少しずつお茶会に行くことになりそうです。

  お母様から、傷あとのことで悪くいう人にどうしたら良いかを聞きました。

  リチャード様が、私が良いというのですって答えなさいと言われました。

  あっていますか?

    クリスティーナ』


『リチャード様

  今日は、お母様の親戚の方とお茶会をしました。

  エリザベスという従姉妹も一緒です。

  エリザベスは、リチャード様のことをろりこん?と言いました。

  なんだかいやな気持ちになりました。

    クリスティーナ』


『リチャード様

  エリザベスが、泣きながら謝りに来ました。

  よくわかりませんでしたが、リチャード様のことを悪くいうのはやめて、

  とお願いをしました。

  来月のお誕生日には、イニシャル入りのハンカチをお贈りします。

  リチャード様が欲しい、と言いましたが、まだ上手ではありません。

  本当に他のものでなくても良いのでしょうか?

    クリスティーナ』


『リチャード様

  お父様とお母様、お兄様は国王陛下の戴冠式に参加しました。

  お兄様から、リチャード様はとても凛々しいお姿だったと聞きました。

  本当なら、リチャード様のお隣に私も立つはずだった、

  と侍女が話していました。

  ご一緒できなくて、ごめんなさい。


  本当に、ごめんなさい。

    クリスティーナ』


『リチャード様

  そのままで良い、と言ってくださるのは嬉しいです。

  でも、このままではダメだ、と思います。

  私も、ちゃんと、リチャード様の隣に立っていたいです。

  応援してくれますか?

    クリスティーナ』


***


クリスティーナに、会いたい。

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