幸福に対しての無知
「ごはんはなぜご飯何だろうね」
「なぜ食べなくては死んでしまうんだろう」
「なぜ歩くと疲れるんだろうか」
「わからないなぁ」
「君はわかる?」
「わからないかー」
「だいぶ歩いたし、ご飯を食べようか」
「・・・・うん、おいしくないね」
「おいしくないって何だろうね、不思議だね」
「そろそろ寝ようか」
「ここは周りに何もないから、夜空がよく見えるね」
「たくさんの星があるね」
「星って何だろうね」
「光っている何かがたくさん浮いてるのかな」
「一度近くで見てみたいな、落ちてこないかな・・・・」
「なぜ朝になると見えなくなるんだろう」
「太陽が星よりも明るいからかな」
「でも、少しも見えないのはおかしいよね、不思議だね」
「あぁ、つまらないな、何もない、何も見つからない」
「君は、何か気になることあった?」
「・・・・ないよね」
「今の、すごい音だったね」
「あっちに何か落ちてきたみたい」
「行ってみようか、星だと良いな」
「なんだ、いつもの石ころだったね」
「この石ころは何なんだろうね空から落ちてくるけど」
「星と同じようなもので、光っていないだけなのかな」
「もしかしたら、時間がたって光らなくなっちゃった星なのかもね」
「だとしたら、この石ころも少し前までお空で光っていたのかな」
「・・・・一応、拾っておこうか」
「ここは、海だね」
「前に見た海と少し違うね」
「海の向こうは何があるんだろう」
「そうかな、僕はいろいろあると思うよ、僕たちが今まで通ってきたところより」
「そっちの方が・・・・よくない?」
「あぁ、疲れてしまったな」
「あれ、なんで僕たちは歩いているんだっけ」
「なんでだろう、覚えていない?」
「・・・・・あぁそうだ、僕たちは、幸せを探しに来たんだった」
「目的を忘れたまま、ずいぶんと歩いてきちゃった」
「幸せって、なんだろうね」
「君はどう思う?」
「わからないよね、不思議だね」
「なぜ、生きているんだっけ」
「たしか、生き物は生まれるから生きているんだよね」
「僕も前に生まれたはずだよね」
「でも、なぜ生まれて、今生きているんだろう」
「全くわからないや」
「わからない、わからない、わからない」
「疲れているのになぜ歩くの?なぜ生きているの?海とは何?ここは何?幸せは?僕は誰?君は誰?おかしい、おかしい、全部おかしい、なぜこんなにもつらいんだ?なぜつらいのに歩かなくてはいけない?」
「ねぇ、教えてよ君は考えたことないの?なんで生きているか、なんで歩かなくてはいけないのか」
「君は、なぜ知らないの?なぜ答えてくれないの?」
「あぁ、狂うしいほどに不思議だ」
「あぁそうだ、疲れたら、休まなくてはいけないんだ、忘れていたよ」
「僕は一度休むね」
「じゃあ、また次の時しゃべろうね」
「これは何だろう」
「これはご飯だよ。」
「これがご飯?不思議だね」
「不思議?なにがさ。」
「だって、こんなご飯見たことないよ」
「いままでどんなものを食べてきたんだ、君は。」
「これを食べるの?」
「そうだよ。」
「おいしい・・・・おいしいって何?」
「おいしいっていうのは・・・うーん、難しことを聞いてくるね・・・・少し待って、考えてみるよ。」
「人によっては、それが幸せかもしれないし、人によっては辛いことなのかもしれない、そういうものじゃないかな。」
「そうなの?」
「絶対これ、といったものがないからね、人によって違うって意味だよ。」
「そうなんだ、あなたはいろいろなことを知っているね」
「いやいや、何も知らないただの迷い人だよ。」
「でも僕に比べたらたくさん知ってると思う、そういう人と出会ったら聞きたいことがあったんだ」
「なんだい?私なりの答えならいくらでも出してあげるよ。」
「幸せってなに?どこにあるの?」
「とても、難しい質問だね。」
「わかる?」
「うーん、幸せっていうのは・・・・わからないな。」
「そっか」
「わからないけど、幸せも人によって違うんじゃないかな。」
「おいしい、みたいに?」
「そう、私にとっての幸福は、君みたいな子供が笑っているのを見ることかな。」
「そうなんだ」
「君は一度も笑ってくれないね。」
「笑うって何?」
「うーん、幸せになったとき、自然とする表情かな。」
「そっか・・・・つまり、あなたは子供に幸せになってほしいってこと?」
「そうなるのかな。」
「ご飯はおいしいかい?」
「おいしいよ」
「そうかい、ならよかったよ。」
「それで、幸せはわかったかい?」
「まだわからないよ、でも、今日聞いた人は、遊ぶことが幸せだって言ってたよ」
「そうか、どうおもう?」
「わからない、でも、その人は、「幸せそう」だったよ」
「そうか。」
「わかったかもしれない。」
「え?」
「幸せが」
「そうか!すごいな、なんなんだ?」
「あ、いや、幸せについてわかったわけじゃないんだ、僕にとっての幸せが、わかったかもしれない。」「そうかそうか、教えてくれ、それを。」
「こうやって、いろんな人に幸せについて聞いて、夜ご飯を食べながらあなたと話している時、僕は幸せなのかもしれない。」
「そうか・・・・うれしいこと言ってくれるなぁお前ってやつは。」
「そうかな?なんだかありがとう。」
「泣かせるんじゃないよこのやろう・・・・」
「それは、幸せな時に出る涙?」
「そうだよ、この前の女の人が言ってたやつだよ。」
「そうなんだ・・・・僕は、「嬉しい」のかな」
「あぁそうかい、よかったよ」
「僕は幸せがわからない」
「誰か、教えてください」
あぁ、狂うしいほどに不思議だ
私は幸せとは欲望を満たすことだと思います