0ーα話 結華の気持ち 〜side結華〜
プロローグの最終話です。
私が、好きな人____藤里響君に出会ったのは今からもう6年も前、中学2年生の時だ。
好きになった理由なんてもう憶えていないが、どんな出会いだったかは憶えている。
葵と馬が合って親友だった私に幼馴染だと恭哉君と一緒に紹介された。あの時は少し印象が薄かった。
その日から昼休みに4人で話したりする機会が多く、私は徐々に響君に惹かれていった。
葵にどうしたらもっと仲良くなれるか相談した時は「結華にも春が来たのね〜」とニヤニヤされながら揶揄われた。
話したりすることは多かったが、自分の気持ちは全く伝えられなかった。私はとんでもなくヘタレでどうしようもないくらいチキンだった。
気づけば初めて会ってから3年経っており、高校2年生になっていた。
そんな時だった。あの事故が起こったのは。私は響君に助けられたから無事だったが、響君は意識不明の重体だった。
私は罪悪感から毎週お見舞いに行った。響君の弟妹達には感謝された。責められてもおかしくなかったのに、誰にも責められなかった。
さらに3年経った今日、響君が目を覚ました。葵から連絡があった時はすぐにでも響君の元に行きたかった。
講義が終わって大学を出ると、仕事を終えたらしい朱里ちゃんが迎えに来ており、恭哉君、葵と合流して向かった。
向かう途中葵達から、働き過ぎていた響君にゲームをさせようと考えているが一緒にやってくれないかと言われた。もちろん私は二つ返事で了承した。
響君の部屋に行くと、本当に起きていた。でも下半身は動かなくなり、体力もかなり落ちたらしい。
私のせいなのに響君は責めるどころかお見舞いに来たことを感謝してくれた。響君は優しかった。
その後少し話してゲームの話になり、恭哉君と葵がパッケージを取りに戻っている間、連絡先を渡し、準備が出来たら、響君の連絡先をもらえることになった。さらに名字呼びも名前呼びに変えてもらった。やった。とても嬉しい。
今夜からゲーム____WFOをやろうと言う話になったので、響君の家を出てから、家路を急ぎ、手早く夕ご飯とお風呂を済ませた。
お風呂から上がってすぐに携帯電話にメールが2本来た。
1つは葵からで、『響と話せて良かったね』『WFO楽しんでね』『響はニブイからファイト!』と言う内容だった。
もう1つは響君からで、『改めてよろしく』と言うことと、機器の準備が出来たから連絡先を送るというものだった。
前者はありがたかったし、後者は嬉しすぎてベッドの上で悶えまくった(そしたら妹の咲良に静かにしてと言われた)。
早く一緒にWFOをプレイしたい。そう気が逸ってしまい、FDMを起動させて仮想空間へ意識を飛ばした。
裏設定:
その3
結華さんの妹の咲良ちゃんはツンデレなお姉ちゃん大好きっ子です。
その4
読んで気付いた方もいるかもしれませんが、結華さんは口に出す時と、心の中で考えている時は口調が変わります。
その5
実は一瀬家はお金持ちです。ですから結華さんはお嬢様でもあります。知っているのは葵だけです。
次回からゲームスタートです。