0ー3話 大人気なVRMMORPGを一瀬さんと一緒に?
「ゲーム?リハビリじゃなくて?」
「あぁ。だってお前リハビリとか始めたら、絶対に無茶しようとするだろ?」
否定できない。でもなんでゲームなんだ?他にもデスクワークとかあるだろうに………
「………とか考えているだろうからな。だから最新のゲームをさせて、ガス抜きさせようってこと」
考えていることが完全に読まれていた。伊達に幼馴染ではないな。
「んでどんなヤツなんだ?」
「よく聞いてくれた。お前にやらせようと思ってるゲームはな、人気フルダイブ型VRMMORPGのWolgade Fradm Onlineだ。発売からまだ2週間だが、もう第7ロットまで予約待ちらしいぜ」
フルダイブ型VRMMORPGは俺が事故に遭う前からあったが、発売2週間でそこまで予約待ちになっているのは最初期以外聞いたことがない。
だが、本当そこまで人気ならやってはみたいが………
「そこまで人気なら、少なくとも俺がプレイできるようになるのは第8ロットが出てからじゃないか?」
こう考えるのは当たり前だろう。だが、恭哉と葵がフフフと笑っていた。なぜ葵も?
「そんな響に朗報だ。俺ら2人はな、偶然WFO…あ、WFOってのはWolgade Fradm Onlineの略な。そんでβテストのテスターになれてな」
「だからね、2人共初期ロット2本ずつもらってね、まだ誰にも譲ってないから2本共残っているの」
俺は唖然とした。βテストは全世界で100〜1000人しかできない事前プレイだったはずだ。それに2人共当選するのはかなり低い確率だ。奇跡とも言える。
「だから1つは響に譲ろうと思うんだが、お前あんまゲームしたことないだろ?」
「あぁ。バイトで忙しかったからな」
「初心者同然のヤツにこのゲームでソロは厳しい。だからと言って俺らと組んでもパワーレベリングになってつまらないだろう」
まぁそうだな。確かに俺は初心者に限りなく近いし、折角やれるんだったら、出来るだけ自力でやりたい。
「そこでね、もう1つは、フルダイブ型VR慣れしている結華に渡して、2人でプレイしてもらおうって話になったの」
え?一瀬さんがフルダイブ型VR慣れしている?なんで?
「私が慣れているのは、カウンセリングの講義で使うことが多かったからで………」
なるほど。医学を学ぶ上でカウンセリングも学ぶからか。
「でも、一瀬さんはそれでもいいの?」
「はい。私もそのゲームは気になっていたので大丈夫です。…………むしろ役得というかなんというか…………」
大丈夫ならよかった。後半なんて言ってたかは聞き取れなかったけど。
「んじゃあ決まりだな。2人共ちょっと待っててくれ」
そう言うと、恭哉と葵が徒歩1分もかからないそれぞれの家にパッケージを取りに行った。
「あの、響君、これ私の連絡先です。響君のは機器が準備出来たら、連絡してください」
一瀬さんはそう言ってメモを渡してきた。一緒にプレイするのだから連絡できた方がいいのは明白だ。
「わかった。ありがとう一瀬さん」
「……………です」
「え?」
「私の名前は結華です。名前で呼んでください。名字呼びは少し堅苦しいですし、あと、さん付けもやめてください」
すごい迫力だった。そんなに堅苦しかったかな。
「わ、わかったよ。ゆ、結華」
「はい!それでいいです」
それから少しして恭哉と葵が戻ってきて、パッケージと俺は恭哉の予備のフルダイブマシンをもらった。
その後3人は帰り、夕ご飯の時間になった。昼は仄香が食べさせてくれたが、今回は朱里に食べさせてもらった。その後仄香に身体を拭いてもらった。この身体じゃ風呂に入れないからな。
その間に俊介がFDM(フルダイブマシンの略)の設定をしてくれていたらしい。
今夜からやってみると言っておいたので、早めに始めて、キャラメイクを終わらせておこう。
ゲームスタートだ。
閑話挟んでゲームスタートです。
閑話は響君以外の誰かの視点です。