1ー17話 モンスター暴走族との戦い
ランページベアから[ファヴニル]までをお届けします。全4話の予定です。
PKが撥ねられ逝ったのは僥倖だが、敵は30体以上いる。しかもランページベアによってMoBも強化されている。
フォレストウルフを例にとると普通は、
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フォレストウルフ Lv.5〜10
状態:臨戦
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なのだが、今は、
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スタンピードウルフ Lv.13〜20
状態:暴走、狂化
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となっている。種族名を変えてしまう程影響力が強いようだ。
俺が使えるアーツは[刀]は全部、[太刀]は《渦潮》、[口伝ノ太刀]は《流渦》までだ。[格闘]は対群れには使いづらいので論外。しかも中級、上級スキルのアーツは下位アーツを使ってないと使えないので実質[刀]のアーツしか使えない。
リディアはブレスがあるから暴走MoBを相手させるとして、フルールと天兎は後衛だから、俺が防ぎつつ、地道に削る方がいいか………
「お兄ちゃんはランページベアの相手して!私なら接近戦できるから私達で暴走MoBを相手するよ!」
「こっちにはフェノンもいるから大丈夫!行って禍月君!」
……………なら、俺がランページベアを倒さないとな。2人のためにもあまり時間はかけられない。リディアのあのスキルなら……
「リディア![竜刻界]を使え!そしてフルール達を援護だ!」
「キュア!キュゥゥゥゥゥゥアァ‼︎」
Lv.の低い[竜刻界]じゃ、あまり相手の時間を遅らせることはできないが、多少はましなはずだ。
そして俺は[挑発]でランページベアを[竜刻界]の範囲ギリギリまで引き離す。
俺はランページベアと1対1で対峙する。全長5mの大きい熊だが、大きい分躱されにくいし、動作も大きくなるだろう。なら、充分勝ち目はある。
まず、《紫電》で抜刀しながら斬り裂き距離をつめ、威力の高い大技封じの《止水》、技後硬直時間に攻められぬよう《草薙》を放ち牽制しながら後ろに下がる。
連続でアーツを繋げたことで技後硬直が長くなってしまい、そこを狙ってランページベアが攻撃を仕掛けてくるが、丁度いいタイミングで暴走MoBが飛んできてぶつかり、攻撃がキャンセルされる。
飛んできた方向を見るとリディアが尻尾で飛ばしたようだ。
キャンセルによって生じた隙にSTRとAGIを[付与魔法]でブーストする。
暴走MoBの激突も含めて与えたダメージは2本あるHPバーの1本目の4割半だ。低級スキルの[刀]のアーツであるとはいえ、俺のATKは高めなのだから相当タフなようだ。
「これは燃えてくるな………。リディア、[竜刻界]解除。ブレスを使って暴走MoBを掃討してくれ」
「キュイ!」
[竜刻界]を解除したことで、ランページベアが少し躓いた。できた隙に《一閃》を決める。
時間が元に戻ったことで攻撃間隔が短くなってしまったが、暴走MoBを相手にしなくていいから問題はない。2人と2匹が上手に相手どっているのだろう。
《石砕》で距離を一気に詰めて突き、迫りくる攻撃は《流水》でいなす。溜め攻撃の直前に納刀し、カウンターで《明星》の斜め十字を叩き込み、隙だらけの胴体に《轟雷》の一撃を入れる。
今のでHPバーの2本目も半分まで削ったが、ここでまた長い技後硬直時間が入る。さっきよりも長く、そこに連撃を喰らってしまう。
3割程HPが減ってしまったが、[還刃障壁]で相手のHPバーはさらに2割減る。
あと3割なら多分奥義アーツで止めを刺さるだろう。攻撃を避けながら、初級治癒ポーション3本でHPを全快させる。
そしてこちらの間合まで近付き、《奥義・枯燕》を発動させる。抜刀しながら三連撃、刺突のように三連撃、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉお‼︎」
最後に渾身の袈裟斬りを叩き込んだ。《奥義・枯燕》は完全な形でランページベアに決まり、のこっていたHP全てを吹き飛ばした。
禍月君の中の戦闘狂が少し出てきてしまいましたね。
これで《砂塵》以外の[刀]アーツは出たかな。アーツまとめだけでなく、マジックやスキルまとめも近々設定集に公開予定です。