1ー8話 合流と就職
メールの差出人は結華だった。
『チュートリアルは終わりましたか?私は今[スターテア]の中央噴水広場付近にいます。終わっているのでしたら、広場近くの美味しい串焼肉の露店で合流しませんか?ちなみに私のPNはフルールです』
へぇ、結華のPNはWorldMessageのフルールだったのか。広場近くの美味しい串焼肉の露店って言ったらさっきの露店かな。返信しとかないと。
『チュートリアルは終わっているから、露店で合流だね。俺のPNは禍月だから』
リディアを抱えて宿屋を出る。露店に着くと、獣と一緒に串焼肉を食べている結華に似た海人族の女性がいた。あれがフルールかな。
「すいません。あなたがフルールですか?」
「あ、はい。そうです。ドラゴン?と言うことは禍月君ですか?」
「あぁ、そうだよ。ってかフルール、敬語使わなくていいよ」
「そう?いいの?」
首を傾げるフルール。現実の結華みたいに可愛い。結華なんだけどね。こっちから言ったことなので もちろん と頷く。
「わかったよ。それでね、聞きたいことがあるの」
「何?」
それからチュートリアル後のことについて話した。フルールは〜緊急クエスト〜慈愛の試練を受けて、見事クリアしたという。フルールは初期武器は笛の魔法使いタイプだったし、水中戦だったのでなんとか勝てたらしい。
連れていた獣はラヴィーナカーバンクルという額や爪にクリスタルが生えている生き物で、名前は、フェノンというらしい。
いろいろ話した後、ジョブに就くことにして、ギルドに向かった。このLvで無職ってのもおかしい感じだしね。
ジョブに就く前にギルドメンバーにもなった。メンバーになるとギルドクエストを受けれるようになるからだ。
露店のおっちゃん曰く、店や衛兵でもしない限り街の人にはギルドクエストが一番Pを稼げるらしい。
他にもクランというパーティではない、プレイヤーの集まりを結成したり、加入できるようになるらしい。
ランク制らしく、一番上はS、一番下はFだった。クリアしたクエストの難易度や数によって昇格するらしい。態度によっては降格もあるそうだ。
Fランクのギルドメンバーになった後、それぞれに分かれてジョブに就くことにした。ジョブにもランクがあるらしく、下から初級、低級、下級、中級、上級、高級、超級の7つ。俺のLvは35なので、下級まで行くだろうということ。
初級は、剣士、闘士、戦士、斥候があった。スタイル的にすぐ剣士を取った。すると、低級の選択肢が現れた。
低級は、侍、剣闘士、剣客があった。完全に和風なのは侍なので侍にした。下級の選択肢も出る。
下級は、武士、武者、浪人があった。浪人は嫌だし、武士は固いので、武者にした。また選択肢が出てくる。
……………あれ?下級までだったんじゃ?
中級の選択肢は刀覡と刃童子があった。刃童子はなんか違ったので刀覡にした。さすがにもう選択肢は出なかった。出なかったのだが………
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WorldMessage
ーープレイヤー・禍月及びフルールが中級ジョブ及び特殊ジョブに就きました。これにより[中級ジョブの先駆者][特殊ジョブの先駆者]が与えられますーー
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代わりにWorldMessageが出た。もしかしなくともこれはまたやってしまった?
ギルドのホールに戻ってフルールと合流すると、フルールも俺と同じようにウンザリしたような顔をしていた。クラスのアイドルだったフルールもこんな顔するんだな。
「また………か……」
「本当また……だね………」
2人で従魔を抱え、ギルドを出る。足取りが重い。串焼肉の露店で、また串焼肉を食べようと露店方面へ足を運んでいると、
「あなた達、禍月とフルールよね」
現実から完全にイジりまくったアバターの女性プレイヤーに呼び止められた。
「私は生産職のクリメア。あなた達に提案があるの」
結華さんも相当やらかしてしまったようですね。
アイテムを絞り取ろうとするクリメアさん登場です。