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87話: 人は見かけによらないことと、細井はいじってもあんまり面白くない

やぁっと2巻の作業終わりました。

またTwitterで告知とかしますね!


追記。19に投稿するとか言って出来てませんでした!

ごめんなさい!m(_ _)m

 結局、俺、チーナ、細井、宮本、平手の五人で、近くのハンバーガーショップで話すことに。

 総司はいつの間にか消えていた。


 レジで注文を済ませてから、他の客に話が聞こえないよう隅のボックス席を選び、腰掛ける。


「なんで俺誕生日席?」


 四人席であぶれた細井慎二は、通路に少しはみ出して誕生日席へ。

 ちなみにもちろん誕生日ではない。


「よかったじゃん。誕生日でもないのに祝ってもらえてさ。おめでとう」

「おめでとう慎二くん」

「おめでとう」

「おめでとう」


 パチパチパチパチ。


「お前らいい加減怒られるぞ」


 とりあえず安定の細井いじり。

 うん。あんまり面白くないな。


 そんな事をしていると早くも注文したメニューが運ばれてきたので、各々いただきますと手を合わせ、しばらくもぐもぐして落ち着いたところで、俺はそろそろだろうと平手に話しかけた。


「それで、詩織について話ってなんだ? 正直、もうあいつとは極力関わりたくないんだけど……」


 面倒そうな表情を添えて。


 まあ口では関わりたくないと言ったものの、正直本当に0に出来るとは思っていない。


 結局のところ、唯一血を分けた姉弟ではあるのだからな。


 ただし、今回の相手は詩織と同じララバイのメンバー。

 以前会った時のこともあり、俺にはあまりいい印象がない。

 どうせ「詩織にひどいことしないで」とか「詩織がかわいそう」とか無意味な論争を仕掛けてくるに違いない。

 ともすれば、「あいつ目障りだから、早く引退に追い込んじゃってよ」とか……、


「うん、話は大体把握してる。おとう……伊織くんの境遇もわかってるつもり」


 ……ん?


 だが返答は、思っていたものとは違っていた。


「審判の結果が出た後、メンバーみんなで詩織に問い詰めたんだ。本当は何があったのか。だっておかしいじゃん。それまで聞いてたのは、伊織くんの素行がどんなに悪いかって話ばっかりだったから……。プライベートな内容を勝手に詮索しちゃってごめんね」


 なんと、どうやら本当に事態を把握していたらしい。

 どこまであいつが自白したかは分からないが、少なくとも詩織が黒なのは理解してるってことか。


「それなら尚更、俺に何の用があるんだ?」

「あの、一つお願いがあるんだけど。伊織くんが持ってる“詩織の黒い情報”。できるだけ、使わないでもらえないかな……って」


 そう言ってなんと彼女は、両手を合わせて俺に頭を下げてきた。


「なんでだ? 詩織の暗黒面を知ったなら、庇う気持ちもなくなるだろ?」

「知ったと言っても、話に聞いただけで、私はまだ詩織の外面しか見たことないから……結局甘い認識をしてるんだと思う。でもこれだけは分かる。詩織は今、アイドルって夢だけを心の支えにしてる。これ以上追いこんじゃったらどうなるか……。それに、今シオンがいなくなったらララバイの皆が困るの。だからお願い! 私から頼むのも、変な話だとは思うけど……」


 そして今度は両手を膝に置いて、更に頭を下げてくる。

 その姿からは、偽りの様子は微塵も見えない。


 正直、意外だ。

 俺は詩織のせいで、アイドルは皆腹黒いという先入観を持ってしまっていたのだろう。



 ……というのもあるが、それ以前に、



「平手、お前……」

「え、何?」

「見た目の割に、めちゃくちゃしっかりしてんだな……」

「えぇ!? そこ!?」


 見た目とのギャップが、半端ねぇ。


 中学生くらいの年齢に見える彼女が、こんな手回しが出来るとは...…。

 さっきまでお兄ちゃんお兄ちゃん言ってた姿からは想像できない。


 細井も俺に同意するようにうんうんと頷いた。


「俺も意外だったぞ。童顔の女子って、普通に行動も幼いもんだと思ってた」

「慎二くんそれはどういう意味かな!? 何か前例がありそうな言い方なんだけど!?」


 なんか横で真正ロリが騒いでいるが、確かに細井の言う通りだ。


「うぅ、やめてよそういうの……。ほんとは私だって、幼いキャラ演じるのは嫌なんだから……」

「「「「え、なんて!?」」」」

「お兄ちゃんなんて本当は叫びたくないんだよ、ほんと。アイドルになりたくて仕方なく武器にしてるだけで……。さっきクラスでコールやってた時も、心の中で泣いてたんだから」


 それを聞いた一同、唖然。


 え、まじでか。てっきり進んでやってるのかと思ったぞ。

 アイドルの演技力やばいな!


「それに、学校に私より幼い子がいるって分かったら、余計にやりづらいよ……」


 弱々しい声を出しながら、平手はちらりと宮本を見やる。

 視線を受信したみやもっさん。そんな彼女の気の利いた発言がこちら。


「そうだよね。もう二つも歳下の一年生が入ってくるんだもんね。わかる」


 …………。


「いや、あなたの事なんだけど」

「またまた~。私もちっちゃくみられたりするけど、ナオちゃんとなら同じくらいだよ。ねえ慎二くん?」

「全然違う。合法と違法くらい違う」

「(・ω・)?」




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



『意外だったな。アイドルって、皆詩織みたいなやばい奴ばかりだと思ってた』

『それは流石に偏見だと思うけど……』


 現役アイドル”ナオ”こと平手奈緒美との昼食を終えた後、俺とチーナは帰りのバスに乗っていた。

 平日昼過ぎのこの時間だとさすがに乗客は少なく、俺たちは最後列の広い席でゆったりとくつろぐことができた。


『にしても、本当に驚いたな』


 "詩織をこれ以上追い込まないで欲しい" と頼んできた平手を思い出しながら、俺は呟く。

 結局その頼みに対しては、


「詩織が何もしないうちは、俺も何もしない」


 とだけ答えておいた。

 実際そのつもりだし、こう言っておけば平手も詩織の行動を気にしてくれるだろう。


『平手もそうだけど、アイドルって、皆頑張ってるんだなぁ』


 俺はまたぽつりと漏らす。

 なりたくもない妹になったり、チームのために動いたり。


 そんな俺の呟きを聞いたチーナは、なぜか少し不機嫌そうに口を開いた。


『ヨリ、随分平手さんの事ほめるんだね』

『ん? そうか?』

『平手さん可愛いし、しっかりしてるもんね。男の子って、やっぱりギャップに惹かれるってことかな』


 そう言って、プイっと窓の外に顔を向ける。


 あれ。

 チーナさん、もしかして……、


『嫉妬?』

『……してない』


 あ。やばいこれ、してるやつだ!


『いや違うから! 普通に人としてすごいなって思っただけで!』


 ぶんぶんぶんぶん!

 俺はあたふたしながら慌てて弁解を始める。


 え、俺そんなに平手が気になってるように見えた!?

 これが女心ってやつなのか!? 難しい!


『じゃあヨリ、一つだけ言っていい?』

『は、はい』


 頬を膨らませてこっちに向き直るチーナは、明らかに怒ったような声。


 どうしよう、どうしたら機嫌直してくれるんだ?

 ケーキか? やっぱりケーキか?


『やーい、だまされた』


 …………。


『別にこのくらいで怒ったりしないよ』

『ふむ……』



 なるほど、つまりいつものイタズラだったと……。



『そんな悪さをするのはこの口かあ!』

『やめれ……、ほっぺひっはらないれ……』


宜しければ、ブックマークや評価☆をお願いいたします!


しっかりしてる方のロリ 「平手 奈緒美」 参戦!


今回ちょっと読みにくかったかもです。すみません。

時話はほぼ書き上がってるので、近いうちに。


時話予告!

「おい磯野!バンドしようぜ!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 芸能事務所の意向なんでしょうけどナオの二面性にリアリティーを感じました。キャラの差別化でファン層を広げる作戦でしょう。 [気になる点] ナオがあだ名ということはシオンは詩織の芸名じゃなくあ…
[一言] アイドルって地味に大変だなー あの元姉何これからもしないことを祈る。
[一言] 時話予告・・・ じわ? ジワーーーー
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