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こんなメロスは嫌だ
メロスは安堵した。かの邪智暴虐の王が死んだからである。セリヌンティウスを救うために走っていたメロスだったが山賊たちから王の死の知らせを聞いたため走るのをやめた。暴君ディオニスは老衰で死んだらしい。メロスはそのまま妹のいる村まで帰った。
一方その頃セリヌンティウスは、牢屋にいた。王が死んだ混乱によりセリヌンティウスの対処がわからなかった兵士たちはとりあえず彼を牢屋に入れたのだ。
「今日で3日目、本来なら私はあと数時間の命だったが暴君が死んだ今私はどうなるであろうか」セリヌンティウスはとても不安だった。最初はメロスを信じていたセリヌンティウスだったがもう信じていない。幼い頃から忘れっぽいメロスのことだからもはや約束を忘れていると思ったからだ。実際、今まで約束しても1回も守られたことがなかったのだ。私はそれでも毎回毎回メロスを信じているというのに。