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里帰りした猫又は錬金術師の弟子になる。  作者: 音喜多子平
第二章 岩馬
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訓練場


「…三カ月かけて教えようとしてたことが一日で終わっちまった」

「すごく楽しいですね」


 玄さんの率直な感想に僕は素直に頷いた。


 そして後片付けの最中、僕は一つの質問をする。


「ところで一つ質問なんですが」

「うん?」

「今やってたことは金属でも同じようにできることなんですか?」

「基本的には、な。けれど勿論、金属によって性格は微妙に変わる。だから鉄を加工するのが得意な奴もいれば、鉛を加工する方が楽という奴もいる。あと、当然だが同じ金属でも質量が変わればそれだけ多くのエルガンが必要にもなる」

「じゃあ金属ごとに練習すればいいわけですね」

「そういうこったな」

「他の金物はあるのですか?」

「『思弁の部屋』に一通りの金属は揃っているよ」


 片付けと言っても所詮は金属の玉をしまって机をどかす程度の事だったので一瞬で終わってしまった。


 それでもずっと座りっぱなしで固まっていた体を伸ばせただけで、大分体が軽くなった気がした。


「さて、それなら一旦休憩して、体術の訓練に入りたいが・・・・大丈夫か?」

「僕は問題ありません」

「私も朱と変わってきます」

「普通は錬成疲れが起こるもんなんだけどな…」


 自分で言うのもなんだが、円さんの数々の反応を見るに出来は良いようだったので少し調子づいてしまう。なんであれ褒められたり感心されたりすれば喜ぶのは当然だ。それが自分の分野であればなおさらの事だろう。


 けど一つ気になったこともある。


 僕自身はかなり楽しんで冶金術を習えたと思っているのだが、玄さんの様子がどことなく可笑しかったように思えてならない。楽しんでいたとは思うのだが、何故か鬼気迫る気迫を秘めていたと感じていた。


「すまん。待たせた」


 やがて着替え終わった朱さんが戻ってきた。朱さんからも、やはりただならぬ気迫を感じたのだが、思えばそれはいつも通りの事だった。



「じゃあ、始めるか」


 その一言で僕らは道場の真ん中に集まった。が、具体的にどうするかは決めていなかったようで、変な間が空いてしまっていた。


 円さんは頭を掻きながら一つ息を吐く。


「とは言ったものの、どうするかな…実際問題、この前見たのが初めての実戦だったからな」


 そう言って一つの結論を出す。


「やっぱり、一度手合わせするのが手っ取り早いか」

「うむ。こちらとしてもそれが嬉しい」


 意気揚々とした朱さんの返事が耳に届いた。座学の時とは打って変わって、ねこじゃらしを前にした猫のように目が爛々としている。


「僕は手拭いを被っても?」

「当たり前だろ。全力を見せてもらわにゃ困る」

「わかりました」

「ところで、朱の得物はどうする? 剣か? 流石にそれは木刀を使ってもらうが」

「うむ。剣術ももちろん心得てはいるのだが・・・一番の得手と聞かれば、やはり長柄(ちょうへい)だな」

「チョウヘイ?」

「槍や薙刀のような柄の長い武器のことだ」

「なら六尺棒でいいか? 刃は付けられんからな」

「もちろんだ」


 そう言って壁のラックに無造作に刺さっていた木刀や棒の中から手に馴染むモノを見繕っていた。僕も何か武器を使うかと尋ねられたが、猫の武器は爪と牙だと相場が決まっているので、丁重に断りを入れた。


 そしていよいよ、全員の支度が整った。


読んでいただきありがとうございます。


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