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着替え

 朝食を終え、食後のお茶を啜ってる間に陽菜埜が食器を手早く片付けていた。

 手伝おうにも要領が分からないため呆然と眺めていたが、その無駄の無い動きに関心していた。


(これからどうするか?)


 腕を組みながら考えてると、エプロン姿の陽菜埜がタオルで手を拭いながらやってきた。


「それじゃ、用意して行こうか」


「行くって何処にだ?」


「学校だよ」


「はぁ?」


 蒼司朗にとってはその選択肢は無かった。学校など自分にとっては過去の遺物でしかなく、物語の中の、それこそフィクションの中の話だった。


「何?乗り気じゃないの?」


「いや。学校なんて行ったことないし、勝手が分からないぞ」


「大丈夫。私がフォローするから。まずは制服に着替えましょう。なんだったら私が着替えを手伝ってあげるわよ」


「遠慮しとくよ。どれを着るか教えてくれれば後は自分でやる」


「遠慮しなくてもいいのに…」


 本気で残念そうにする陽菜埜にゲンナリしながら、二人で二階の蒼司朗の部屋に向かった。



「はい。ソウちゃんの制服はこれよ」


 壁に掛けられた、紺色のブレザー一式を陽菜埜から手渡される。


「大丈夫。着方が分からなかったら、お姉ちゃんが手伝ってあげるよ」


「だから、いいって言ってるだろう。着替えるから部屋から出てくれ」


「はいはい。わかりました」


 そう言って部屋に一人になると、手早く制服に着替えるのだが、


(これ、どうやってつけるんだ?)


 手にしたストライプ柄の紐状のもの…ネクタイの付け方が分からなかった。


「ソウちゃん。着替え終わった?」


 出来るといった手前情けないが、考えた所で埒があかない。


「すまないが、コレの付け方を教えてくれるか」


 蒼司朗がそう言うと、陽菜埜はニコニコ顔で入ってくる。


「もう、しょうがないな~」


 嬉しそうな顔でネクタイを受け取ると、陽菜埜は少し背伸びして蒼司朗の首にネクタイを巻くと、手慣れた手つきでネクタイを結んでいく

 チラリと胸元が見えるのだが気にした様子は無い。

 という距離が近い。紅潮する顔を隠すようにそっぽを向く蒼司朗。

 それを見た陽菜埜は悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「何、照れてるの。お姉ちゃん相手に」


「俺はこういう免疫ないんだよ。あんたみたいな美人にこんなに近づかれたら照れるに決まってるだろ」


「えっ」


 あまりに直球で、しかも正面から目を見据えながら言ってくる蒼司朗。

 今度は陽菜埜が顔を赤くする。


「お姉ちゃんをからかうのはダメなんだからね」


 真っ赤な顔を隠すように、陽菜埜は蒼司朗に背を向けた。



ラブコメ書くつもりが、お姉ちゃん(義理)といちゃつくだけになってきた…

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