反スキル
そしてベイスは毎日武術や知力などを鍛えながら、六歳を迎えようとしていた。
レペーネでは、六歳になると女神アーリによってスキル、魔法が渡される、ただ渡されると言っても封筒のようなものが持ち主に届きそれを開けるとそれらが身に付くというようなものだ。
ただ、少し違うのはその日の正午が誕生日だということだ。
「よし、ベイスあと五分だぞ!どんな魔法量を持ってるんだろうな!」
「私の子ですから魔力量は常人の十倍ほどあると思うわ」
「父様も母様もなんで僕より楽しみにしてるんですか!」
もちろんそこには父も母も同席していた、そして六歳を迎えた、予想通り光が部屋に満ち、目が慣れてきた時には手の中には封筒が……だが、その色はエメラルド色に輝いていた。
「な、なんだその色は……」
そしてベイスは封を切り、中身を確認する。
そこには
無能者 反スキル(自動)
とだけ書いていた。
「魔法量が書いてないわ」
「どういうことだ、ベイスちょっと庭に来てくれ」
「わ、わかりました!」
言われるがままについて行く。
「じゃあファイヤーと言って、火をイメージしてみろ」
「ファイヤー!」
言ったのだが、何も起こらない。
「じゃあただエンチャントと唱えてみるんだ」
「エンチャント!」
これは身体強化だ、もちろん魔力が1あれば使える程のコツもいらないなんの変哲のないものだ。
「……お前は魔力が無いかもしれない、だがもしかすると魔力が無い代わりにそのスキルはとんでもないものかもしれない」
「そうですか……」
ただ、反スキルというものは謎に包まれ過ぎていた。
「ベイス、気にすることないわ」
母もそう慰めてくれたが、父と母は険しい顔をしていた……まるで女神を呪っているかのような。
「どうしよう、こんな事なら今日の朝に戻れば……」
そんなことをポツリと言っただけだった。
周りの景色が変わり、太陽は真上に登っていたはずが、登りかけてい所だった。
「え?父様!母様!どこですか!」
さっきまでいたはずの父と母がいないことに気づいた。
「ど、どうしよう、時間が戻ったんですか!」
一人で混乱していたが、恐らく戻ればいいと言ったから戻った、そんな推測だった。
「だったら、さっきの時間に戻れ!」
またもや景色が変わり、目の前には父と母の険しい顔があった。
(やっぱりだ!僕には時間を戻す力がある!これが魔力がない代償なんだ!)
「父様!母様!僕の反スキルは時間を戻すことができます!」
「「……?」」
ポカーンとしていた。
「はは、そんなわけないだろ」
「そ、そうよ」
確かに証明できることは無い。
「……すみません」
「まぁ今日は気晴らしに剣術の練習でもしよう」
「わ、わかりました」
そういう話になり母は家へ戻って行った。
「じゃあ始めるぞ」
「はい!」
ベイスが切りかかる、が、父の動きは鋭い、早速ベイスの腹に剣が当たる、瞬間だった父の剣は何かに弾かれ吹き飛ばされた。
「……どいうことだ?」
「さ、さぁ?」
「もう一回行くぞ!」
そして今度は父から切りかかってきた、斬撃がベイスの足を捉える、が、やはり何かに弾かれる。
「お前、まさか……攻撃を反射させるスキルか?」
「僕のスキルは一つじゃない……」
その日、父は顔色を変え、母に報告しに走った。