5歳児
「とうさま、なんでこの、魔道具は規則的に動いているんですか?」
ベイスは5歳になり様々なことに疑問を持つ男の子に育った。
そして今日は父、グラナの書斎にある丸の形をしていて、六十個の棒が三百六十度に引かれていて一秒で長い針が一個ずれ、その長い針が一周すると、短い針が一個動くという、時間計測魔道具|《時計》というものに興味を持った。
「これはな、正確な時間を知るためにも、一秒ごとに長い針が動き、一時間後に短い針が動くように魔力で固定しているんだ」
だが、この魔道具はレペーネを探しても十個あるかどうかという程の希少品だった、そしてそれは父の部屋にしかないためベイスは初めて目に入ったのだ。
「ということはこれを無理やり止めたらどうなるんですか?」
そしてベイスは時間計測魔道具に指を近付ける。
「お前の指ごと動くだろうな、だからスパッと切れてしまうから触っちゃいけないぞ?」
グラナは怖い顔をして、そう言った。
「え……」
カチッ
爪にあたり針は止まった。
「ははは!!!!そんな訳がないだろ!はははは」
父は腹を抱えて床を転がって笑った。
「……と、とうさま!!!!!」
からかわれたことに気付き、ベイスは顔を真っ赤にして怒った。
「はは、腹が痛い、ちょっ、ベイス待て!やめ!本気で殴るな!痛いから!わかった!外に出て剣術の練習をしよう!」
無言で殴ってくるベイスを引き剥がし、外で剣術の練習をさせることにした。
「じゃあ今日は実践的な練習だ、えーと、先にいっぽんいれたら勝ちな、手段は剣だけだ、行くぞ!」
「了解です!」
そしてベイスは踏み込み、剣を薙ぎ払うように振る、だがグラナはそれを剣で止め切り返してくる。
それをベイスは横に飛び避け、地面を蹴り上に飛ぶ。
「おいおい、上は無防備だって前言っただろ?」
「ふふん、今日の僕は一味違いますよ!」
グラナが見上げると、そこには太陽があり、それを直視させられた。
「ぐぁっ!!目が!」
「今日は僕の勝ちです!」
そしてベイスは剣を振り下ろす。
すると、空気が変わった、そしてグラナの体は横にずれベイスの一撃を交わした、更にはベイスの連撃をも交わす。
確かにグラナは目を瞑っているが、もはや空気だけでも避けられるという、予定外のことが起きた。
「甘かったな」
ペチ
「いたっ!」
グラナの剣がベイスの頭に当たる。
「とうさま、やっぱり強過ぎます!ずるいです!」
そしていつもの練習が終わった。